ウマバエ(ヒトヒフバエ)は日本にも生息する?寄生時の症状や摘出方法を解説

ダニや蚊など人の血を吸う虫は結構いますので媒介者探しは然程難しくなかったでしょう。ウマバエ(ヒトヒフバエ)はこうした人の肌に穴を開けてくれる媒介者の腹部に産んだ卵を擦り付けます。そして、卵の運び役とされた蚊などが人に取り付くと卵が人の体温に反応して孵化。すぐ側にある媒介者が開けた皮膚の穴を利用して寄生するのです。

ウマバエの脅威から身を護る術を持つ動物

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人の様に器用な手を持たない四足動物は自力で除去出来る人間より遥かに寄生虫の脅威に常に晒されていますが、それでもただ宿主に甘んじている訳では有りません。長い年月を掛けてハエを寄せ付けない方法を本能に刷り込んで行った種も居るのです。

泥の鎧

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多くの動物が泥を体に塗る事で鎧とし肌の乾燥を防ぐと共に寄生虫から身を守っているのをご存じでしょうか。サイ、ゾウなどがそれに当たります。勿論100%防げる訳では有りませんが無防備のままで居るよりは遥かにマシです。

また、こうした四足の大型哺乳類には鳥などが背中に留まっている事が良く有るのをご存じでしょうか。この鳥たちは体に寄生した幼虫を捕食しに来ているのです。両種はいわゆる共生関係にある訳です。

縞模様がウマバエを防ぐ?

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一方シマウマは泥を塗る手間を費やさず体の方を進化させてしまいました。シマウマの縞については肉食獣へのカモフラージュや目を晦ませて時間稼ぎをする為と言う説など様々な意見が交わされていますが、近年ハンガリーでの研究でウマバエが白黒の縞模様を避ける事が報告されました。

様々な模様入りのトレイに油を入れそこに落ちるウマバエの数を数えると言う実験をした所、最も油に落ちてなかったのがシマウマの縞が描かれたトレイだったのです。まだ仮説の域は出ませんがウマバエを含むアブの仲間は交配や飲水の為に水面を見分ける必要が有り、シマウマの縞はそれを阻害するので避けるのではないかと考えられています。

人間がウマバエ(ヒトヒフバエ)に寄生された時の症状

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万一寄生されてしまったとしても出来る事なら育つ前にどうにかしたいものです。ですが生まれたばかりのホンの僅かな体積に見合った食事量ですので人間にはとても感知出来ません。孵化したての幼虫は蚊に刺された痕と区別するのは難しいでしょう。

寄生されてもすぐに症状が現れない

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そんな訳でウマバエ(ヒトヒフバエ)に寄生された直後は中々治らない虫刺されぐらいの認識しか出来ません。自覚症状の無いまま幼虫が成長するまで御飯付きのゆりかご役を担わされる事に成ります。これがいわゆる蝿蛆症です。

気が付くのは馬の消化器と同様に幼虫が育ち皮下組織を旺盛に食べる事で炎症を起こしてからとなるでしょう。症状が進むと皮膚の腫れから来る痒みや痛み、酷くなると倦怠感を伴う発熱も生じます。症状にはかなりの個人差が有り、中には焼ける様な痛みを伴う人も居る一方で軽い疼き程度で済む人もいます。

蝿蛆症とは

ハエは死肉に集る物と思いがちですが、悪環境で生傷を放置した時などに起こる「ウジが湧く」状態になる事が有ります。この様に生きた哺乳類にウマバエを含むヒツジバエ科に属する151種、またラセンウジバエ、クロバエなど一部のハエの幼虫が寄生する事で発症する感染症を「蝿蛆症」、或いは「ハエ幼虫症」と呼びます。

これらのハエは傷口が無くても侵入出来るので、健康体であっても環境次第で感染する可能性が有ります。この感染症の症状は様々ですが天候などの条件が良くウジが食欲旺盛だと二日ほどで部位に細菌感染からの炎症が起こり更に放置すれば敗血症や菌血症から壊死、部位によっては致命的ともなり得ます。

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