ウマバエ(ヒトヒフバエ)は日本にも生息する?寄生時の症状や摘出方法を解説

昆虫学者である西田さんは中米コスタリカ共和国の国立大学で昆虫学を修めた後もそのままコスタリカに留まり、同国の国立公園を探検をしつつ多くの新種発見に貢献しています。そんな研究探検の最中、左手首と臍の横辺りに寄生されました。

初めは中米では珍しくない虫刺されと考えていた西田さんでしたが、傷は治る処か大きくなる一方で気付いてから2週間が過ぎた頃、患部に小さな穴が開き液が滲み出ると共に出入りする何かを発見したのです。それがウマバエ(ヒトヒフバエ)でした。

なぜ体内で飼育をすることにしたのか

わっ! ヘンな虫~探検昆虫学者の珍虫ファイル

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ウマバエ(ヒトヒフバエ)は蚊を媒介者として人に卵を付ける為に成虫を目にする機会は殆ど無く、身を寄せていた大学にも標本すら無い状態でした。中米でのヒツジバエ科による家畜への被害は深刻ですので打って付けの研究素材が手に入ったのなら逃す手は有りません。そんな訳で西田さんは自ら被験者を買って出たのです。

念の為述べておきますが、これは飽くまでも専門家による細心の注意を払った「実験」です。設備の整わない民家で素人が安易に真似をするのは極めて危険な行為となるでしょう。万一口から卵が入る事になれば大変な事になります。

 

飼育の結果は

 

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こうして飼育を始めた西田さんでしたが一か月が経った頃に手首に寄生していた幼虫が死んでしまいました。腹に寄生した方が元気に大きく育っている事から死因を部位が肉薄だったからではと憶測しています。腹の患部は大きく膨らみ幼虫が頭を出す様子が窺え、西田さんは隈なく観察しました。

二か月が過ぎると丸々太った棘だらけの幼虫が患部から転がり出ました。蛹になる為に土に落ちる行動が目の前で行われたのです。ですが落ちた先は土ではなく脱脂綿の上。幼虫は数日間蛹化に挑みましたが遂に蛹になり切る事なく途中で死んでしまいました。我が身で育てた事で情が移ったのか、その様子に西田さんは悲しみを覚えたと記しています。

ウマバエ(ヒトヒフバエ)は日本にいる?

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結論からズバリ入りますが、日本にもウマバエを初めとするヒツジバエ科のウシバエやアカウマバエなどは居ますが、人に寄生するヒトヒフバエは中米から南米など熱帯に生息する昆虫なので日本の寒暖の激しい気候では越冬出来ません。ですが被害報告が全く無い訳では有りません。

日本での寄生例はある?

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厳密には日本での被害とは言えませんが、ウマバエ(ヒトヒフバエ)の生息地へ渡航した旅行者が寄生されて帰国した例が2007年までに34件報告されています。今後も旅行者が増えればその分件数は増えて行くでしょう。

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