実は知られていない美味な魚「スマガツオ」って?食べ方や生態をご紹介

みなさん「カツオ」にはさまざまな種類がいるのをご存知でしょうか。おそらくみなさんが普段食べているカツオは「ホンガツオ」にあたるでしょう。しかし、あまり知られてはいませんが中にはホンガツオを凌駕するとまで言われている「スマガツオ」という魚種がいるのです。今回はそんなホンガツオに匹敵する美味さを持つスマガツオについて、生態や釣り方、食べ方を詳しくご紹介いたします。

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スマガツオの生態

スマガツオの分類

スマガツオは「顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科スマ属」に分類され、漢字では縞鰹、須満(スマ)、須万、などと称されています。由来としては鰹(カツオ)の縦縞に対して「横縞鰹」の意味であり、「しまがつお」が「スマガツオ」に派生したものになります。マグロとカツオの中間に近い味わいとよく表現されますが、厳密にはサバ科、サバの仲間なのです。

カツオの種類

カツオの種類は本鰹(ホンガツオ)、ハガツオ、ヒラソウダガツオ、スマガツオなどたくさんありますが、中でも一番美味しいと言われているのがスマガツオです!ソウダガツオ類などと比較すると漁れる量は少ないですが、味のよさを知る人はかなり多く、食通からも大変人気です。まだまだ知名度は低いですが、マグロの代用魚になるのでは?と注目されています。

スマガツオの生息域

スマガツオは主にインドや太平洋の熱帯域に生息するサバ科の魚です。日本では相模湾から屋久島までの太平洋沿岸付近を群れを作らず回遊しています。また、沖縄をはじめとした伊豆諸島、屋久島、小笠原諸島などといった離島にも生息しています。漁獲対象としては三重県を中心に盛んに水揚げされており、関西圏では馴染みのある魚で、関東ではあまり目にかかれません。

スマガツオの特徴

成魚は、全長1m・体重10㎏を超える大型の肉食魚で、サバ科の魚の中ではカツオとよく似ており、同じ紡錘形の体型となっています。体色は背側は濃青色、腹側は銀白色をしています。背中には、斜めに黒い帯模様が多数並んでおり、生きているときには、胸ビレの下に個体差はありますが、1~7個の黒点があるのが大きな特徴です。なお、この黒点は死ぬと消えてしまいます。鱗(ウロコ)は、眼の後部と胸ビレ周辺、側線周辺にしかなく、眼は大きく、口と接近しているのも特徴となります。

スマガツオの見分け方

カツオやソウダガツオ類より少し体高が高く、スマガツオという名前がついてある通り、カツオやハガツオと見分けがつきにくいです。そのようなスマガツオを見分けるポイントを2つご紹介いたします。一つ目はカツオやハガツオは直線的な横線模様が入っていますが、スマガツオは背中側の広範囲にかけて不規則な斜めの模様が入っています。二つ目は胸ビレと腹ビレの間にある斑点です。背中の模様と斑点が見られればほぼスマガツオと見て間違いありません。

スマガツオの釣り場と時期

スマガツオは狙って釣るのはすごく難しい魚です。食性などはカツオと同じなので基本的にはカツオと同じ釣り方を活用します。スマガツオを釣る上で釣り場情報や時期は確実におさえておかなければいけません。

スマガツオの釣れる場所

日本国内の主な釣り場としては、先ほども記述したように伊豆諸島、小笠原諸島、奄美諸島、琉球列島などの沖縄や南九州付近です。スマガツオは沖釣りでは比較的遭遇しやすく、場所によっては堤防や磯からでも狙うことが可能な魚です。釣り場は堤防や防波堤などの陸となりますが、スマガツオはあまり群れを作らず回遊する魚なので、場所や時期によってはスマガツオ自体がいない場合があります。

スマガツオの時期

スマガツオは通年で狙える魚ではございますが、主に夏場の水温が上昇する時期を狙って産卵を行うため、特に8月から10月までの秋シーズンがもっともおすすめです。また秋から春が旬な魚のため、釣ったスマガツオを美味しく召し上がるには9月〜10月のシーズンで狙うのもおすすめとなります。

スマガツオの釣り方

スマガツオは伊豆諸島や小笠原諸島などの離島において、釣りのターゲットしても狙うことが可能なため、ジギング、ルアーフィッシングはもちろんのことカゴ釣りがおすすめとなります。そんなスマガツオの釣り方をご紹介していきます。

スマガツオの釣り方①カゴ釣り

スマガツオを堤防から狙う場合に一番の人気と実績があるのがカゴ釣りです。通常の仕掛けでは届かないような沖目まで、「針」と「撒き餌」を同時に投げ、届かせる事の出来る仕掛けで、投げた先でオキアミがカゴから流れ出して、それに集まってきた魚を釣り上げる手法となります。

