ウマバエ(ヒトヒフバエ)は日本にも生息する?寄生時の症状や摘出方法を解説

上の動画の場合は目に寄生された例ですが、蝿蛆症は感染部位によって症状が異なって来るため各部位で幾つかの種類に区別されています。ですのでここでは部位ごとに起こる影響を少し解説してみましょう。

皮膚蝿蛆症

一番一般的な表皮に寄生された状態の事で、少しづつ進行する潰瘍の様な状態で長期間に渡って疼痛を伴う腫れが続きます。蚊やダニを仲介した一般的なウマバエ(ヒトヒフバエ)が起こす基本的な症状です。

耳蝿蛆症

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耳鳴りが起こり、内部を這い回る感覚が感染者にハッキリ伝わります。部位破壊による異臭のする滲出物が発生する事も。中耳までウジに侵入されると更に脳内へと移行する可能性が有るので注意が必要です。

鼻蝿蛆症

鼻の中で重度の痒みが発生し、腫れが大きくなると鼻腔の閉塞が起こるので呼吸に支障が出来て来ます。風邪のような発熱が起こり、顔面に浮腫が発生する症例も。苦しくは有る症状ですが死亡例は余り有りません。

眼蝿蛆症

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部位から来る嫌悪感はかなり有りますが症状そのものは一般的な皮膚とほぼ同じで、重度の炎症、水腫の発生などから痛みを生じます。目は異物に敏感ですから大きくなる前に大抵気付けるので失明にまで進行するのは極めて稀です。

消化器蝿蛆症

先程ご紹介した馬の感染例はこれにあたります。人で有っても卵が付着している事に気付かずに傷口を舐めたり食べ物を摂ったりと、何らかの方法でウジか卵を飲み込んでしまった場合は他の哺乳類と同様に胃腸に寄生されてしまいます。

人間がウマバエ(ヒトヒフバエ)に寄生された場合の摘出方法

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寄生した幼虫が6週間から8週間かけて5㎜ほどに成長すると自分から外へ出て行ってくれる事も有りますが、呑気に構えていると周囲や自分の体内などへの二次被害の恐れが有りますのでやはり駆除してしまうべきです。

日本に居る分にはウマバエ(ヒトヒフバエ)の被害に合う可能性は極めて低いですが、海外に渡航する機会が有れば万が一が起こらないとは言い切れません。自力で行えるかどうかはともかく寄生されてしまった時にどう対処する物なのかくらいは抑えて置きたい所です。知っていて損と言う事は決して有りませんのでご紹介しておきましょう。

寄生箇所を切開して取り出す

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まず医療機関での一番一般的な治療方法として挙げられるのが寄生箇所を直接切開する外科的な処置となります。寄生部位が皮膚以外の場合はこちらしか手が有りません。ですが皮膚に寄生された場合で尚且つ時間的な余裕が有る初期対応ならもう少し穏便な方法としてウマバエの幼虫を自主的に出させて引っこ抜くと言う手段も選べます。

その場合は皮膚に開いた幼虫の呼吸孔となっている穴にワセリンや軟膏など呼吸の妨げになる物を塗り込みます。すると幼虫が酸素を求めて這い出て来るので空かさず指で更に押し出しつつピンセットなどで引き抜く、と言う方法になります。部位や状態にもよりますが摘出する時の痛みは基本的に余り無いので恐れず早めに治療して貰いましょう。

素人が自分で摘出をしてはいけない理由

ですがどちらの手段を用いるとしても慣れない人が実践するのは非常に危険です。引き抜く方法を見ると簡単そうに感じますが、幼虫の体は簡単に抜け落ちない様に全身を覆う無数のトゲがあり、その上奥で曲がっています。慣れない人が構造を無視して無理に引っ張ると幼虫を潰してしまう可能性が有るのです。

そしてウマバエ(ヒトヒフバエ)の体を潰すと体液が漏れだし血液中に侵入するとアナフィラキシーショックを引き起こしてしまう事も。また例え切開で有っても幼虫の体を良く知らなければウッカリ幼虫ごと切り刻む事にもなりかねませんので、いずれにしてもここは素直に専門家の手に委ねるのが賢明でしょう。

摘出後には傷跡が残る

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幼虫を除去した傷跡は寄生状態に大きく左右され軽ければ虫刺されの痕程度で済む場合も有りますが、群生化されるなどして広範囲に渡って傷付き重症になると最悪の場合皮膚移植が必要になる事も。

また処置後は再感染などを防ぐ為に傷口を確り洗浄して消毒を施す必要が有ります。切開した場合は言うまでもなく、引き抜き治療を行ったとしても生傷には違いありませんので万全を期さなくてはなりません。

ウマバエ(ヒトヒフバエ)を自分の体内で育てた昆虫学者

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世界には寄生虫の研究に際して自らを実験対象として差し出す、有り難くも奇特な学者が度々現れ私達の安全な生活に貢献してくれていたりします。このおぞましいウマバエ(ヒトヒフバエ)で有っても例外ではなく、何人かの猛者が挑戦しています。その中の一人、日本人昆虫研究者の西田賢司さんをご紹介しましょう。

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