リンゼイ・アン・ホーカー殺害事件の真相|市橋達也が残した爪痕

日本で英会話教師になるという夢を叶えるべく、単身で日本に来日し講師として働いていたリンゼイさん。その娘が日本で無惨に殺害されたとなれば、その家族の心中は察するに余りあるものがあります。

初公判時は被害者参加制度を利用し、裁判に参加されていましたが市橋の言葉一つ一つに怒りを露にし、時には顔を覆って泣き崩れる様子も見受けられました。

家族は何度も来日し、逮捕への協力を求める

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リンゼイさんの訃報は本国イギリスにも直ぐに届きました。事件を知ったリンゼイさんの家族はその後何度も日本に来日し、事件の迅速な解決を望みました。しかし、前途した通り警察の相次ぐ失態により市橋の行方は知れず、事件は長期化します。

事件解決までの2年間の間にリンゼイさん家族は街頭でのビラ配り、インターネット上やマスメディアを使っての情報提供を呼び掛けるなど懸命に活動を続けました。

リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件が社会に与えた影響

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時代の移り変わりとSNSの普及により多様性が叫ばれる昨今ですが、リンゼイさん殺害事件当時多くの人々が彼女の死を悼む中、一部では市橋達也を擁護するような人々の声が聞かれました。SNS上では市橋達也のファンクラブと称したサークルがいくつも生まれ、実際に裁判所まで市橋の姿を生で見ようと押し掛けたファンも存在したほどです。

市橋達也のファンクラブができ、カリスマ犯罪者へ

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市橋達也が逮捕された2009年11月、その逮捕の瞬間が大々的に報道されると市橋の風貌が俳優の水嶋ヒロや海外スターであるジョニー・デップに似ていると一部の人々の間で話題となり、その報道写真がきっかけで市橋のファンクラブができるなど世間から大きな反響がありました。

特に女性の支持者が多くマスコミやワイドショーコメンテーターが首を傾げる中、第一審には多くのファンが押しかけ、市橋の発言や仕草に感嘆の声をあげる様子も見られました。

市橋達也|懸賞金最大1000万円

市橋達也が逃走したのち、当初は100人体制で捜索していた警察本部でしたが相次ぐ捜査官の失態と、事件の長期化に伴い徐々に捜査の規模を拡大しました。

100人体制から150人体制に増加、更には指名手配ポスターも3万枚以上配布しましたが一向に捜索の進展は得られず、のちには公費懸賞金制度を導入。これによって国民を挙げての市橋達也の早期発見に期待されました。

懸賞金制度とは

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公費懸賞金制度とは2007年から新たに導入されたもので、警察が捜索中の容疑者に対する有益な情報をもたらした情報提供者に規定の金額が支払われるという制度です。

リンゼイさん殺害事件の他にも1995年に起きたオウム真理教の公証人拉致監禁事件や、2005年に栃木県で小学生の女の子が行方不明になり、刺殺体で発見された今市事件なども対象となっていました。

リンゼイさん殺害事件の懸賞金受け取り人については、当時様々な憶測が飛び交い、市橋逮捕後はその話題でも持ち切りになりました。

懸賞金の支払いとその行方は

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2007年に公費懸賞金制度が設けられて以降、凶悪事件における一般からの情報提供は増えたものの実際に懸賞金が支払われた実績はなく、リンゼイさん殺害事件においての情報提供に対する支払いが史上初の出来事となりました。

2009年12月24、警視庁からの正式な発表があり、情報提供者の4人への支払いが決定しました。市橋逮捕の決定打となったフェリー会社職員からの通報、形成外科から寄せられた市橋の顔写真、建設会社職員からの通報によって検出できた数々の証拠品など、どれも重要な情報であった事から上記関係者の4人にそれぞれ支払われる事となりました。

市橋達也の恩師と裁判費用の呼び掛け

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市橋達也の逃亡生活中、世間から多くの注目を集めたリンゼイさん殺害事件。犯人の市橋に対するバッシング、またファンクラブの発生など様々な反応が起こる中、市橋の大学時代をよく知る千葉大学の教授が市橋の為に立ち上がりました。

ブログを開設

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市橋達也が千葉大学に在学中所属していた空手同好会で親睦を深めたという本山教授は、日々マスコミにバッシングされ極悪人のように扱われている元教え子の姿に胸を痛めたと言います。

マスコミにインタビューを受けた市橋の母親もまた同じように語っていましたが、決して許されない犯罪行為を犯したとしても生きて罪を償って欲しいと願うのは、双方に共通する親心のような感情なのでしょうか。

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市橋に対する世間の評価を踏まえて、現状では適切な裁きを受けることが出来ないのではないかと懸念した教授は市橋に私選弁護人をつける為にブログ上で資金を募り、最終的な募金額は340万円に達しました。

恩師にだけ話した市橋達也の心中

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事件の直前に実家からの仕送りを辞めると宣告されていた市橋達也。その事が今回の事件の引き金になるほど精神的に参っていたのではと本山教授は語っています。

逮捕後、教授と面会した市橋は「私のした事を許してくださいますか」と涙を流しながら脅えきった表情を見せていたそうですが、事件を起こした理由を尋ねるも、「真実を話しても自分の言うことは誰も耳を傾けてくれない」と自嘲じみた態度をとっていたようです。

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