この作品に登場する猫は実際に夏目漱石の家に住み着いた猫がモデルとなっているのですが、特に名前が付けられていなかったそうです。「吾輩は猫である」の冒頭文に「吾輩は猫である。名前はまだない。」とありますが、これは実話でした。
夏目漱石の雑学②本当の名前は「夏目金之助」
漱石という名前は、小説を書く時のペンネームです。由来は、中国の「枕石漱流」という言葉です。これをある中国人が「漱石枕流」と間違え、その人は間違いを指摘されるも訂正せずに強がり、負けず嫌い全開で押し通そうとした。その姿が自分と似ていたかところから命名。
夏目漱石の雑学③ロンドンに行った功績で千円札に描かれる
知名度はもとより、肖像に選ばれた理由としてロンドン留学の功績があったからとも言われています。世界に通用する通貨として、選考基準が、「国際的な人物」が重要視されました。
夏目漱石の雑学④千円札の肖像は当時45歳の時のもの
明治天皇大喪を記念して撮影されて写真で、黒いネクタイを着用し、腕には喪章をつけている。
夏目漱石の雑学⑤芥川龍之介と師弟関係だった?
この2人は師弟関係だったとも言われています。実際に芥川龍之介は、漱石の事を生涯「先生」と尊敬していたといいます。でもこれは、師匠と弟子という関係よりも、先生と生徒でした。芥川龍之介は、門下生のひとりだったのです。
夏目漱石の雑学⑥東大にはカンニングで合格していた?
実は東大にはカンニングで合格したなど、頭が良さそうな漱石のイメージとはかけ離れた一面があります。また、小説の執筆中に行き詰った時には鼻毛をひたすら抜いて原稿用紙に並べていたなんてエピソードもあります。
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極度の甘党と知られる夏目漱石が愛した菓子は?
漱石の作品の中にも数々の和菓子が登場し、文学界きっての甘党と知られています。そんな漱石が愛した和菓子を紹介します。
夏目漱石の愛した菓子①空也の空也餅(くうやもち)
1884年創業。さっぱりとしたつぶし餡を半搗きにしたもち米で包んだもの。11月と1月中旬~2月中旬に銀座本店で限定発売。予約完売の人気商品。
夏目漱石の愛した菓子②羽二重団子(はぶたえだんご)
1819年創業。生醤油の焼団子とこし餡で包んだ餡団子の2種類。きめ細かい餅の滑らかさを羽二重のようと形容し、団子の名となった。
夏目漱石の愛した菓子③日比谷松本楼の氷菓(アイスクリーム)
1903年創業。明治時代の文芸活動「パンの会」第一回会合が松本楼で開催された。夏目漱石や『智恵子抄』の高村光太郎らをはじめとする多くの文人の憩いの場所となり、作中に登場することもしばしば。
実はサラリーマンだった?夏目漱石の意外な経歴
夏目漱石が朝日新聞に入社したのは1907年、漱石が40歳の頃です。『こころ』が朝日新聞の連続小説であったことは、ご存知の方も多いでしょう。朝日新聞と漱石の不思議な繋がりについて紹介します。
新聞社による漱石の争奪合戦
漱石が『吾輩は猫である』によって文名をあげると、『国民新聞』や『日本』といった会社から寄稿のオファーが、また『読売新聞』からは入社の誘いがありました。創作に専念したい漱石は企業に入って縛られることを嫌うタイプです。
なぜ朝日新聞なのか
大阪朝日新聞社の鳥居素川(そせん)もまた、漱石に興味を示しました。しかし彼は直接会うことはせず坂元雪鳥(漱石の教え子)を通じて東京朝日新聞の池辺三山と条件交渉の末、東京朝日新聞入社を決めました。
朝日新聞社に入社するきっかけとなる気になる条件とは
月俸200円、累進式。(現在の月収300万円相当、昇給あり)むやみに解雇しないことを保証する。賞与あり。漱石は毎年長編2編を朝日新聞に書くこと、などです。
留学による教職義務年を終え、まさに「一生の道の岐れ目」
教師としての収入と著作の印税によって生計を立てていた漱石は文学の教授就任の誘いを受け、思い悩んだ結果、教職を辞して新聞社所属の職業作家となりました。
夏目漱石による珠玉の名言を紹介!
夏目漱石の名言①「死んだ気で生きて行こう」
『こゝろ』より。
夏目漱石の名言②「自らをすてて神に走る者は神の奴隷なり」
断片メモより。(明治38~39年頃に書きつけたもの)
夏目漱石の名言③「真面目とはね、君、真剣勝負の意味だよ」
『虞美人草』(ぐびじんそう)より。
夏目漱石の名言④「真面目に考えよ。誠実に語れ。摯実に行え」
『漱石日記』より。
「夏目漱石の脳が東大に保管されている」のは本当だった
東大に保管されている夏目漱石の脳を通して、夏目漱石という人間がより身近に感じられたのではないでしょうか。妻鏡子もまた芯の強さをもち、悪女と言われることもあったが、果たしてそうであったのか。小説を通して垣間見える漱石の人生は、まさに『事実は小説よりも奇なり』であったのではないだろうか。100年の時を超えて、もう一度、漱石の作品を堪能してみてはいかがでしょう。