カゴ釣りのポイント

外洋に面した潮通しのいい堤防で、足下の水深が十分にあればスマガツオが回遊してくる可能性も高いです。100mほど飛距離を出せば、沖めを回遊するスマガツオも狙うことができます。付けエサはコマセやオキアミが一般的で、ウキ下は水深の半分くらいからスタートさせていき、遠投を繰り返し回遊を待ちながら状況を見て調整しましょう。

スマガツオの釣り方②ショアジギング

スマガツオはイワシなどの小さい魚を好んで捕食する中型の魚です。海面でさざ波がたっている状況なら、ナブラ(小さな魚が大きな魚に追われて逃げ惑って海面がジャバジャバと波立つこと)が発生している可能性があり、ショアジギングで狙うのもおすすめです。ショアジギングとは、ショア(岸)から行うジギングのことです。ジグとは金属製のルアーのことを指し、一般的にメタルジグという種類のルアーを使った釣りのことをジギングと呼びます。メタルジグは他のルアーと比較すると少し重量があり、空気抵抗を少なくする形のため、他のルアーでは届かないポイントや深場を攻めることができます。

ショアジギングのポイント

大型を狙う場合には、ショアジギング専用タックルを使うのがいいでしょう。使用ルアーはメタルジグが基本です。ジグにはアシストフック(針掛りをよくするために取り付ける針)を装着するとバラシが少なります。ショアジギングではスマガツオの他にもさまざまな青物を釣ることも可能ですし、ルアーなどを自由に選べる拡張性があり釣りをより楽しむことができます。

スマガツオの料理

ここまでスマガツオの生態や釣り方をご紹介してきましたが、ここからは本鰹(ホンガツオ)を凌ぐ美味さを持つスマガツオの食べ方をご紹介していきたいと思います。スマガツオは身がピンク色で全身がトロというほど抜群の旨さがある魚です。カツオのように大群で泳いでいるのではなく、あまり群れを作らず回遊しているため、漁獲量は非常に少なく天然のスマガツオは手に入りにくくなっております。もちろん市場に出回るほどの量もないので、とても希少です。

スマガツオの絶品料理①刺身

スマガツオは秋から冬にかけてが味覚の旬となります。良質な脂がのった身はモチモチ感と甘みがあり、マグロの中トロよりも美味と称されるほどです。白ごはんやお酒にも抜群にあいます。血合いはカツオなどと比べると少ない量ですが、鮮度はすぐ落ちてしまうため、釣れたらすぐに活き締めを行い、血抜きをしっかりして、保冷して持ち帰りましょう。

スマガツオの絶品料理②たたき

スマガツオの皮をじっくりと炙ってから刺身にするおすすめの料理法です。スマガツオに限らず、カツオを調理する上では欠かせない、ましてや旬の脂の乗ったスマガツオを美味しく食べることができる間違いのない料理です。刺身より食感は感じにくいですが、カツオの中でも脂身と極上の脂身と味わいです。また、スマガツオはホンガツオなどと比べても臭みが少ないので藁焼きなどにしなくとも、絶品の味わいを楽しむことができます。

スマガツオの絶品料理③漬け丼

白いご飯と一緒に食べるとなったらやはりづけ丼が一番おすすめです。スマガツオの刺身をダシ入りの醤油や酒、みりんで合わせた醤油に20〜30分ほど漬けるだけの簡単な料理法ですが、ネギや生姜などの薬味を合わせたり、一緒に漬け込むことでお好みの味にアレンジできるのもいいですね。

スマガツオの栄養価

スマガツオにはDHAやEPAの栄養も多くあります。DHAやEPAを摂取することで最も期待できる効果は「血液サラサラ効果」です。DHAやEPAは血管中の血栓の予防や、血栓を溶かし血流をよくするといった動脈硬化や、悪玉コレステロールの排泄に役立ちます。また、それだけではなく善玉コレステロールも増加させてくれるので、腸内環境の改善も期待できます。

スマガツオの養殖

「愛媛県水産研究センター」と「愛媛大学」では、
スマガツオの人口孵化(ふか)に2年あまりの歳月を費やし「スマガツオの完全養殖」に見事成功しております。自然保護の観点から漁獲量が規制される食用で大人気のマグロとたんぱく質・脂質の含有率がほぼ同じで「クロマグロ」に味が近い点が注目されており、漁獲規制が強まっている「クロマグロ」の代替品としても期待されています。

スマガツオの値段

現在スマガツオは限られた出荷量しか流出しておりません。価格も安定しておらず、高級なマグロとあまり変わらないお値段という状況です。もしかすると今後、スマガツオの養殖が順調に進むことがあれば、価格的にももう少し安値で手に入れることが可能になるかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はあまり知られていないスマガツオの生態や釣り方、食べ方などをご紹介させていただきました。また、スマガツオは2016年9月17日に青空レストランにて愛媛県の全身まるごとトロと呼ばれる養殖魚「スマ」として紹介されています。これからどんどん知れ渡って行き、人気になっていくでしょう。スマガツオは美味なのはもちろんのこと、DHA・EPAなどの栄養も摂れますので、ぜひ食べてみて下さい。ご愛読ありがとうございました。
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