テンカラ釣りは一度ハマると病みつき
テンカラ釣りの魅力は警戒心の強い渓魚を誘い出して釣り上げる所にあります。まるで忍者のように身を隠し、足音の忍ばせて岩陰からそっと毛鉤を落とし誘いを掛けるのです。渓魚の習性や捕食ポイントの見極めなどの知識も必要ですし、何より小さな毛鉤を活きた虫に変身させるテクニックが要求される大変高難度の釣りがテンカラなのです。
テンカラ釣りはマタギの食い扶持確保手段だった

東北や北海道地方の熊や鹿を狩る猟師「マタギ」が休猟期の夏、現金収入や食糧を得る為に山女魚や岩魚を釣ったのがテンカラ釣りルーツとも言われています。渓魚の習性を知り尽くした猟師が一切の無駄を省いて考案したのがテンカラなのです。
古くから伝わる伝統猟法
古くから伝承され受け継がれて究極に進化したのがテンカラ釣りです。糸、毛鉤と言う全くもってシンプルなスタイルが確立されて今に伝わっている伝統猟法なのです。ナイロン糸が無い昔の時代には馬の尻尾の毛を撚り合わせて使っていました。人毛を使った時も有ったそうです。
山を知り尽くし渓魚を知り尽くすマタギ

川の険しい源流部には魚止めの滝と言われる場所が有ります。落差が有り過ぎてその先には岩魚がいないと言われる所です。マタギの古老から聞いた話ではそんな所でも滝壺で岩魚を釣って、険しい崖を登って滝の上に放流していたそうです。一部のマタギは最源流部に、こっそり放流を重ねて自分だけの秘密の沢をいくつも持っていたそうです。
マタギの古老の毛バリは恐ろしくシンプルです。タイイングツールと言った物は一切使いません。接着剤すら使わず手巻きで1分も掛からず作ってしまいます。古老曰く毛バリなんぞはなんだって構わん、岩魚に気づかれずにポイントに近づけるかどうかだけだと。
テンカラ古老の技
古老は岩陰から静かに振り込み、捕食ポイントの30cm程上手をちょんちょんちょんと水面を踊らせます。この時の着水がポイントで正に羽虫が水面を叩く動作と同じです。そして数回誘って焦らしてから捕食ポイントにフワリと毛ばりを着水させます。流れはじめた瞬間、岩魚は水底からゆっくり出てきて毛ばりを咥え込みます。
これが古老の技です、毛ばりの着水が肝なのです。岩魚や渓魚は空中を見ているのです。空中を飛んでいる虫の動きを見て狙っているのです。フライフィッシングは川の流れに沿って毛バリを流して釣る場合も多いでしょうが古老が流れに沿って毛ばりを流しているのを見た事が無いのです、だって流す間もなく食って来ちゃいますから。
テンカラ釣り仕掛けの基本構成は?
テンカラ釣りの基本構成は竿そして糸と毛鉤、たったこれだけです。毛鉤はゼンマイ、孔雀の羽根、鶏の羽根などから作ります。昔は馬の尻尾の毛を使ったりしていましたが現代ではナイロンやフロロカーボン素材の良質な糸を使います。竿も竹素材からグラスロッド、そしてカーボンロッドと進化して来ています。
テンカラ釣り仕掛けの必要アイテムを解説!
テンカラ釣り仕掛けは、もともと非常に簡単な構成ですから、どなたでも直ぐに準備は出来ると思います。どんなところに気をつけて選択すれば良いかのポイントもご説明しながら良質なアイテムをいくつかご紹介していきます。