イマジナリーフレンドとは?
「イマジナリーフレンド」をご存じですか? 自分だけにしか感じることが出来ない、自分だけの友達…そんな友人がいたらあなたはどうしますか?
記事を通して「イマジナリーフレンド」とはなにか、詳しく知ってあなたも成長していきましょう。
空想で作った脳内の友達のこと
「イマジナリーフレンド」とは、自らの空想で作り出した現象のことを言います。別名イマジナリーコンパニオン、もしくはIFというような略され方もあります。
空想上の現象ではありますが、本人にとって実際に見ることが出来たり、話したり、一緒に遊んだりすることも出来ます。普通の人間と変わらない関係性を持つことが出来るわけです。
海外では一般的なものと考えられている
海外では、「イマジナリーフレンド」は子どもが成長するにあたって、誰にでも起こりうるような現象の一つとして一般的に受け入れられています。
小さいころから自立を求められる子どもにとって、想像上の彼らは成長していく子どもに必要なものであると認識されています。
大人でもイマジナリーフレンドも持つ人も
成長しきった大人にも空想の友人を持っている人はいます。傾向としては、感受性が非常に強く、高い表現力や想像力を持っている人にそういった人が多いようです。
自分に足りない物を投影したり、孤独を何とかして埋めようとしたり…様々な理由で大人にも彼らは産まれてきます。
子どもの成長につれて自然と消えてしまう
しかし、大抵の子どもはその成長に従って大人になる前にはもう彼らのことを頭からすっかり忘れてしまいます。
自分の気持ちを共有するために生まれ、自立して成長した後は消えていく。そういったものなのです。
イマジナリーフレンドが持つ特徴
「イマジナリーフレンド」とひとくちに言っても、その実態は理想の投影や、気持ちの共有のために生み出した友人であったりと様々ですから、そこには千差万別の違いがあります。
その中でも、おおまかには以下のように分けられる場合が多く見られます。
多くは同性のイマジナリーフレンド
同じ性別の姿は最も多いパターンでしょう。自らのよき理解者であるためにはそういった姿の方が都合が良い場合が多く見られます。
なお、同性でなくても、もしくは人間でなくても、その「よき理解者である」という点はどんな姿でも変わらないのですが。
ぬいぐるみや動物を擬人化することも
小さいころ、よくおままごとや何かで人形やぬいぐるみに触れる機会は多いはずです。もしくは、ペットのように動物と触れ合う子どもも少なくありません。
そういった経験から、人間でなくとも人形やぬいぐるみ、動物などをイメージして創造する子どもも多いようです。
見聞きした物語にあてはめることもある
空想の手助けとして絵本や漫画、小説やアニメなどの登場人物の姿を借りて現れることもあります。親近感や憧れがその作品の登場人物に投影されることが多く見られます。
本人と似ている性格や真逆の性格であることも
多くの「イマジナリーフレンド」を生み出す子どもは、前述したように、よき理解者であり、自分の気持ちを共有するためにその友人を創造します。
したがって、自分自身と近い容姿や性格を投影してその姿を生み出すことが多いです。逆に、性別が違ったり、性格や年齢も全く異なるイメージを生み出す子どももいます。
彼らの姿は、自分にとって足りない部分を補完し、隙間を埋めようとする心の働きから生まれていると考えられています。
イマジナリーフレンドはなぜできる?原因は?
そんな「イマジナリーフレンド」ですが、そもそもの創造する原因とは何なのでしょうか?
次からは、子どもが自分だけの空想の友人を作り出す過程と原因についてみていきましょう。
子どもが寂しさを紛らわすため
空想の隣人を作り出す子どもに多く見られる原因として、いわゆる一人っ子である、というものがあります。
友達が上手く作れなかったり、他人の家の兄弟姉妹が仲良くしている姿を見て強い憧れを感じ、そういった原因で空想の友人を作り出してしまうのです。
子どもの家庭環境が良くない
また、その子どもの親が非常に暴力的であったり、性的虐待を受けていたり、ネグレクトなどの児童虐待を受けていたり、子どもの家庭環境に原因がある場合です。
ネグレクト 【neglect】
養育者による,子供に対する不適切な保護や養育。衣食住を十分に世話しない場合や,精神的・医療的なケアを十分に行わない場合など。栄養不良や発達障害などを引き起こすほか,人格形成に多大な影響を与える可能性がある。育児放棄。養育放棄。 (引用:三省堂 大辞林)
そういった最悪な環境でみずからの身を守るために、一種の逃避として空想の友人を生み出すのです。
コンプレックスからの逃げ口として
自分はダメなやつなんだ…とネガティブに捉えてしまいがちな子どもは、コンプレックスを解消しようとして自分を肯定してくれるようなイメージを作ります。
無意識のうちに、架空の友達に自分の至らないところをわかってもらおうとするのです。
親が過保護なことが原因
親が過保護・過干渉な場合、親が原因で子どもが極端に口出しされたり行動を制限されることを嫌い、空想の友人をつくり出す場合も。
その行為を愛情と捉えるのであれば話は変わってきますが、子どもが過保護を拒否してしまうと自由にさせてくれる友達を作り出すという形です。
性的興味が出ることが原因も
もう一つの場合として、子どもが性に目覚める時に空想上のフレンドを作り出します。子どもが性に目覚める原因は様々でしょう。
好きなアニメや漫画のお色気シーン、両親の情事を目撃してしまった…そういった時、興味の対象としての「イマジナリーフレンド」が生まれます。
イマジナリーフレンドがいる子どもはどう成長する?
