切子はどんな漫画?衝撃の結末ネタバレや最終回の考察、感想など紹介!

怖い!グロい!とホラー漫画特有の感想が多い中、切子の楽しみ方はそれだけではないんです。ちょっとクスリと笑ってしまうシーンや突っ込みたくなるシーンもあるんですよ。ホラー漫画でありながらも、登場人物たちを愛さずにはいられない独特なシーンをご紹介します。

加藤正雄の図太すぎる神経に注目

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自称ミュージシャンの加藤正雄が殺される部分で、ピアノを弾く切子に合わせて正雄が歌うシーンがありましたね。現実の世界であれば切子を見てしまった時点で逃げ出すはずですが、親のスネをかじる男の正雄には常識的感覚がやはりないのでしょうか。ホラー漫画の中にも笑いの要素をあえて投入してくれたのでしょうか?

何故かピアノに合わせて歌い、そしてギターでセッションまで始める始末。正雄か非常識な人間なのか、パリピなのかは分かりませんが、『逃げればいいのに』と誰しもが突っ込んでしまいたくなるシーンです。ホラー映画や漫画には逃げ遅れたりドジなキャラクターが必ず一人はいますが、正雄はそれ以上のキャラクターを確立していますね。

じわじわと追い詰めたがる切子のいやらしさ

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漫画のラストでは、良介とみずほを追い詰めた切子は想像を超えるほどの巨大化をします。確かにあんなに大きな切子が来たら『終わった』と誰もが悟ることでしょう。その裏で最初から巨大化して一気に殺してくれとも思います。

巨大化できるのに、一人一人追いかけて追い詰めてじわじわと殺していく様に、切子の恨みの強さと執念深さと共に、漫画とはいえ本当にいやらしさを覚えました。復讐を考えるような人間はやっぱりネチネチとした感情を抱きやすいのでしょうか。

巨人化していっぺんにボロ校舎を壊してしまえばみんなを殺すことだってできたのに、最後まで主人公の良介につきまとっているのも、非常にいやらしい切子の性格が垣間見えます。あんな執拗ないじめを受けたので、当然ともいえますが。

人間の弱さと現代の闇を重厚に描く漫画『切子』

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切子という漫画はただひたすらにバケモノ復讐を果たすために人を殺していくだけのありがちなホラー漫画ではありません。一度この漫画を読み終わってもまた読み返したくなるほど考えさせられる深い漫画なのです。現代の私たちの生活に隠された闇や、人間の弱さなどをしっかりと描いていることを理解すると、切子という漫画を一層楽しむことができます。

登場人物たちの小さくて醜い嘘の数々

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この漫画の登場人物6人は誰もが皆、自分自身の現状報告の際に嘘をついていましたね。うまくいっていない現状を取り繕うように良かった頃の自分を語ったり、記憶や現実を捻じ曲げてまで自分を大きく見せようとしています。なぜ皆んなが同じように自分を偽るような嘘をついたのでしょうか。

切子の復讐だけを描くホラー漫画なのであれば、同級生たちの醜い嘘の描写は必要なかったはずです。しかし、人間の闇と醜さまでを細かく描写することで、一般的なホラー漫画には無い独特の雰囲気と物悲しさを表現しており、ただのホラー漫画とは一線を画しています。

主人公良介のうつ病に潜む会社のハラスメント

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切子へのいじめも確かに大きな社会問題です。しかし、ラストに描写されていた主人公良介の会社でのパワーハラスメントがあったことを知らせるシーンには、しっかりと実在する現代の闇を描いている漫画なのではないでしょうか。

ラストシーンでは窓いっぱいに広がる切子の左目が、まるで涼介が切子の世界に引きずり込まれてしまったようにも見えますが、良介が以前パワーハラスメントによって『うつ病』を発症していた事実を知らされることで、良介の心が軽くなり快活で前向きな新しい人生を歩み出せているようにも見えます。

もしかしたら、切子が良介を殺さずに生かしたのは、良介を今までの暗い人生から救い出してくれたのかも知れないとまで考えさせられます。改めてこの漫画は現代が抱える問題に警鐘を鳴らしている漫画なのだと言えるでしょう。

切子はしっかりとした構成が魅力のホラー漫画だった

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ホラー漫画はどうしても殺しのシーンや、おどろおどろしいシーンが主体で描かれ、注目されがちです。もちろん、それを求めてこの漫画を読んでいる読者がほとんどです。そんな中、漫画『切子』は人間の葛藤、心理状況がうまく描かれた構成の高さも魅力的な漫画なのです。

もちろん殺人や復讐は恐ろしいものですが、それも全て人間の浅はかで愚かな心理からくるものであり、一番怖い部分でもあります。その上に、今の時代も無くなることのない「いじめ」や、主人公の精神的ショックの大きさから書き換えられた記憶などのサイドストーリーが描かれている漫画なのです。

最後にホラー漫画らしい大どんでん返しの結末もきちんと用意されているので、非常に時間をかけてじっくりと考えられた構成のホラー漫画だと言っても過言ではありません。最後の1ページまで楽しませてくれる漫画ストーリーであることに敬意を表します。

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