星景写真ってなに？
出典：PhotoAC
「星景写真」とは星空写真のひとつで、星空と風景を1枚に収めた写真のことを指します。カメラで風景や天体を撮ることが好きな方にとっては、一度はチャレンジしてみたいカテゴリーの1つなのではないでしょうか。今回は、この星景写真について、初歩的なことからご紹介していきます。
星景写真は「星空＆景色」を1枚に収めた写真
先ほどもご説明した通り、星景写真とは風景と星空を1つの写真に収めたもののことです。この星景写真は、暗い場面で撮影するための道具やカメラの設定方法を覚えれば撮影することは難しくないものなので、星や風景が好きな方には是非お試しいただきたいです。
星景写真を撮るのに必要なアイテム
早速ですが、星景写真を撮るために必要な道具をこちらでご紹介いたします。他の撮影シーンでも重宝される道具がほとんどで特殊な道具は無いので、お店やインターネットですぐに手元に揃えられるのではないでしょうか。
まず撮影機材を揃えよう
思い描いた通りの星景写真を撮るために、まずは道具を揃えましょう。そこでここでは、どんな性能を持った機材が必要なのかについてお伝えします。星景撮影に必要な機能を理解して、しっかり準備をして臨みましょう。
カメラ
星景撮影では夜間に一定の姿勢で行うことが多いため、バリアングル液晶のカメラを用意することが望ましいです。さらに、防塵・防滴などの性能を持ったものを用意しましょう。また、常用感度が高いというのもカメラ選びにおいて大事なポイントです。
レンズ
星空と風景を撮影するので、なるべく広角のものを用意しましょう。具体的には24mm以下のものにすることがベターです。広角のレンズにすることで、広範囲に渡って広がる天の川を撮影することも可能になります。
その他
星空の撮影は夜間に行うため日中より光源が大幅に減ります。それに伴いシャッタースピードを遅くする必要があるため、カメラを手で持たずに静止させることができる三脚は必ず必要な道具です。また、シャッタースピードを遅くするためにはタイマーなどで設定することも可能ですが、遠隔操作するためにレリーズを使用することを強くお勧めします。
あると便利なアイテム
こちらでは上記の必須の機材以外に、あると便利・もっと違う写真が撮れるというアイテムをご紹介します。長時間露光における弱点を補正したり、より星を綺麗に映し出すために是非検討いただければと思います。
- 赤道儀：簡単に言うと星の日周運動（東から昇って⻄へ沈んでいく動き）と全く同じ速度で回転する機構を持ち、星を点像で写すために必要な機材
- ソフトフィルター：光をやさしく強調するため、星を強調させるためによく使用される
星景写真にはこんな「カメラ」がおすすめ！
ここからは具体的にオススメの機材をご紹介していきます。まず初めはカメラです。なかなか高額なものも多く値段だけで選びがちになりやすいとは思いますが、星空の撮影以外にも使用する機材であるため是非慎重にお選びください。今回は主要メーカーから1点ずつご紹介します。
Nikon デジタル一眼レフカメラ D610
高いコストパフォーマンス
このD610はフルサイズセンサーを持つ機種でありながら、本体価格が10万円を切ります。画素数も2400万画素以上となっており、高画質です。ちなみに、センサーには大きく分けて3種類ありますが、このフルサイズというのがセンサーでは一番高画質に撮影できるものになります。
安心の防滴性
カメラに求められるスペックとして防滴性をあげましたが、このD610ももちろんその機能を備えています。夜間～明け方にかけて、野外はかなり湿度が上がるためカメラを守るために必須の性能です。
スペックまとめ
- 2426万画素
- フルサイズセンサー
- ISO 100～6400
- 防滴性もあり
Canon デジタル一眼レフカメラ EOS Kiss X9
常用感度が高く夜間での撮影に最適
このEOS Kiss X9は常用感度が100～25600で、光の量が少ない場面での撮影に向いている機種です。また、バリアングル液晶なので、撮影が長時間になりやすい星景撮影にも楽な姿勢で臨みやすいです。
スペックまとめ
