現実は「水槽の脳」が見せる仮想現実?証明できる?否定意見も合わせてご紹介

中には「この世界はコンピュータが作り上げた偽物であり、そこに生きる我々は宇宙人の玩具である」と考える人もいます。一見すると馬鹿げた話ですが、人類が昆虫などの小動物を研究対象にしていることを思えば、完全な否定は難しいのかもしれません。

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エポケーにより現象として認識する

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哲学者エトムント・フッサールは、「水槽の脳」に対して一風変わった捉え方を提唱しています。この世界が仮想現実か否かという判断は一旦停止して、意識の中に自然と現れてくるものだけを表現しようと言うのです。この一旦判断を中止することをエポケーと言います。

たとえば水槽の脳の前にマグカップがあるとします。水槽の脳が認識している以上、そのマグカップは実在しません。しかし、意識の中に現象として現れたマグカップは、そこに確かに実在します。この世界が仮に架空の存在であったとしても、フッサールの発想から生まれた「現象としての世界」は揺るぎようがないのです。

水槽の脳はもうすぐできる?驚くほど進化しているVR技術

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VRとは、現実にいながら仮想の世界を疑似体験することです。その技術進歩は目覚ましく、今や誰もが楽しめる身近なものとなっています。もっともVRの可能性は娯楽のみに止まりません。外科手術のシミュレーションや教育現場における職業トレーニング、軍や警察の代替訓練などとしても注目を浴びているのです。

脳が錯覚するクロスモーダル現象

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かき氷のシロップの成分が実はどれも同じであることをご存知でしょうか。私たちは匂いと色が異なるだけで、赤ければ「いちご味」、黄色ければ「レモン味」など容易く錯覚してしまうのです。これまでの経験則に従って、ありもしない刺激を感じ取ってしまうこの現象を「クロスモーダル現象」と言います。

VRでも同様の現象が起こり得ます。女子高生の家庭教師になるというVRゲームにおいて、そういった機能がないにもかかわらず、吐息がかかったという感想を残した体験者がいるのです。その体験者の職業がホストであったことから察するに、日頃女性と接し慣れている経験則が、ありもしない吐息を錯覚させたのでしょう。

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