デメリット1つ目は伸縮性と柔軟性に欠ける点です。先程はメリットとして説明した非伸縮性ですが、これはデメリットとなる場合もあります。ナイロンラインなどでは、伸縮性により魚の引きなどを緩衝することができますが、PEラインではそれができません。そのために、先端にショックリーダーを取り付ける必要が生じます。また、柔軟性がないためロッドやリールへの負担も考慮しなければなりません。
PEラインのデメリット②:比重の軽さ
2つ目は比重が軽いことです。こちらの軽さもメリットとしても取り上げましたが、やはりこちらもデメリットになり得る性質です。無風の状態であれば操作性は十分ですが、本体の軽いPEラインは横風などの力を受けやすく、強風時には非伸縮性も加わることで極端に操作性が低下してしまいます。また、その軽さからガイドに絡みやすい点も指摘できます。
PEラインのデメリット③:裂傷耐性の低さ
PEラインは複数の繊維を編み込むという構造のため、岩などの水中の障害物により、複数の繊維の内の一本でも損傷してしまうと急激に引っ張り強度が落ちてしまいます。加えて、摩耗や摩擦にとても弱く、こういった裂傷による損傷は引っ張り強度とは関係ないので、繊維の裂傷には注意が必要です。
PEラインのデメリット④:価格
先程は、使い方しだいでは経済的になる可能性を指摘しましたが、このデメリットはPEライン自体の価格です。価格については、比較的安価なものから高価なものまでさまざまですが、その中でも一定の信頼を置くことのできる製品となると、やはり他素材のラインよりは、PEラインは高価なものとなります。
PEラインのデメリット⑤:独自のラインシステム
最後に、今回のテーマに密接に関わる問題点として、独自のラインシステムに伴う扱いにくさがあります。PEラインはその性質から、先端にショックリーダーを取り付けるラインシステムが必要となります。ただ、このリーダーとの結束が一般的に初心者には難しい点とも言われています。しかし、この結束こそが非常に重要であり、この結び方が最適でないと充分な強度が出ずアクシデントにもなりかねません。そこで次節から、PEラインの結び方をマスターするために注意すべきポイントをご紹介させていただきます。
PEラインノット:おさえておくべきポイント!
PEラインとリーダーの結束は、PEラインの性質を理解したうえで最適な結び方を行うことが必要です。そのために、まず実践的な結び方に入る前におさえておきたい、適切な結束のために注意すべき3つの性質を見ていきます。
ポイント①:ラインの滑りやすさ
PEラインは表面が非常に滑らかになっており、通常のナイロンラインなどの結束時に使用されるようなノットだと摩擦抵抗が少ないため、かんたんに抜けてしまいます。そのため、PEラインの結束方法には、摩擦系と呼ばれる摩擦抵抗を生み出すためのノットが必要になります。
ポイント②:コシのなさ
特徴、メリットでも度々出てきた、PEラインの性質の一つであるコシのなさですが、リーダーとの結束の際は注意が必要です。ラインにコシのあるナイロンラインやフロロカーボンラインは、結束時にはライン自体の材質による食い込みが生まれ、強度を得ることができます。しかし、PEラインでは、前述の滑りやすさも伴うことで、食い込みが生じず抜けやすくなるため、結び方には工夫が必要となります。
ポイント③:摩擦熱への対策
PEラインはデメリットでもお伝えしたように、摩擦や摩耗で生じる熱に弱いという弱点があります。そのため、結束時にライン同士をきつく締める際の摩擦熱でも切れてしまうという問題が生じます。しかし、より強度のある結束には必要な工程にもなるので、ライン本体を濡らすなどの対策が重要となります
PEラインの結び方をマスターしよう!
PEラインの結び方をマスターしよう!:FGノット
短時間で結べ、且つ結束強度が高く、練習は必要になりますが実用性の高いノットです。摩擦系ノットとも言われているように仕組みとしては、PEラインをリーダーに編み込む(ハーフヒッチ)ことで摩擦抵抗を利用して結束強度を高める方法です。結び目が小さいため、ガイドの通りがスムーズな点もメリットの一つです。強度も申し分のない定番のノットです。
PEラインの結び方をマスターしよう!:ノーネームノット
別名を「8の字ぐるぐる結び」と言われているノットです。リーダーとの結束力を高めるために、その名の示す通り8の字を作ってから、その中にPEラインを通して巻きつけます。その後は編み付けを行ったあと、再度巻きつけていきます。結束力が強く、抜けにくいノットです。
PEラインの結び方をマスターしよう!:電車結び
糸と糸を直結させるための、基本的な結び方の一つです。特に初心者の方にはまず覚えていただきたいノットで、強度についてもFGノットには劣りますが充分にあります。結び方としては、2つのループによってコブを作り結束させるというもので、比較的かんたんな結び方です。
PEラインの結び方をマスターしよう!:SFノット
PEラインを編み込み、リーダーの結び目でコブを作ることで抜けにくく強度のあるノットです。このノットは手早く結ぶことができるメリットがありますが、他のノットと比較して編み込みの回数が少ないです。そのため、実践する際は、編み込みを多めにすることをおすすめします。
PEラインの結び方をマスターしよう!ミッドノット
FGノットと同じく摩擦系で、結び目が小さくガイドの通りがいいため飛距離が出やすいノットです。強度はかなりあるので、大物にも対応しています。FGノットが編み込むのに対して、ミッドノットは巻きつけるイメージが強いノットです。
PEラインまとめ
今回、PEラインとショックリーダーの結束方法について、基礎知識を交えながらご紹介させていただきました。中には、すぐにできるかんたんなものから、練習が必要な複雑なものまで、シーンに合わせたさまざまな結び方があり、それぞれが長所・短所を持っています。しかし、PEラインの結び方をマスターするために必要なことは、実践的な練習に加えて、自分に合ったノットを選択することなのではないでしょうか。
それでは、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。