ホルスの目とは
このエキゾチックなマークは「ホルスの目」と呼ばれ、世界でも最も有名なエジプトのシンボルです。博物館の資料で見かけたこともあるのではないでしょうか?これはかつて古代の国において、ただのマークではなく重要な意味や神秘的な効力を持っていました。
実はその影響は日本にまで及んでいた?!どういうことなのか詳しく見ていきましょう。
ホルスの目の起源は古代エジプト
このシンボルの起源ははるか昔、紀元前数千年前の古代エジプトまでさかのぼります。我々の国では木の実を食べ、三内丸山遺跡が作られはじめたころ、かの国ではファラオによってピラミッドが作られ、そしてシンボルを自分たちの信仰に欠かせないものとして崇めてきました。
では、そもそも「ホルス」とはいったい何なのでしょうか?
ホルスの目は古代エジプトの神・ホルス神が起源
ホルスは古代人たちが崇めていた神々の一柱です。その名の通り目がシンボルマークになりました。両の目はそれぞれ太陽と月であると考えられ、国中の人々から深く信仰されていました。
とりわけファラオ、王家や権力者たちにとっても特別な位置にある神様で、その名は数千年後の現代エジプトにもきちんと残されています。
ホルスの目はピラミッドの壁画などにも描かれている!
信仰の証として、このシンボルは王家にとってとても重要な建物、ピラミッドからも発見されています。
古代人たちにとって瞳は特に重要なもの、魔術的な要素を秘めたものと考えられていました。盗掘によって荒らされた遺跡の壁画は、何よりもまず目の部分を破壊されていたといいます。盗賊たちも神の力を信じ強く恐れていたのです。
ホルスの目を持つホルス神ってどんな神様?
ではここからは、それほどまでに強大な影響力を持つ神の正体を探っていくことにしましょう。神話の中でも最も古い来歴を持ち、またあらゆる神と習合された多様な神。太陽と月をまなざしに宿す、古代において最も偉大な存在といわれています。一体どんな見た目をしているのか?名前の意味は?どんな物語があるの?以下に詳細をまとめてみました。
ホルス神はハヤブサの頭を持つ神様
この画像のようにハヤブサの顔を持つ神様、時に鳥類そのものとして描かれる異形の頭部を持っています。神話の中にはこのように鳥や獣の姿を取り入れた神々が多く見られます。
古代においてこの神は国を統べる者、つまり王位の象徴とされていました。歴代ファラオはみな神の化身であり、人でありながら神そのものとして崇め敬われてきたのです。
ホルスの目の「ホルス」の由来は?
その名の意味は諸説考えられ、エジプト語の「顔」をラテン語にしたという説や、別の単語で上位にあるものを指すという説があります。
どちらにせよルーツはリビアから来た民族の土着神であり、それが国中を征服するうちに数多くの隼神と習合していった、とても強い影響力を持つ神様でした。
父の敵であるセトを征伐
神話のエピソードで最も有名なのは、悪しき神・セト討伐の物語です。父であるオシリスを殺された母イシス(セトの姉)と息子ホルスは、敵討ちとして自らの手でセトを打ち倒し、完璧なる国の統治者になりました。なお争った二人は実は叔父と甥、イシスはセトの姉に当たります。この逸話は壮大な家庭不和物語という一面も秘めているのです。
ホルスの目が持つ意味とは?
王権の象徴という以外にも、このシンボルマークには多くの意味やパワーが隠されています。ですがご存知でしたでしょうか?実はこのマーク、右向きと左向きが存在しています。これはたまたまや間違い、意味のないことではありません。左と右で実は異なる意味、異なる名前、そして異なる効力を持っているのです。
左右で違う意味を持つホルスの目
右の目は「ラーの目」、左の目は「ウアジェトの目」と呼ばれ、それぞれ異なる経緯から別の神より取り入れられた、神秘のエネルギーを含んでいるのです。太陽神・ラーの力は母イシスが手に入れたものを譲渡されたことから、また守護神ウアジェトの力はセトとの戦で失われた目が復活したエピソードから作り上げられました。
ホルスの右目は太陽の象徴
母イシスが魔術で生み出した毒蛇をラーに噛みつかせ、解毒してほしくば神々の力の源たる真名を言えと脅して手に入れた名を、息子にも教えたことから右目には太陽の力が宿っています。
また元々ホルスと呼ばれた神はもう一柱いて、そちらはラーとイシスの息子であり、最終的に習合され最終的にひとつの神になったとも言われています。
ホルスの左目は月の象徴
左目はセトとの争いによりえぐり出されてしまいますが、その目は国中を巡りあらゆる知見を得て、月の神トートにより治癒され元の身体に戻りました。月の満ち欠けを回復や修復・再生に見立てています。
この戦いのため、イシスが息子の身を清めさせた神殿が、ウアジェトの神殿だったことが名前の由来に関係しています。
ラーとウアジェトはどんな神様?
