既婚者マッチングアプリとは?知られざる市場と”セカンドパートナー”という新しい夫婦の形

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あなたは「既婚者マッチングアプリ」という言葉を聞いたことがあるだろうか?

結婚している人同士が出会うためのマッチングアプリ。そう聞くと、「不倫を助長するアプリ?」「道徳的にどうなの?」と眉をひそめる人もいるかもしれない。しかし、この市場は確実に拡大しており、その背景には現代の夫婦関係が抱える複雑な事情がある。

この記事では、あまり表に出てこない既婚者マッチングアプリの実態と、そこで求められている「セカンドパートナー」という新しい関係性について、各種調査データをもとに掘り下げていく。

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マッチングアプリ市場の急拡大と特化型サービスの台頭

まず、マッチングアプリ市場全体の動向を見てみよう。

東京商工リサーチの調査によると、マッチングアプリ運営会社数は2019年の5社から2025年には28社へと、わずか6年間で5.6倍に急増した。市場規模も2025年には1,023億円に達し、2026年には1,094億円まで拡大すると予測されている。

さらに注目すべきデータがある。子ども家庭庁の2024年度「若者のライフデザインや出会いに関する意識調査」では、既婚者の結婚相手との出会いの場として、マッチングアプリが25.1%で最多となった。職場や友人の紹介を抜いて、オンラインでの出会いがリアルを逆転したのだ。

この成長市場の中で、特に注目を集めているのが「特化型マッチングアプリ」だ。2025年には、ディナーシェアアプリや趣味特化型など、様々なニッチなニーズに応えるサービスが続々と登場した。

そして、その中に「既婚者専用マッチングアプリ」というカテゴリーが存在する。

既婚者マッチングアプリとは何か?

既婚者マッチングアプリとは、その名の通り既婚者のみが利用できるマッチングサービスだ。一般的なマッチングアプリが「独身であること」を前提条件としているのに対し、こちらは真逆。結婚している人同士の出会いを提供する。

代表的なサービスとしては、累計会員数70万人以上を誇る既婚者クラブがある。2018年頃からサービスが始まり、現在では複数の既婚者向けマッチングサービスが展開されている。

これらのサービスには共通した特徴がある:

  • 身バレ防止機能が充実 – プロフィール写真の自動ぼかし機能
  • WEBブラウザのみで利用可能 – アプリアイコンがスマホに残らない
  • 匿名性の確保 – ニックネームでの登録が可能
  • 24時間365日の監視体制 – 不適切な行為への対応
  • 法的届出済み – インターネット異性紹介事業として正式に届出

つまり、既婚者が安全に、そして秘密裏に利用できるよう設計されているのだ。

なぜ既婚者が”もう一つの出会い”を求めるのか?

ここで一つの疑問が浮かぶ。なぜ結婚しているのに、別の出会いを求めるのか?

その答えは、現代の夫婦関係が抱える深刻な問題にある。それが「セックスレス」だ。

レゾンデートル株式会社が20〜50代の既婚者4,000人を対象に行った「セックスレスに関する実態調査」によると、驚くべき結果が明らかになった。

既婚者の68.2%が配偶者とセックスレス傾向にあり、そのうち43.9%は完全なセックスレス状態だという。つまり、日本の既婚者の約7割が、配偶者との性的接触がほとんどないのだ。

さらに衝撃的なのは、この傾向が若い世代にも広がっていることだ。20代では約5割だったセックスレス傾向が、30代になると約7割に急増する。結婚3年未満の新婚でさえ、51.8%がセックスレス傾向にあるという。

セックスレスの理由は様々だ。共働きによる疲労、子育てによる時間不足、スマートフォンの普及による関心の分散、そして「子どもはいらない」という少子化志向の影響など、複合的な要因が絡み合っている。

しかし、セックスレスは肉体的な問題だけではない。同調査では、セックスレス傾向の既婚者のうち57.2%が「夫婦仲が良い・やや良い」と回答している一方で、非セックスレスの既婚者では66.0%がそう回答している。わずか10%の差だが、セックスレスは夫婦の親密さにも影響を与えているのだ。

“セカンドパートナー”という新しい関係性

こうした背景の中で注目を集めているのが「セカンドパートナー」という概念だ。

セカンドパートナーとは、既婚者が配偶者(ファーストパートナー)とは別に持つ、プラトニックな第二のパートナーのことを指す。「友達以上、恋人未満」の関係で、肉体関係を持たないことが大前提だ。最近では「プラトニック不倫」という別名も生まれている。

この言葉が誕生したのは2018年。当初は既婚者コミュニティで密かに使われていたが、2023年11月に有名YouTuberカップルの「セカンドパートナー騒動」がマスコミで報道されたことで一般にも浸透した。

レゾンデートル株式会社が約15,000人の既婚者を対象に行った「セカンドパートナー実態調査2024」では、以下のことが明らかになった:

  • セカンドパートナーという言葉を知っている既婚者は43.3%
  • 現在もしくは過去にセカンドパートナーがいる/いた既婚者は4.5%(男性6.0%、女性3.1%)
  • ただし、言葉を知っていてもプラトニックな関係とは知らない人が約6割

興味深いのは、セカンドパートナーを求める人々の心理だ。同調査で「セカンドパートナーがいて良かったこと」を尋ねたところ、「心が満たされる/癒しになる」との回答が68.7%で最多だった。

つまり、セカンドパートナーは性的なニーズを満たすためではなく、精神的な繋がりや心の癒しを求める存在なのだ。配偶者には話せない悩みを共有したり、異性として認められたい、恋愛感情を持ちたいという心理的欲求を満たす役割を果たしている。

海外のオープンマリッジと日本の現状

実は、夫婦が互いに配偶者以外との恋愛や性的関係を許容する「オープンマリッジ」という概念は、1970年代に欧米で生まれ、現在再び注目されている。

日本では夫婦同氏制度が基本で、法律上も「相互扶助義務」が定められているが、夫婦の形は必ずしも一つではない。法務省の調査によると、主要な先進国の多くが夫婦同氏と夫婦別氏の選択を認めており、結婚後に夫婦のいずれかの氏を選択しなければならない制度を採用しているのは日本だけだ。

夫婦関係についても、世界的に見れば多様な形が存在する。ただし、日本において既婚者同士の恋愛関係は、法的にも道徳的にも複雑な問題を孕んでいる。民法上、配偶者以外との性的関係は不貞行為にあたり、慰謝料請求の対象となる可能性がある。

だからこそ、「プラトニック」であることにこだわるセカンドパートナーという概念が、一つの落としどころとして注目されているのかもしれない。

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