クスサンとは?卵や幼虫、繭の特徴は?毒性はある?駆除方法なども紹介

クスサンとは、日本全国に分布する大型の茶系の蛾で、ヤママユガ科に属しています。見た目も特徴的で、さまざまな別名を持つクスサン。この記事ではそんなクスサンの生態や幼虫・繭などの特徴、毒性の有無や大量発生の原因・駆除方法などたっぷり紹介します。

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65歳の男性です。会社勤めを退きましたが、様々なテ-マについて情報収集しながら記事作りすることが好きで取り組んでいます。
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クスサンとはどんな虫?

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あなたは「クスサン」をご存じでしょうか?大量発生した幼虫が栗の木を中心に広葉樹の葉を爆食し、時に多大な被害を与えることで有名な蛾の名前のことです。

ヤママユガ科のクスサン!大型の茶色い蛾

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北海道から九州に至る日本中に広く分布する蛾で、ヤママユガ科の仲間です。クスサンは成虫になると体長が10cmを超え、蛾の中でもかなり大きい部類に入ります。加えて色も茶系で良い見栄えとも言えないため、不快害虫とも言われてます。ヤママユガ科の仲間には他にどんな蛾がいるか興味のある方はこちらをごらんください。

成虫は夏場にクヌギやコナラ、クリなどの林に生息しますが、人間の居住地域にも飛んできます。秋が過ぎ、冬が近づいてくると、クスサンの成虫は卵を産み越冬します。そして、卵を産んだ成虫はそのまま寿命を終えることになります。

栗の木の葉を食べつくすことから「クリケムシ」とも呼ばれる

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4〜7月に幼虫が出現します。幼虫の色は黒色をしており集団生活します。成長のために、特に栗の木の葉を爆食し多くの食害を起こしたります。そのため「栗毛虫」などと呼ばれることもあります。

クスサンの特徴を紹介!その①卵や幼虫

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ここでは、卵や幼虫の段階に焦点を当てて、その形状や生態の特徴について紹介します。別名の由来についても説明します。

クスサンの卵の特徴は黒い点!卵の状態で越冬

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クスサンは越冬したものが、落葉広葉樹の木肌などにまとまって産卵します。クスサンの卵は2mm径ほどの白色の俵形で上端に黒丸が付いています。

クスサンの幼虫は4~7月に出現!8mmほどで色は黒色

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4月頃孵化しますが、クスサンの若齢幼虫は、8mmほどの黒い体色で集団で生息します。白い毛がまばらに生え始めますが、まだ体色は黒が基調です。毒性はありません。

クスサンの幼虫は徐々に白くて長い毛が生えてくる

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3齢位になると毛が増えると共に、体の側面には黄色帯状模様が出現します。4齢位で多毛となり、この頃からクスサンの幼虫は「シラガタロウ」と言われる容貌になります。体色は黄色ですが、胴体の側面にある気門と言われるところが水色となり、白い毛が目立ち始めます。

幼虫は脱皮を繰り返し成長していきます。繭づくりの直前位になると、気門の水色も目立つようになり、白い毛はますます長くなり、モフモフ感が出てきます。一般的な毛虫のイメ-ジである黒っぽさや刺々しさはありません。

クスサンの幼虫は広葉樹を食べて成長する

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クスサンの幼虫は広葉樹の葉が好きです。特にクリの樹が好みだとも言われますが、どんなものも食べ、葉脈は残すというのがこの幼虫の食べ方の特徴です。

広葉樹の中でも例えば、クリの他にもクルミやトチノキ、クヌギ、コナラ、イチョウ、クスノキなどの樹木にも寄生し、すべての葉を食い尽くし、大きな被害を与えます。

クスサンの特徴を紹介!その②繭

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虫の仲間には器用に精巧な繭作りをするものがいますが、クスサンの作る繭も又、特徴的な姿をしてます。クスサンの繭の壁は大きな穴が並んでいるような網目で、向こう側がスケて見えるのです。

荒い目で竹細工のような見た目のクスサンの繭

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クスサン幼虫が作る繭はベ-ジュ色で網目状の俵型をしています。そして、その繭は、繊維がとても丈夫で、手で引き裂き破ることも難しく、ハサミを使ってようやく切れる程です。

繭の状態の幼虫は、見慣れていないと判別しにくいものですが、クスサンの繭は、向こうが見えるという点が珍しく、見間違える事はまずありません。

クスサンの繭は「透かし俵」といわれている

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繭は葉をたくさん集めて作られ、この繭から糸を採ることもできます。繭は糸を寄り合わせ、接着剤のようなもので固め、粗い網目状の壁を作っています。この為、よく「透かし俵」という呼ばれ方もされます。

クスサンの特徴を紹介!その③成虫

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クスサンは成虫になると体長が11〜15cmほどになるとも言われています。蛾の中では巨大な部類に入り、女性の手のひらに乗ってしまいそうです。これだけ巨大な蛾だと、「気持ち悪い」などと感じてしまうのも頷けます。

クスサンの成虫は茶色系!大きさは10cmを超えることも

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成虫は、毛深くて胴が太く、開張10cm以上の褐色の大きな翅を持つことです。又、胴体の毛はベージュ色の事が多く、正面から顔を見ると、オスは触角が大きく、櫛状に発達しメスが発する性フェロモンを効率よく感知します。

クスサンは後翅を広げると、眼状紋と呼ばれる、大きな目玉を思わせる模様があります。外敵に遭遇すると、前翅を上げて後翅の眼状模様を見せて、威嚇します。

クスサンの成虫は9~10月に発生する

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クスサンの成虫は年に一度、秋に入った頃に発生します。羽化すると灯りを求めて集まってきます。しかし、その幼虫が葉を食い尽くす害虫という悪いイメ-ジが強いため、成虫になってから灯りに寄ってきて家の中に入り込み、巨大な身体で飛び回わる姿も又、嫌われてきました。

クスサンの成虫は餌を食べない?

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クスサンは成虫になると、口が退化してほぼ無くなってしまい、食物は摂取しません。幼虫時に蓄えた栄養分で繁殖のため活動し、オスは交尾の後に、又メスは産卵後に数日で死んでしまいます。  

クスサンが大量発生する原因とは?

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よく昆虫や動物界では、環境諸因子のバランス関係が崩れると大量発生を繰り返すと言われています。クスサンの場合もそうなのでしょうか? そのあたりを探っていきたいと思います。

気候など環境の変化が原因で大量発生している?

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研究者談によれば、人為的な要因に加え、その時の気候の変化によっても、クスサンの卵内に寄生したハチの幼虫が生息しにくい、あるいは、秋の産卵時にクスサンの成虫が集まりやすいなど、様々な環境の変化により、クスサンの大量発生が引き起こされるようです。

絶滅しないように大量発生している可能性も?

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更に、クスサンは種存続のための知恵あるいはメカニズムが備わっており、絶滅することのないよう、予め計算されたかのように大量発生を繰り返し、移動するといった方法を採っているのではないかと考えられています。

クスサンの幼虫の駆除方法とは?

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クスサンの幼虫は主に栗の木で目立ちますが、大量発生してしまうと食いつくされて栗の木は丸裸になり、美味しい栗の実がつかなくなってしまいます。成虫に育つ前に、見つけた時点で即座に駆除することが肝要です。

クスサンの幼虫は見つけたらすぐ駆除するのがポイント!

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