タケノコメバルとは?
タケノコメバルは海水魚で、日本各地の浅い岩礁域、特にボトム(低底)付近に生息しており、漢字では「筍目張」と書きます。由来は様々な説がありますが、タケノコが美味しくなる時期に美味しくなるから、色がタケノコに似ているからとされています。また、「顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目メバル科メバル属」に分類され、三陸でベッコウスイ、宮城県石巻魚市場でボイジョなどと呼ばれています。
生態
先ほどにも記述しましたが、タケノコメバルは主に岩礁帯や藻場にいることが多く、太平洋や瀬戸内海側の漁港や堤防、テトラポットや磯などの比較的浅い場所からら約60mほどの水深にまで、姿を確認することができます。なお、一時激減していた地域もあったのですが、最近では栽培漁業の一環として稚魚放流が行われていることで、個体数も回復傾向にあります。現在は日本海側より太平洋側に多く生息しているとの情報があります。
大きさは?
40cmクラスのサイズが大型とされており、最大60cmクラスの個体が釣れたという情報もあるほど、地域によってサイズや数の成長も著しく変わります。しかし、タケノコメバルを狙うアングラーが急増していることもあってか、大型サイズは少なくなってきており、アベレージサイズ(25cm)ほどとなっています。
メバルではないんです!
タケノコメバルは名前にメバルと付いてありますが、メバルではありません。メバルは現在約120種類ほど確認されており、日本では約43種類ほどが確認されておりますが、厳密に言うとタケノコメバルはソイの仲間で、ベッコウゾイとも呼ばれます。
タケノコメバルの見分け方
写真を見てどれがタケノコメバルか分かる方はおそらく少ないでしょう。タケノコメバルには、口元から目の後ろに至るまで黒い縞模様があり、尻尾は扇状をしています。目の間が窪んでおらず棘が無く釣れた直後は黄色がかったような体色をしているのが特徴です。色だけで他の根魚と見分けるのは困難となります。
メバルとの違い
引用させていただいた写真のように、メバルの特徴は尾びれがまっすぐになっていることに対し、タケノコメバルは扇状の尾びれとなっています。この扇状の尾びれはソイの特徴になるので、タケノコメバル(ベッコウゾイ)はソイの仲間となるんです。
ムラソイとの見分け方
タケノコメバル(ベッコウゾイ)と見分けづらいのが、ムラソイという同じソイの仲間です。写真がムラソイになりますが、違いが分かりますでしょうか。両種ともまだら模様の体をしており、ムラソイの特徴としては、タケノコメバルの黄色がかった体色に比べ、茶色や黒みがかっている点や、目の間が窪んでいるといった点が見分ける際のポイントとなります。また、一番見分けやすいポイントは、眼の下にある涙骨(るいこつ)下縁にある棘です。タケノコメバルはその棘が丸くなっておりますが、クロソイには尖った棘が3〜4つほどあります。
タケノコメバルは釣れる?
ここまで、タケノコメバル(ベッコウゾイ)の生態について記述してきましたが、ここからはそんなタケノコメバルを釣るにあたって知っておくべきことや注意点をご紹介致します。
タケノコメバルはロックフィッシュ!
タケノコメバル(ベッコウゾイ)はロックフィッシュです。ロックフィッシュとは、根魚を指す釣り用語で地磯や漁港、波消しブロック(テトラポット)帯などに潜む魚で、水中のボトム(低底)付近をテリトリーとした、岸からも手軽に狙える魚です。ハイシーズンであれば、想像以上に近距離まで接岸きます。
タケノコメバルは釣りやすい?
タケノコメバルは幼魚であっても比較的大きな餌を好みます。小さめのルアーを使用しなければならないということはなく、様々なルアーに反応します。40㎝以上の大きい個体なら10インチ前後のワームなら丸呑みしてくるほど、餌に対し食い気があるのも特徴的な、初心者でも釣りやすい魚種です。
時期は?
カサゴ・アイナメと同じように、タケノコメバル(ベッコウゾイ)も旬は秋から真冬であり、11月〜2月にスポーニングシーズン(産卵時期)として産卵・産仔します。タケノコメバルはメバルと同様に、体内で受精し卵を孵化させ、小魚の状態まで育てて産み落とす「卵胎生」です。このスポーニングでは、産卵前に栄養を溜め込もうとするので大型の魚種が釣れやすい時期となります。
リリースすることも心がけましょう!
スポーニング(産卵時期)が最も釣れやすい時期ではあるのですが、この時期に釣れる個体は腹部あたりがすごく膨らんでいることが多くなっています。他の人気のターゲット(シーバスやエギングや青物など)が釣れにくい時期とも重なっているため、水温が低くても狙うことができるタケノコメバルやカサゴ、メバルなどのロックフィッシュを狙って釣る人達が集中してしまいます。みんなが産卵・産仔を控えた魚を持って帰ってしまうと、成長の遅いロックフィッシュは減少していく一方なので、このような魚が釣れたら持って帰りたい気持ちを抑えて、リリースすることを心がけましょう。
タケノコメバルの釣り方!
