上あごを突き破り、大きくカーブしながらそれでも成長が止まることのない牙はやがて頭に突き刺さりそうな見た目になります。自分が命をつなげていく限り伸び続ける牙。その牙が自分の頭を突き破ってしまうかもしれない。そんな姿からこういう風に呼ばれるようになったのです。
バビルサは実際に自分の牙で死んでしまうのか?噂の真相は
今にも頭に突き刺さりそうな牙を持つ彼らですが、果たして本当に自身の牙によってその命が奪われることがあるのでしょうか?噂の真相に迫ってみましょう。。
噂話に過ぎない
「自分の死を見つめる」なんてまさに人間が好みそうな哲学的な話ですが、安心してください。結局は噂話に過ぎないでしょう。
実際に牙が刺さった個体が発見されたこともありますが、その死因が牙によるものなのかは明らかになっていません。寿命を全うし、老化によって息絶えたという説が濃厚です。
刺さる前に曲がることがほとんど
私たち人間も歯の生え変わるときに歯が開いたスペースに向かって生えていき、歯並びが少し変わったりそれによって歯科にかかったという経験を持つ方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな風にバビルサたちの牙も自分を傷つけることが無いよう方向に向かって伸びていくのが正常です。牙は湾曲を続けながらも頭蓋骨に当たらないように成長していきます。
バビルサの牙が頭蓋骨に刺さった証拠がある!?
湾曲を続けながら自身の頭蓋骨に当たらないように成長していくのが正常だとお話ししましたが、何にはなんの不幸か正常に牙が伸びず、頭蓋骨に刺さってしまったバビルサもいたようです。
スラバヤ動物園の標本
不幸にも自分の牙が刺さってしまった証拠ともいえる標本が世界には2つ残されています。1つはインドネシアのスラバヤ動物園に展示されており、実際にこの動物園で飼育されていた個体になります。
ヨーテボリの自然史博物館の標本
もう一つの標本はスウェーデンのヨーテボリ自然史博物館に展示されています。18世紀初頭に探検家カウダーンが世界中から持ち帰った標本のうちの1つがこのバビルサの標本でした。
実際に突き刺さる可能性はごくわずか
今のところ、標本として残っているたった2つの個体のみが自身の牙によって命を落としてしまったということですが不幸にも牙が正常に伸びない可能性はごくわずかといえるでしょう。
バビルサには解毒能力がある!
特徴的な牙にスポットを当ててきましたが、ここからはまさに特殊能力ともいえる解毒能力にも触れていきましょう。数多くの生き物が暮らし、生存競争の真っただ中におかれた彼らが身に着けたその能力にご注目です。
食事で中和
ジャングルに生えているパンギノキなどの新芽や歯には有毒物質が含まれています。彼らはそういった植物を好んで食べる習性を持ちます。この毒によって健康を害さないように、そのあとには温泉水でできている水を飲んだり泥を食べることで毒を中和することができるのです。