- 450g程度で、比較的軽量な機種
- センサーは一般的なAPS-C
- 2420万画素
- ISO 100～25600
オリンパス ミラーレス OM-D E-M10 MarkII
常用感度の高い、ミラーレス一眼
先ほどのキャノン製の一眼と同様に、こちらも常用感度が高い製品です。ミラーレスということもあり軽量・小型なため、荷物の増えやすい星景撮影でも持ち運びが煩わしくならないのではないでしょうか。
スペックまとめ
- 一眼レフに比較してかなり安価で購入可能
- 軽量、342g
- 1605万画素
- ISO 100～25600
ソニー ミラーレス一眼α5100 パワーズームレンズキット
レンズキットにしては破格の安さ
こちらのソニー ミラーレス一眼α5100 パワーズームレンズキットは、これ一つでカメラ本体とレンズがキットになっていて購入すればすぐに始められるため、ミラーレスからカメラを始めようという初心者の方には特におすすめです。驚くのはお値段で、新品で55000円程度です。
画質も文句なし
有効画素数が2430万画素且つAPS-Cセンサーなので、画質や性能にこだわりたい方にもおすすめできる製品です。ミラーレスでも画質やカメラとしての性能にこだわりたい方は是非一度手に取ってみてください。
スペックまとめ
- 他のカメラに比較してカラーバリエーションが豊富
- レンズも合わせて224g
- 2430万画素
- ISO 100～25600
Vixen ポータブル赤道儀 星空雲台ポラリエ355051
赤道儀のススメ
カメラではないですが、こちらで赤道儀を1つご紹介します。序盤でご案内しましたが、赤道儀は星を「点」で撮影するために必要な道具です。この製品は4種類のモードが用意されており、その1つに星景モードといものもあります。
スペックまとめ
- 耐荷重は2kgなので一眼レフカメラでも安心
- コンパクトで手軽に持ち出せる
- モードは、星追尾モード/星景撮影モード/月追尾モード/太陽追尾モードの4種類
星景写真にはこんな「レンズ」がおすすめ！
さて、ここまで主に星景撮影に使用するカメラについてご紹介してきましたが、ここからはレンズについていくつかご紹介いたします。カメラ本体と同じくらい重要なのがレンズです。是非、ご自身の目的に合うレンズを見つけてください。
Nikon 超広角ズームレンズ AF-S 14-24mm
Nikon純正の高品質・超広角レンズ
星景撮影では景色も一緒に撮影するため広角レンズが活躍します。このレンズはそんな広角レンズの中でも特に広角です。初心者の方にはやや高めの価格設定ではありますが、純正品にこだわって揃えたい方にとっては文句のない製品なのではないでしょうか。画角の四隅まできれいに撮影できますよ。
特殊な設計
ナノクリスタルコートがあるので、逆光に近い状況下でもゴーストやフレアの少ない写真を撮ることができます。広角レンズでの撮影では気になることが多い、これらが少なくなるのは大きなメリットの1つです。
スペックまとめ
- レンズタイプ：ズームレンズ
- 焦点距離 (広角側)：14mm
- 焦点距離 (望遠側)：24mm
- F値 (広角側)：2.8
- F値 (望遠側)：22
- フィルターは装着不可
- 重量：970g
Canon 単焦点広角レンズEF24mm F1.4L II
F値1.4であるなど、夜間での撮影に最適
F値とは低ければ低いほど光を取り込む性能に長けますが、こちらのレンズはF値1.4と低く光量の少ない夜間での撮影に威力を発揮します。また、防塵・防滴性能があるので、湿度の上がりやすい夜間でも安心して使用できます。
スペックまとめ
- レンズタイプ：単焦点レンズ
- 焦点距離 (広角側)：24mm
- 焦点距離 (望遠側)：24mm
- F値 (広角側)：1.4
- F値 (望遠側)：1.4
- フィルター径：77mm
- 重量：650g
- 防塵・防滴
オリンパス 単焦点レンズDIGITAL ED12mmF2.0
風景撮影に十分な広角レンズ
このレンズは焦点距離が12mmで、風景や星景の撮影に十分威力を発揮する広角レンズです。最初にもご説明しましたが、星景撮影には広角レンズがオススメですので、是非手に取ってみてください。
