リンゼイ・アン・ホーカー殺害事件の真相|市橋達也が残した爪痕

リンゼイさん殺害事件は、事件としての注目度は勿論のこと、犯人「市橋達也」本人に対するメディアや国民のクローズアップが目立ちました。逮捕後、市橋本人による手記が出版された際にはAmazonランキング1位になるなど、事件後も波紋を広げました。

「逮捕されるまで―空白の2年7カ月の記録」

逮捕されるまで 空白の2年7ヵ月の記録

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世間を賑わせた凶悪犯罪者が獄中で手記を書くのは珍しい事ではありません。記憶に新しいところでは1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件の少年Aによる手記「絶歌」、更に2008年に起きた秋葉原連続通り魔事件の加藤死刑囚による手記「解」など手記をつづった経緯は様々です。

市橋達也は逮捕の翌年、幻冬舎からオファーを受け2011年に自身の逃亡生活の全容を記した「逮捕されるまで―空白の2年7カ月の記録」を出版しています。

印税はリンゼイさんの遺族への賠償に

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自身が犯した罪への懺悔として獄中で執筆されたものですが、出版早々瞬く間に売り上げ部数を伸ばし、最終的な印税収入は1000万以上にも上りました。

この本で稼いだ印税は、全てリンゼイさんの遺族へあてたいと市橋は語っていましたが、リンゼイさんの遺族側は「娘の死を冒涜している」としてこれを拒否され、一銭も受け取る事はありませんでした。

リンゼイさん殺害事件は映画にも

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市橋達也が逮捕された事により、事件に関する話題も報じられる機会が減り、リンゼイさん殺害事件についての人々の記憶も年々薄まりつつあります。

こちらでご紹介する映画は、そんな時間とともに風化していく出来事をいつまでも忘れないために制作されたものです。市橋とリンゼイさんの間に起きた事実を踏まえて見ると、とても感慨深い作品になっています。

「I am ICHIHASHI 逮捕されるまで」

 

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2013年に俳優のディーン・フジオカさんが監督、主演をつとめたサスペンス映画です。2011年に出版された市橋達也の手記や裁判記録をもとに事件発生から逃亡生活の末逮捕されるまでを忠実に再現しています。

「怒り」

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2014年に小説として出版され、2016年には俳優の渡辺謙さんを主演とする豪華キャストにより映画化もされました。原作者の吉田修一さんが、リンゼイさん殺害事件の報道を受け、この事に着想を得て執筆されたものです。

「怒り」のあらすじと市橋達也の関係

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東京の郊外で夫婦殺害事件が発生、犯人は整形を行い全国を転々と逃亡します。警察は広域指名手配を出し容疑者を捜索しますが、犯人の行方は依然として知れず一年が経過します。

その後、容疑者によく似た3人の男が東京、千葉、沖縄で目撃されます。売春で生計を立てるゲイの男、千葉で日雇い労働者として勤務する男、沖縄の離島でサバイバル生活を送っている男など、どの人物も市橋達也を思わせる要素が散りばめられており、最後まで誰が犯人か予想が使いない極上のサスペンス映画となっています。

リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件が社会に及ぼす影響

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リンゼイさん殺害事件を受け、それまで海外でイメージされていた治安の良い日本という概念が必ずしもそうではないという論調に切り替わりました。この事件が起こった2000年代では西鉄バスジャック事件や世田谷一家殺人事件、附属池田小事件など世間に衝撃を与えた残忍な事件が多く起こりました。

リンゼイさんの事件についても何不自由ない生活を送っていたはずの青年が起こした、身勝手な犯行として世間に大きな関心をもたらしました。

事件から12年余り過ぎた現在も毎日のように悲惨なニュースが報道されています。これから多くの外国人が移住してくる日本で、今後二度とこのような事件が起きない事を願いつつ、自分には何が出来るのか考える必要があるのではないでょうか。

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