桔梗の花言葉は怖いイメージ?色別の花言葉や怖い花言葉の真相に迫る

大村 益次郎は「丸に桔梗」紋を使用していました。幕末期の長州藩の医師、西洋学者として活躍し、事実上の日本陸軍の創始者とされ靖国神社には銅像も建造されています。しかしその最期は刺客に襲撃され、その傷から敗血症になり命を落としました。

安倍晴明の五芒星と桔梗

陰陽師、安倍晴明は五芒星紋を使用したことで有名です。五芒星は五角形の桔梗の花の形と重なることから「晴明桔梗」と呼ばれています。別の呼び方ではペンタグラムや五星線などがあり、世界中で使われている図形でもあります。

安倍晴明と五芒星の紋

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五芒星はこの世に存在するあらゆるものを木・火・土・金・水の5つの元素にあてはめる陰陽五行説の考え方を形にしたもので、魔除けの呪符とされました。安倍晴明は五行の印としてこの五芒星紋を使用しました。

安倍晴明が使ったことから五芒星は「晴明斑紋」や「晴明桔梗」とも呼ばれます。しかし、安倍晴明が作ったわけではなく、日本ではすでに奈良時代から魔除けとして使われていました。世界でも古くは紀元前3000年頃のメソポタミアの書物に五芒星が確認されています。

桔梗の形と五芒星「晴明桔梗」

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五芒星は「晴明桔梗」とも呼ばれています。桔梗の花を図案化した桔梗紋の変形として、家紋にも使用され、京都府の晴明神社では五芒星を社紋とし、鳥居や井戸、絵馬、お守りなどにも見られます。

万葉集では桔梗は朝顔?

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古くは万葉集に登場している桔梗。およそ4500首ほどある万葉集のなかで5首が詠まれています。いずれも「桔梗」という言葉は出ておらず、「朝顔(あさがほ)」と詠まれています。万葉集の「朝顔」は桔梗、木槿(ムクゲ)とする説があります。

7世紀後半から8世紀後半に掛けての万葉時代に「朝貌(あさがほ)の花」といわれていたのは桔梗、槿、昼顔などとするほか、朝咲く美しい花の一般的な総称であるとする説があります。現在朝顔と呼ばれている朝顔の花は平安時代以降に中国から渡ってきたもので、奈良時代にはまだなかったと考えられています。

山上憶良 巻8-1538

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萩の花尾花(おばな)葛花(くずはな)なでしこの花をみなへしまた藤袴(ふぢはかま)朝顔の花

秋の七草を詠んだ歌として有名な山上憶良の一首です。ここで「朝顔」と詠まれているのが桔梗だということです。

作者不明 巻10-2104

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朝顔は朝露負(お)ひて咲くといへど夕影にこそ咲きまさりけり

(朝顔(桔梗)の花は、朝露にぬれて咲くというけれど、夕方の光の中でこそ美しく咲き勝ることよ)

この歌で、夕方のほうが美しいと詠まれている「朝顔」は、桔梗か木槿(むくげ)だと考えられます。木槿も夕方は勢いが少し弱い感じなので桔梗のほうが有力です。確かに桔梗の濃い色合いは、夕方の光に照らされてなおいっそう輝きを増して見られます。

作者不明 巻10-2274

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臥(こ)いまろび恋ひは死ぬともいちしろく色には出(い)でじ朝顔の花

(恋に苦しみ、命を落とすことがあろうとも、朝顔(桔梗か木槿?)の花のようにははっきり態度に出して人には知られまい)

この歌の「朝顔」はどちらかというと存在感のある木槿説のほうが有力のようです。桔梗は「いちしろく」(いちじるしい)とは遠い姿の花です。草原にひっそりと咲くイメージの桔梗より、木槿の華やかさのほうがこの歌の「朝顔」に合います。

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