組織の暴力性や残虐性を誇示することで、報復を恐れた地元の人々は、誰も止めようとしなくなります。
また、組織同士での力の見せつけ合いにも役割を果たします。このように恐怖支配をすることで、組織の力を維持するという循環が生まれてしまっているのです。
殺人動画公開や遺体にマークを刻む
組織の力を誇示するための活動は、誰の目にも触れることを目的とした、恣意行為をも含んでいました。
レイプや暴行を行っている動画は、YouTubeなどの動画サイトにアップロードされており、我々でも削除されるまでは閲覧できてしまいます。
レイプや暴行の餌食となり、被害にあった遺体には、組織のマークを刻んで道に放置されているということも日常茶飯事です。
レイプツリーも恐怖支配の一環
レイプツリーは、レイプをした被害女性の下着を木に吊るしたままにすることでした。レイプツリーの下着の数が増えるほど、組織の残虐性を示す結果になります。
地元の人は報復を恐れて、レイプツリーにかけられた下着を外すどころか、組織に近づかなくなる結果になるのです。
レイプツリーと密入国者
あらかじめ、メキシコ・チワワ州の治安が悪くなっていることは、その地域に近づく人は、誰もが分かっているところです。だとすれば、どのような人が麻薬カルテルの被害の対象になっているのでしょうか。
レイプツリーには密入国者の被害者も絶えない
レイプツリーが存在するチワワ州は、アメリカとメキシコの国境付近の街です。したがって、アメリカへの密入国を狙う人々が、危険な地域だとわかっていてもこの地域に集まってくるのです。
アメリカへの移民が難しく組織が仲介
アメリカへの密入国は、アメリカとメキシコの国境付近に警備が存在したり、パスポートをあらかじめ得ることができないために、成功することは難しくなっています。
トランプ大統領の移民政策の影響もあり、さらに難しくなった未入国の規制を掻い潜り、斡旋する組織として、麻薬カルテルが介入しているケースがあるのです。
レイプか死か
メキシコからアリゾナまでの密入国ルートとして、必須で越えなければならない難関が砂漠地帯です。メキシコから密入国を斡旋するような非合法組織のメンバーは想像に難くないですが、麻薬カルテルにも属しています。
何としてでも入国を果たしたい人々が斡旋を依頼し、レイプの対象となるのです。それを拒否すれば砂漠に放置されていってしまうためレイプか死かを選ぶことになるのです。
麻薬カルテルに逆らった女性市長さえも殺害
これまでにも危険であることは理解したうえで、現状を打破するために、レイプツリーにかかわる麻薬カルテルにあらがおうとした人は、存在していました。
しかし、組織の支配に抵抗する人には、報復に打って出るのが麻薬カルテルという組織です。実際に対抗的な姿勢を示した人々はどのような運命をたどったのでしょうか。
マリア・ゴロスティエタ市長殺害
違法行為が蔓延するメキシコ・チワワ州の希望となるはずであった、マリア・ゴロスティエタ市長はその目的を果たすことはできませんでした。残念なことに、殺害され、野原に転がる結果となったのです。
殺害以前にも数度の襲撃
襲撃を受け死の危険を感じるような事件は、殺害当日だけではありませんでした。死に至る程ではなかったにせよ、計3度襲撃を受けていました。その度に、なんとか命だけは、とりとめていました。