タケノコメバル(ベッコウゾイ)は見分けづらく、数もそこまで多くないですが、釣ること自体は他の魚種と同様で簡単です。釣る際の道具や方法をご紹介させて頂きます!
竿・リール
まず竿は、1.0m〜2.0m程度の短めのものを使用します。基本的にはメバリングの竿とリールで問題ありません。少し雑に扱うこともあるので安物釣具で大丈夫です!全て揃えても3千円〜5千円くらいで済みます。壊れてしまったら買い換えるくらいでいいでしょう。
タケノコメバルの餌は?
タケノコメバル(ベッコウゾイ)は他のソイ類全般と同様、動くもので口に入る大きさのものならば、ほぼ全て捕食すると言ってもいいです。その中でも、最も多く捕食されているのはカニなどの甲殻類で、その次はあらゆる小型の魚類となります。エビやカニ、根魚の稚魚やハゼ類、イワシやアジ、ゴカイやイカなど幅広く捕食し、一定の期間や時間帯によって、特定のものを偏食するということはまずありません。
釣るにはもちろん穴釣り!
タケノコメバルを釣るにはやはり穴釣りが一番です!!釣り方はいたって簡単で穴に竿を差しこみ、ラインを出す。ワームや餌をボトム(低底)まで落とし込んだらちょんちょんと竿先で誘う。大体10秒から20秒くらいで食らいついてくるが、3分ぐらいチョンチョンし続けないと出てこない穴もあるのでいい穴だと思ったら我慢強く粘ってみましょう。
穴釣りのコツ
穴釣りをする際に知っておきたいコツを下記にてお教えいたします。必ず釣れるわけではありませんが、釣っている方は必ず知っている・行なっているであろうポイントとなります。
・直射日光が底まで当たらない暗い穴
・上から見た時に底が全く見えない入り組んでいる穴
・仕掛けが簡単に落ちず、何回か引っかかる穴
・堤防とテトラポットの間に出来た隙間
・他の釣り人が穴釣りをしていない釣り場や穴
です。穴釣りは初心者でも簡単にできる釣り技法になりますのでぜひこれらの点を意識して実行してみて下さい。
根掛かりには注意!
根魚はボトム(低底)付近にいることが多いです。その為、穴釣りは「根掛かりとの戦い」になるといっても過言ではありません。頻繁に根掛かりしてしまうとすぐに仕掛けがなくなってしまいますし、それでは仕掛けがいくらあっても足りなくなるので、多めに用意しておくことがおすすめです。
タケノコメバルの料理
タケノコメバルの特徴は透明感のある白身です。熱を通しても硬くなりにくく、良い出汁が出るので汁物や煮つけで調理して食べれば絶品です!新鮮なメバルやタケノコメバルは高級料理店でも出てくるほどです。そんなタケノコメバルの絶品料理をご紹介いたします!
絶品料理その①煮付け
タケノコメバルといえば、一番有名なのが煮付けです。調理方法は、まずウロコ(鱗)を落としてエラとワタ(内臓)を抜いて、上側の側面にバッテンに飾り包丁を入れます。冷たい鍋にタケノコメバルを入れ、砂糖大さじ1、みりん大さじ2、醤油大さじ2、酒200㏄の調味料を適量入れ火に掛けます。落し蓋をして中弱火で15分煮れば完成です。煮付けで食べるとタケノコメバルの身の甘さが感じられ、味わい深い食味を楽しむことができます。熱を通しても他の魚に比べて身が硬くなりにくいので、ホロっと柔らかい身もちっとした食感が絶品です。
絶品料理その②味噌汁
次にご紹介するのは、タケノコメバルの味噌汁です。身が少ない小さめなものから、大きいものまで様々な形に対応できる料理でもあります。また、作り方も簡単で、下処理をしたタケノコメバルを丸ごと鍋にいれ、水炊きします。ある程度沸騰してきたら味噌を入れ、溶かしていくだけです。根魚の旨味がたっぷり滲み出たお味噌汁は、身体中を温め、疲れが吹き飛ぶほどの美味さです。
絶品料理その③刺身
最後にご紹介させて頂くのは、言わずもがなの刺身です。処理としては、エラと内臓、ウロコを取り除き、頭を落とします。三枚に下ろしハラス骨、小骨を切り落とし皮を剥げば完成です。新鮮なコリコリとした食感を堪能するのも良し、数日寝かし身を熟成させてからモッチリとした身を食べるのも絶品です。肝を使っての肝醤油とわさびを混ぜ、食べるのがおすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はタケノコメバルの生態と釣り方、美味しく食べる方法をご紹介させて頂きました。なかなか市場には出回らない魚種ですので、もし釣りに行かれることがあれば、注意深く観察してみてはいかがでしょうか。釣った魚の中にタケノコメバルがいるかもしれません。ご愛読いただきありがとうございました。