ウバザメは一生の約90%を深海で暮らし、残りの10%を水面で過ごしています。そのため調査が難しく、いまだに謎が多いままです。航空調査だけでは限界があり、深海での追跡も難しいため、アメリカの研究者らは市民からも目撃情報を集め、研究を進めています。
ウバザメの寿命
詳しいことはまだわかりませんが、寿命は最長100年ほどで、平均寿命は40年から50年ほどだといわれています。繁殖可能年齢は6歳から13歳くらいで、体長5m前後になってからだといわれています。
首長竜と間違えられた?
ウバザメの死体は腐敗すると下あごなどが外れて、生前とはまったく違う生物のように見えることがあります。そのため、1977年にニュージーランドで引き揚げられた謎の生物の死体は、まるで恐竜時代のプレシオサウルスのようだったことから「ニューネッシー」と呼ばれました。
ニューネッシー
その後、引き揚げられた死体の一部を持ち帰り調べたところ、サメのものであるとの結果が出ました。死んだウバザメは下あごやエラ、尾びれなどが先に無くなるため、まるで首長竜のような姿になったということです。しかし、ニューネッシーの死体にはウバザメにはない特徴があるという研究者もいて、確かな結論は出ていないようです。
ウバザメの乱獲
保護種指定
ウバザメの大きな肝臓からは肝油がとれるほか、皮や肉、フカヒレなどが狙われました。動きが遅いことが災いして20世紀に入ってから各国で乱獲され、現在では国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでVU(Vulnerable、危急種、絶滅危惧II類)に指定されています。
ウバザメの保護活動
保護種指定を受けて、イギリス、アメリカ、大西洋での捕獲は禁止され、ウバザメを使った生産品の取引も多くの国で規制されています。夏にダイビングツアーなどが行われるイギリスのマン島では、ボランティアで構成されるウバザメ協会のメンバーが、個体数や回遊ルートの調査を進めています。