オオカミウオとは
あまりお目に掛かることができないオオカミウオ。見た目はごつごつしていて、長い体はどことなくウツボに似ているちょっと不気味な魚ですね。英語名も日本名と同様に“wolf fish”と呼ばれています。釣りマニアにとっても、一度は釣り上げてみたいと思わせる希少価値の高い魚の一つのようです。
珍しい魚のイメージですが、ここ近年ではテレビ番組で取り上げられ、話題になったことがあります。“鉄腕DASH”の番組内で奇跡的に捕獲することができた際には、幻の魚が釣り上げられたと話題になりました。“嵐にしやがれ”においても、巨大怪魚捕獲の特別企画として放送されていたので、ご覧になった方もいるかもしれません。
オオカミウオの大きさ・生態
分類としては、スズキ目、オオカミウオ科・オオカミウオ属の海産魚(海水域に生息する魚、淡水魚に対して海水魚とも呼ばれる)に属します。江戸前天ぷらのタネでお馴染みのギンポで有名なギンポ科にも属しています。
大きさは1m以上、重量は10㎏を超えるそうで、体色は茶色や茶褐色、濃い灰色や黒のものが多いです。水深50㎝~1mの岩礁域を住処としている夜行性の深海魚です。10~11月に産卵期を迎え、産卵すると自らの体で卵を守ります。
オオカミウオ名前の由来・特徴
名前の由来
英語名であるwolf fish(正式英名:Bering wolf fish)ですが、オオカミウオの両顎の前部分には鋭い犬歯のような歯が4~6本生えており、この容姿がオオカミに似ていることから由来していると言われ、日本名も同じようにオオカミウオと名付けられています。
特徴
特徴はなんと言ってもこの大変強靭な歯と顎の力です。魚類の歯でありながら、カニなどの甲殻類や、サザエなどの固い貝類までも殻ごと噛み砕くことができるほどの強度があるそうです。名前と見た目の通り、ワイルドな食べっぷりに驚きですね。滅多に出会うことのない魚ですが、近距離では噛みつかれる恐れがあることを覚えておきましょう。
オオカミウオの生息地域
オオカミウオは、世界的にはアラスカ、ベーリング海、オホーツク海、サハリンなどの北半球の海に生息する魚です。冷たい海を好む寒海性の深海魚とされています。岩礁地帯に群れを作って暮らします。
日本では、北海道のオホーツク海が主な生息地域とされ、茨城県以北の東北地方北部でも生息していることが確認されているようです。本州南部や九州では見ることができないので、貴重な魚種と言えますね。
オオカミウオ・北海道での存在
日本では北海道近海に生息するオオカミウオ。アイヌ民族の間では“チップ・カヌイ(チップ=魚、カムイ=神様)”と呼ばれ、神の魚として崇められていたという説があります。オオカミウオが獲れた年はニシンが大漁になると言われ、釣れたオオカミウオには酒を飲ませてから海へ返していたという言い伝えがあるほど、特別な存在であったようです。
現在は釣り上げられてもほぼ利用価値がないという理由で海にリリースしてしまう漁師が多いと言いますが、一方ではかつてオオカミウオを神として扱っていた伝統を継承している影響もあると言われています。
オオカミウオはどんな味?
滅多にお目に掛かることのできないオオカミウオですが、実際には日本で食されています。見た目はなかなかグロテスクなオオカミウオのそのお味、ちょっと気になりますよね。どんな味で、どんな風に食べられているのでしょうか。