ではここで、両の目の名前になった「ラー」と「ウアジェト」について、詳しく解説していきたいと思います。どちらもエジプトにおいて知らない者がいないほど有名な神様で、現代に至っても強い影響力を誇る存在です。
両者については先に少し触れましたが、ラーは太陽をつかさどる神であり、ウアジェトは国の守護神たる女神です。
エジプト神話の太陽神・ラー
同じく頭部をハヤブサとして描かれることの多い太陽神ラーは、古代神話における創世神であり、最も古く重要な神として知られています。信仰心のない人間を滅ぼそうとする苛烈さもあって、絶大な力の象徴ともされてきました。
もとは国を統べる立場でしたが、息子に権力を与えんとしたイシスによって支配権を奪われています。
エジプトの守護神・ウアジェト
対となる神・ネクベトと共に国を守護する神ウアジェトは、コブラの姿をもつ女神です。彼女は神殿に訪れた母子を通してオシリスとつながりを持ち、王室を守護する神に転じました。
豊穣をもたらし邪悪を退ける、慈悲深くも厳格な炎の女神です。王室の装具にコブラが多用されている所以でもあります。
ホルスの目には魔術的な効果がある?
セトとの闘いで取り出された左目は、国中を旅しあらゆる知見を得た後、肉体へと戻されました。ゆえに叡智をたずさえすべてを見通す力があるとされています。この逸話からシンボルは保護や安全をもたらす、魔よけのお守りとして人々に浸透するようになりました。母が高名な魔術師ということもあり、強い加護を持つと信じられています。
ホルスの目は数学や宇宙と関係している?
このシンボルは神話や歴史だけでなく、数字として考えても様々なものと関連性が見えてきます。それは宇宙であったり、数学であったり、人間の感覚をあらわすものであったりするのです。
ただ象徴的マークというだけではない、深く広い意味を持っている神の目を、この項目では「数」に分解して解釈していきましょう。
ホルスの目は宇宙の黄金比!
黄金比は1:1.6の比率からなる、人間がもっとも美しいと感じる形です。このシンボルも正確に描くと黄金比の形になります。黄金比の比率は動植物など自然界にもよく見られ、また宇宙空間においても惑星の軌道と関係しています。
私たち地上を生きる生物と、はるか天上の宇宙の法則を結び付ける、神秘的な意味を持つ比率なのです。
ホルスの目に隠された分数の意味とは?
古代の数学ではこのシンボルは分数をあらわす記号でした。シンボル全体を「1」を表し、それをパーツごとに分解して1/2、1/4、1/8…と割り当て、主に穀物の測定をするときに利用してきました。
最終的に和は63/64となり、1/64足りないのですがその不足は月の神トートが魔法で不足分を補ってくれている、という解釈です。
ホルスの目の分数は人間の感覚を表している?
またこの分数記号は脳の構造に当てはめることができるとされています。1/2にあたる部分で嗅覚を、1/4部分で視覚を、1/8部分で触覚を…。五感、そして思考までもが当てはめられるのです。
脳科学の視点から見るとこの説は曖昧過ぎると言われていますが、古代人が脳の役割について知っていたとしたら、それだけでとんでもないことです。
ホルスの目は第三の目と関係がある?
チャクラとは、人体を循環する精神・生命のエネルギーの出入り口とされている場所です。意識的に活性化させることにより、秘められた才能が開花してエネルギーに満ちた生を得ることができると言われています。
人が誰しも持っている7つのチャクラのうち6番目、第三の目と呼ばれるチャクラは、ウアジェトの目と密接な関係があるとされています。
ホルスの右目は人間の松果体を表している
第三の目を開花させるには、脳にある松果体の活性化が欠かせないとされています。シンボルの形はまさにこの部位を表したものという説があり、上記画像でもこのように、重ねると見事に合致します。
古代エジプト人に脳科学の知識があったかは不明ですが、ミイラなどで人体解剖に精通していたため、人体造形の知識があっても不思議ではありません。
松果体は嗅覚を除いたあらゆる感覚が集まる場所!
松果体とは間脳の奥深くに備わった小さな内分泌器のことで、嗅覚以外すべての感覚が集中する視床上部に位置し、メラトニンというホルモン物質を分泌します。睡眠や生理現象など生物が生きるリズムを担う器官ということです。
かの有名な哲学者デカルトは、松果体を物質と精神をつなげる場所、つまり魂のありかと捉え、熱心に研究していました。
松果体は第三の目?
スピリチュアルの世界では、松果体を活性化することは、さまざまな良い効果をもたらすとされています。自律神経が安定し、身体・精神はエネルギーに満ちて、かつてないほど五感が研ぎ澄まされるといいます。
そしてチャクラが開かれることにより、今まではありえなかった直観力や予知夢、霊視能力など新たなる知覚を得るようになるのです。
ホルスの目はフリーメイソンと関係がある?
フリーメイソンをご存じですか?世界中に数百万の会員を持ちながら詳細な活動がほとんど知られず、秘密結社と噂される自称・友愛団体のひとつです。そのフリーメーソンの使用しているシンボルが、実は古代エジプトと関りを持っている、という噂があるのです。果たして真実なのでしょうか?秘密結社とどんな関りが?詳細は、以下の通りです。
フリーメイソンのプロビデンスの目がホルスの目?
これはフリーメイソンのシンボルである、プロビデンスの目と呼ばれるマークです。三角形の中に人間の左目が描かれ、アメリカの国旗や紙幣にも多様されているデザインです。
この左目が、はるか遠き古代の神とつながりを持っているというのです。以下からも関連記事が読めますのでぜひ一緒にお読みください。
ホルスの目がフリーメイソンで使われるようになったのは何故?
フリーメイソンの成り立ちはそもそもエジプトにありました。ピラミッド建築に携わった石工組合を基礎としているのです。ですから本来の意味では、この三角形はピラミッドであり、中央に据えるのは神、万物を見通す英知を持つウジャトの目であるというのです。