スペックまとめ
- レンズタイプ：単焦点レンズ
- 焦点距離 (広角側)：12mm
- 焦点距離 (望遠側)：12mm
- F値 (広角側)：2
- F値 (望遠側)：2
- フィルター径：46mm
- 重量：200g
シグマ 広角レンズArt 24mm F1.4 DG HSM
F値が小さく、明るい
先ほどのキャノン製レンズのご紹介でもご説明いたしましたが、F値が小さいほど夜間での撮影に向いています。このレンズも先ほどのレンズと同様にF値が小さいため、視野やピントの確認をしやすい星景撮影で力を発揮するレンズです。
スペックまとめ
- レンズタイプ：単焦点レンズ
- 焦点距離 (広角側)：24mm
- 焦点距離 (望遠側)：24mm
- F値 (広角側)：1.4
- F値 (望遠側)：1.4
- フィルター径：77mm
- 重量：454g
- ここで紹介したのはキャノン用ですが、シグマ用とNikon用のレンズもあります。
Tokina AT-X 16-28 F2.8 PRO FX
星景撮影や景色の撮影に適する超広角レンズ
超広角で、星景撮影や景色の撮影に活躍するレンズです。重量が1kg近くやや重く感じるかもしれませんが、三脚などの機材を適切なものをしっかり選べば不自由なく使えます。F値も低く、夜間での撮影でも活躍します。
スペックまとめ
- レンズタイプ：ズームレンズ
- 焦点距離 (広角側)：16mm
- 焦点距離 (望遠側)：28mm
- F値 (広角側)：2.8
- F値 (望遠側)：2.8
- 重量：950g
- フィルター装着不可
- 防塵・防滴
星景写真にはこんな「設定」がおすすめ！
初心者の方には、カメラの設定が一番難しく感じているかもしれませんが、まずはこちらを参考にしながらご自身の好みの設定を見つけていただければと思います。実際には、月明かりの度合いでも設定は変わりますので、現地では微調整しながら撮影してくださいね。
撮影モードはマニュアル・手ブレ補正OFF
初心者の方だと、昼間の明るい時間はフォーカスモードはオート、手ブレ補正ONで撮影することが多いのではないでしょうか。しかし、星景撮影などシャッタースピードを遅くして撮影する際はこれらの設定を、マニュアルと手ブレ補正OFFに設定してください。
状況別設定①都市近郊など星が見えにくい場合
家やビルの光が多く、光の強い星以外があまり見えないところでの設定は、下記の設定がオススメです。郊外ではない明るい状況でもカメラの設定次第ではシャッターを切ってみたら意外と写ったりします。
- ISO感度：400~800
- F値：各レンズの開放値
- シャッタースピード：5~10秒
状況別設定②明るい星が見えるが月が明るい場合
ISO感度を下げたり、F値を大きくして絞りをしぼったり、シャッタースピードを短くするなどの対処が必要になります。月の満ち欠け具合で大きく設定が変わってしまうので、最終的にはご自身の目で確認していただくことが必須です。
状況別設定③小さい星も見えるが光害がある場合
先ほどの月明かりが強い場合と同様に、街明かりなども星景撮影には影響があります。そのため、月が明るい時と同じく、ISO感度を下げたり、F値を大きくして絞りをしぼったり、シャッタースピードを短くするなどの調整が必要になります。こちらの場合は④の設定を参考にするのが良いでしょう。
状況別設定④暗さOK！撮影に最適な条件の場合
肉眼でも多くの星がよく見える環境では、以下のように設定するのが良いでしょう。先ほども記載しました通り、月の満ち欠けによって明るさは大きく変わるので、実践する際は設定の微調整も必ずしてくださいね。
- ISO感度：800~1600
- F値：レンズの開放値
- シャッタースピード：10~20秒
星景写真を撮りたいカメラ初心者さん！まずは家で試し撮り！
星景撮影は夜間に行いますし、市街地に比較してかなり光が少ないところに行くことがほとんどです。機材もそろって、いよいよ実践！といきたいところですが、まずは自宅で練習して使い方に慣れることを強くオススメします。
