ダッチオーブンとは
これからの季節のアウトドアには欠かせない万能鍋
徐々に秋が深まっていく今日この頃、紅葉でのキャンプ、そして火をおこしてのキャンプ飯、秋のキャンプはまた特別な楽しみがあります。そんなこれからのシーズンのキャンプに欠かせないアイテムが今回の主役、ダッチオーブンです。これひとつで何種類ものお料理が作れてとても便利なのです。
種類も豊富なダッチオーブン
ダッチオーブンとひとことで言っても素材も種類も実に色々あります。メーカーによってもそれぞれの特徴がありますし、どれがいいの? または手入れが大変そう。といったお悩みも尽きないかと思います。そんな初心者さんのお悩みにも応えていくのでぜひご覧ください!
優秀鍋の構造を紐解く
とても優秀なダッチオーブン。その秘密は鉄の分厚さと重量にあります。厚みによって熱伝導が均一になり、よく火が通るため煮込み料理が短時間でできます。加えて蓋も重いのでしっかり密閉でき、圧力鍋と同じ機能になります。そのため食材がもつ水分のみを利用した無水調理も可能なのです。少し前に話題になったタジン鍋も無水調理です。
ダッチオーブンの歴史
分厚い鉄製の蓋付鍋で、蓋の上にも炭を置いて上下から加熱ができることから、ローストチキンやパン、ピザなど、家庭ではオーブンレンジでの調理が必要なお料理がこれひとつで可能です。元々はアメリカの西部開拓時代に使われていました。
ほかの国でも同じ構造のものは存在していました。日本では南部鉄器という工芸品が代表的です。オーストラリアのキャンプオーブン、フランスのココットなど、これらに共通しているのは煮込み料理にしか使われていなかったことです。それに対してダッチオーブンは上下から熱することができます。
ダッチオーブンの語源
ダッチという単語からオランダが由来したものだと思われますが、それは説が色々で必ずしもそうとも言えないそうです。移民系のオランダ商人が売っていた説や、ダッチさんという人が発明したものだから説、さらにはイギリス英語では「ダッチ=もどき」というようで、本物のオーブンではないから。などなど。歴史を辿るとなかなか面白いのです。
ダッチオーブン、家庭料理でも本格メニューに挑戦しよう
ダッチオーブンってアウトドアやキャンプだけのものだと思っていませんか?IHやコンロにも対応しているダッチオーブンはアウトドアをしないご家庭でもこれ一台あればお料理を作る上でとても重宝します。鍋を買い換えようと思っている方はこの機会にぜひダッチオーブンも候補にいれてみてください。その際は足がないタイプにするのがいいです。
ダッチオーブンの使い方
正しく使おう!ダッチオーブン
“煮る” ”焼く” ”蒸す” 万能なダッチオーブンですが、お料理の失敗をなくすためには少しの準備と注意点があります。またテフロン加工の鍋と違い洗うだけというわけにはいかず、ほんの少しお手入れやメンテナンスが必要です。素材、種類によってもお手入れ方法は変わってきますのでご参考ください。
ダッチオーブンの種類(素材)
①鋳鉄製
鋳鉄製とは溶かした鉄を型に流し込んで冷やし固めた素材で、薪ストーブの材料として利用されています。錆びやすくシーズニングが必要です。(シーズニングについてはまた後ほど解説します)メーカーによってはシーズニングを終えた状態で出荷しているものもあります。手間がかかりますが使い込んで育てていく工程を楽しみとする人も多いです。
②ステンレス製
ステンレスとはシルバーの合金で錆びにくく、一般家庭にある鍋の素材として多く使われています。軽量で手入れもそれ程必要としないため、鉄製のものと比べて女性にとって扱いが楽なことがメリットとしてあげられます。そのかわりに価格は高めで使い込むと汚れが目立つというデメリットもあります。
③黒皮鉄板製
黒皮鉄とは表面に黒皮(クロカワ)と呼ばれる黒い皮に覆われた鉄のことをいい、コーティングではなく鉄を熱加工する過程において自然にできるもので、その色艶やビジュアル的な質感が魅力で、経年により現れるビンテージ感が好まれ、インテリア家具にも多く利用されています。
ダッチオーブンのお手入れ方法、シーズニングとは?
シーズニングってなに?
ダッチオーブンのお手入れで欠かせないのがシーズニング。洗ったあと油をひいてなじませる作業です。乾燥という意味で英文字綴りは「Seasoning」。この作業をきちんと行うことで、ダッチオーブンの状態が良く保たれます。せっかくですから手間暇は惜しまず、ダッチオーブンをかわいがってあげてください。
シーズニングのやり方
ダッチオーブンは出荷時に防錆処理のためワックスが施されています。それを洗剤で落とし、火で熱して水分をとばします。注意点は煙があがってきても熱し続けること。次第に表面の色がだんだんと青っぽくなってくるのでそこで火を止めて油をひきます。次にクズ野菜を油がある状態で低温で炒めます。これは鉄の臭いを消すための作業です。この作業を何回か繰り返します。
使用後は?
この一連の作業がシーズニングで、これの後初めて調理に使えるというわけなのですが、ダッチオーブンのお手入れは、使用後も普通の鍋とは違います。
- 使用後は料理の汚れをキッチンペーパーで拭き取り熱湯を注ぎます。割れ防止のため水を入れないこと。
- 火にかけながらさらに汚れを浮かしていきます。完全に汚れが浮いてきたらもう一度ペーパーで拭き取り、今度は水分を飛ばします。
- シーズンングと同じ要領で油をひきなじませます。そしてまた火にかけて煙を出して熱していきます。煙が落ち着いてきたら火を止めて冷めるまでおいておきます。
大切に育てよう
少しの手間ですがブラックポットと言って、この作業をきちんと行うことでダッチオーブンが美しい艶を持った黒色に育っていきます。このプロセスがダッチオーブンを所有することの隠れた楽しみでもありますので、ぜひ怠ることなくお手入れを続けましょう。シーズニングの詳しい手順についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
ダッチオーブンの保管方法
長期間使用しない時の注意点
キャンプのオフシーズン中、家庭でも使用しない場合には保管には気をつけてください。鉄製品は湿気を嫌い、湿度が高い場所ではすぐに錆びます。いつものように洗って油でならした後は新聞紙などにくるみ、附属のバッグや箱にしまい、湿度がない場所で保管してください。
もしも錆びたら⁉︎
万が一錆ができても決して慌てないでください!錆は洗えば落ちます。たわしにクレンザーをつけて錆を洗い落としてください。後は通常の水分を飛ばし油をなじませる一連の作業になります。