では実際に「イマジナリーフレンド」を生み出す子どもたちはどういった成長をするのでしょうか?
自ら作り出した想像上の現象とはいえ、空想の友人は子ども自身に大きな影響を及ぼします。
いなかった子どもより社交性が高くなる
皆さんは自分自身とトークしたことはありませんか? 誰もいないところで一度試してみると、自分と向き合うことで考えがスッキリと整理出来ることがわかります。
空想の友人も同じで、話すことで子どもの社会性やトーク力が鍛えられると言われています。
周囲の人の感情に敏感で感受性が豊かになる
「イマジナリーフレンド」を生み出す子どもは、一見すれば内向的で孤独、かつ誰とも話したくないようなイメージがあります。
しかし、彼らはむしろ他人への強い興味を持っており、周囲の人の感情に敏感であるがゆえにこういった友人を作るのです。空想の友人を通して成長することで、感受性が豊かに育っていくのです。
想像力が豊かになる
空想の友人を持つ子どもは、他の子どもに比べ特段に視覚や聴覚イメージが強いわけではなく、どちらかといえば他人の視点を想像する力やトークの構造を考える能力が優れているのです。
そういった子どもはアニメなどの作品の登場人物といった架空の友人に強く感情移入が出来る力を持っています。人の気持ちを想像する力に長けているのですね。
イマジナリーフレンドは大人でも作れる?作り方を紹介
そんな「イマジナリーフレンド」ですが、大人になってしまった我々とは無縁の友人…というわけでは決してありません。
大人でも作ろうと思えば作れるのです。今回はその空想の友人の作り方について言及していきたいと思います。
作り方①設定を考える
作り方としてまずイメージの設定を考えていきます。ノートやメモに書いて整理していくのがより具体的になるので作り方としては、その方がよりベターだと思います。
作り方は人間かそうでないか、名前は、性別は女か男か(オスかメスか)、性格は大人しいのかそれとも活発なのか、とにかくこの部分は作り方の基礎に当たる部分なのできちんと考えていきましょう。
作り方②絵に描くとより効果的
自分の望んだ見た目を投影するには頭の中のイメージを絵に書き起こす必要があります。
曖昧なイメージでの作り方では、架空の友人に理想を投影することは非常に難しいでしょう。
作り方③話しかける
設定が固まったらとにかく目の前に空想の友人がいると思い込んで話しかけましょう。その際、この人ならこういう風に返事をするだろうという内容の返事を自分で行います。
例えば、「好きなものは何ですか?」という質問を自分でした後、設定したものがリンゴであれば「リンゴです」と返事を自分でするのです。ちなみにこの時の返事は心の中でも声に出してもオーケーです。
そうしているうちに、返事の間隔が短くなっていき、最終的には勝手に返事が聞こえるようになります。
現実逃避したい人か妄想と現実を区別できない人だと作りやすい
「イマジナリーフレンド」はある意味精神安定剤の最終手段のようなものです。
よって現実で嫌なことがある人、または現実と妄想の区別がつきにくい人のほうが上手くイメージ出来ますし、上述した作り方でも他の人より比較的容易に形成することが出来るでしょう。
イマジナリーフレンドは触れる?他人からは見えるのか
創造した「イマジナリーフレンド」はトークし放題です。では物理的に触れたりコミュニケーションを取ったりすることは可能なのでしょうか? 出来ること、出来ないことを以下で説明していきたいと思います。
物理的に触ることはできない
基本的に見ること、話すことは出来る友人ではありますが、こちらから触れることは一切出来ません。なぜなら友人は自らが頭の中で産み出したものだからです。
想像上の現象に当たるので、物理的に触ってどうにかしようとしても出来ない、というわけですね。
基本的には本人にしか見えない
イメージは基本的に作り出した本人にしか見ることは出来ません。自らの空想上の友人であるならば、視覚に投影して映し出すことも本人にしか出来ないのです。
ただ、何事にも例外はあります。基本的に本人にしか見ることは叶わない友人ですが、本人以外ともコミュニケーションする場合があります。下記に供述するのはそんな例外です。
本人以外とコミュニケーションできることも
例外的に本人以外とコミュニケーションする場合があります。それは、同じ想像上の姿を共有している場合です。
こんな話があります。ある捕虜になった兵士たちは長引く捕虜生活で苛立ちが募り精神に限界を迎えていました。そこで皆で脳内に共同のガールフレンドを作り出したのです。
一つの席を彼女の指定席とし、配膳の際は皆で彼女の分の一膳をこしらえたり、着替えの時は彼女に配慮したり、誕生日には皆総出で祝いました。