そのため、このような病気を発症してしまっても手術はおろか設備の整った大きな病院を受診することができないというのも現実なのです。
大学病院で無料手術
ツリーマン症候群という病気がメディアなどで取り上げられたのがきっかけとなり、バングラディシュでは国の首相が無償で治療が可能となることを認めました。その結果、ダッカ医科大学病院においてイボの除去手術を受けることが可能となったのです。
ダッカ医科学大学病院では、症例の少ない疾患の治療をすることでこの奇病の完治に対する今後の研究にも役立てていくという事です。
手術すれば日常生活に戻れる?
今まで、体をイボで覆われ介助なしではごく普通の生活すら送ることが不可能になってしまっていましたが、手術をすることにより生活がどのように変化したのでしょうか。実際に手術をした方の生活の変化を見てみましょう。
5キロ以上のイボを切除した事例も
明確な治療方法が見つからず、数年もの間で進行を続けたイボは手術によって切除をしてみると5キロ以上もの重さがあったと言われています。イボを切除し、他の部位の皮膚を移植することによって手足を自由に動かすことができるようになったとの事例も報告されています。
自分の手で娘を抱っこできるように
アブル・バジャンダルさんは、病気の発症後に幼馴染の女性と結婚し、新しい家族である娘も誕生しました。しかし、症状の悪化に伴い最愛の娘を抱っこすることすらできなくなっていました。今回、数回に渡りイボの除去手術をすることによって娘を自分の手で抱っこするという念願も叶いました。
ツリーマン症候群は完治できる?
いまだ、治療方法が明確になっていないツリーマン症候群に完治するという道筋はあるのでしょうか。ツリーマン症候群の患者は複数回ともなるイボの除去手術をしていますが、この先どのような治療をしていくことがベストなのでしょうか。
完治は難しい病気
現在の医学では、残念ながら完治という事例はありません。幾度となくイボを除去する手術をし、完治の見込みという報告はありますが、何度手術をしてもイボは再発してしまっているのが現実です。現段階の治療法は再発のたびにイボを除去していくという方法しかないのです。
手術を24回受けた事例も
1回の手術で済むことがないのがこの病気の主な特徴ですが、アブル・バジャンダルさんは2017年までに24回にも及ぶ回数の除去手術を受けています。手術終了後に再発をしなければ完治ともなるとう期待も持たれましたが、1年後に再発をしてしまい、2018年に25回目の手術を受けることになってしまいました。
最悪の事態もありうる
デデ・コサワさんは約20年以上もこの病に悩まされていました。一時期は体にできたイボの約95%を除去する手術も成功しましたが、やはり再発を繰り返しイボは手足だけではなく全身へと広がってしまいました。その後、ツリーマン症候群が引き金となった多臓器不全で45歳という短い人生しか歩むことしかできませんでした。
予防の対策はある?
手術をしたも再発を繰り返し、進行を止めることができなければ少しでも進行を抑えるような予防策はないのでしょうか。手術の回数が増えれば増えるほど、体力面も含め様々なリスクが立ちはだかってきます。どういった事に気を付ければ、望みの持てる生活が送れるのでしょうか。
紫外線を避ける
イボが樹木のように発達してしまう、詳しい原因についてはハッキリとはしていません。しかし、体や遺伝子に異常のない健常者でも紫外線による肌へのダメージが皮膚の老化と共にイボを作り出すというメカニズムは確証されています。
ツリーマン症候群の特徴として主に体の露出部にイボができてしまうことから、紫外線による影響が一つの原因とも考えられています。そのため、紫外線を防御するとういう事も治療法として考えられています。