ソウル・梨泰院事故とは?
梨泰院事故は、2022年10月29日に韓国・ソウル梨泰院で起きた群衆事故です。正式名称は「ソウル梨泰院雑踏事故」であり、ソウル特別市繁華街で巻き起こった大規模な事故を指しています。159人の犠牲者に加え、当時入院患者や重症患者など負傷者が芋づる式にニュースで取り上げられていました。
現地韓国での報道はもちろん、日本でも梨泰院事件の報道は連日テレビで流れていたため、記憶に新しい方も多いでしょう。梨泰院事故は、事故から約1年経過した現在でも、報道を目の当たりにした人々や現地で事故から生還した人に大きな心の傷を残しています。
梨泰院事故の背景
梨泰院事故は、ハロウィンを目前に控えて浮足立つソウル市の繁華街で、人と人が押し重なって多数の人が圧死した悲惨な事故です。夜の街に密集した人々が混乱と焦燥感の中で押し合い、坂の上から折り重なった状態で転がり落ちたことで、窒息により次々人が息を引き取りました。
梨泰院は韓国の人気ドラマの舞台ともなった有名な繁華街で、街にはお洒落なバーやクラブが立ち並んでいます。ハロウィン前ということもあり、事故当時の街は仮装して賑わう人々で溢れかえっていました。繁華街の坂の上に密集した人々は、周囲の様子を伺う余裕もなくなり、我さきにと行列に群がります。結果として過度な密集により、窒息や圧死が相次いだのです。
コロナ禍が終息を迎えたこともあり、街の警戒度は数年前よりも下がっていました。当時ソウルでは、別の大規模なイベントに警備員が多数派遣されていて、ハロウィン前の梨泰院に配置された警備員は非常に少ない人数でした。警備体制の不備も事故の要因ともいわれていて、梨泰院事故は決して街の人々の不注意だけで起きた事故ではないのです。
159名もの日本人が犠牲に
たくさんの人の命を奪った梨泰院事故の犠牲者は、159人といわれています。犠牲者の中には、多くの日本人もいました。事故が起こったのは2022年10月29日。2022年12月2日までの死亡者は158人でしたが、その後更に1人の男子高校生が自ら命を絶ち、犠牲者は総勢159人となりました。
現場では、300人以上の人が事故に巻き込まれて呼吸困難になっていて、実に半数近くの人が命を落としているのです。事故に巻き込まれた人々の具体的な背景を以下にまとめたので、ぜひ目を通してください。
- 男女割合は女性が男性の倍程度
- 20代の人々が多かった
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事件報道から1ヶ月程経過した12月13日には友人を事故で亡くした青年が自殺
梨泰院事故の犠牲者は、楽しいハロウィンに胸躍らせていた罪なき人々です。誰も予想していなかった地獄絵図のような悲劇ですが、国境を越えた大規模な事故となったのは間違いありません。おそらく、韓国人や日本人だけでなく、ほかの国からソウルに足を運んでいた犠牲者もいたでしょう。
犠牲者を増やさないためにできること
梨泰院事故と同じような悲劇を繰り返さないために、以下のような改善点を個人的に考えました。
- 住民一人一人が思いやりと譲り合いの気持ちを忘れない
- 繁華街でイベントが行われる際は警備員を偏りなく配置する
犠牲者の身近の人々にとって、事故を風化させることも同じような事故が繰り返されることも、避けたい事態です。梨泰院事故の犠牲者の中には、日本人留学生もいました。韓国の文化に憧れを持ち、日本からやってきた冨川芽生さんは梨泰院事故で命を落としてしまいます。
韓国の寄宿舎で冨川さんに優しくしてもらった後輩の青年・三井さんは、彼女が事故で亡くなったのは彼女自身の責任でなないと涙ながらに語っていました。当然、冨川さんの両親も事故後は毎日苦悩しながら過ごしています。
あくまでも推測になりますが、犠牲者の身近の人々は事故を風化させないことを第一に考えているでしょう。犠牲者の親族や友人は、大切な人を失った傷を抱えながら生活を送っています。彼らの心の傷を喚起させないためには、今を生きる私たちが梨泰院事故の悲惨さを忘れず、自分たちにできる気配りを常に心掛けて生きることが大事なのでしょう。