メバリングラインを使いこなそう
最近では多くのメバリングラインが販売されており、ライン選定にはしっかりした「基準」を持つことです大切です。しっかりした「基準」に基づいて準備すれば、釣り場で自分が「今、何をやっているのか?」を意識することができます。その土台になるのが釣り具選びの「基準」です。
メバリングとは
そもそもメバリングとは、「ルアーでメバルを狙う」という意味です。この「魚名+ing」の表現には、いろいろな意味が含まれています。ルアーで、手軽に、スポーティーに、スタイリッシュに、ライトになど、メバルを狙うという世界観がすべて表現されいます。
メバルは、北海道から九州の沿岸部に生息しているので、どこからでも狙えるターゲットです。また、他の釣りと比較すると装備が小さくて少ないので初心者の方にもはじめやすい釣りです。一方で、様々なノウハウが開発され、それに比例して専用の道具も次々販売されています。
メバリングと似た表現として「アジング」というものがあり、これも「ルアーでアジを狙う」というものです。ターゲットが違うだけで、そのスタイルや手軽さはほぼ同じです(釣法はもちろん違います)。アジングのノウハウも近年様々な方法が開発されているので、これらのノウハウを知ることで、メバリングに新しい気付きを与えます。
メバリングラインとはメバリングに使用するラインのこと
はじめに結論を言います。「なぜ自分はこのラインを使って、ここでメバルを狙っているか?」という自問に「〇〇だからである」と即座に答えられるようになればライン選びは完璧です。以下の手順の通りに考えてゆけばラインの選び方が理解できます。順を追って説明していきましょう。
メバリングラインの選び方|「太さ」と「強度」
ラインには「太さ」と「強度」を示す単位があります。これらの単位は「号数」「lb(ホンド)」で表示されています。しかし製品によって、表示のしかたが統一されていません。両方の単位が書かれているものもありますが、片方しか書いていない場合もあり、この辺りは初心者の方にはわかりづらい内容だと思います。
- 「太さ」=「号数」
- 「強度」=「lb」
「号数」はラインの太さを表していて、「数字が大きいほどラインが太い」という意味になります。「lb」はどの重さまで耐えられるかという強度を表しています。これも「数字が大きいほど強度がある」という意味になります(ちなみに1ポンド=約450gです)。
この2つの単位については、後述しますので、ひとまずここでは「2つの単位がある」という点だけおさえておいてください。
ライン選びはスマホ選び!?
ラインというのは、釣り人と魚をつなぐ一本の線です。人と魚がやりとりをするための線、つまり通信手段なのです。ライン選びは、言うなれば、スマホ選びに似ています。
スマホ選びでは「機種をどうするか?」という前に、どのキャリアーなら「電波が届くか」という点を考えます。自身の生活圏(自宅と学校や職場またはその経路)での電波状況がよければ、まずは「そのキャリアーで大丈夫」ということになります。
そして、もうひとの観点は、「通信相手は誰か」です。よく通話する相手(家族や友人や仕事関係者)と同じキャリアーであれば無料や安価に通話することができます。
「電波が届くか」と「通信相手は誰か」かということを整理した上で、OSや機種を選定することになります。これをメバリングライン選びに置き換えると「電波が届くか」=「ルアーが届くか」、「通信相手は誰か」=「どこの釣り場にいるメバルか」ということになります。
メバリングラインを選ぶポイントは飛距離
「電波が広範囲に届くほどよい」=「ルアーが広範囲に届くほどよい」 となります。つまるところ、ライン選びは「飛距離が出れば出るだけよい」ということになります。
飛距離があれば、広範囲にルアーを投げることができ、それだけメバルにアピールできる可能性が広がることを意味します。ラインは風の影響を受けるので、細ければ細いほど(号数が小さいほど)、風の抵抗が少なく飛距離が出ます。一方、細いほどに強度が落ちる(lbが小さくなる)という問題がありますので、ターゲットとするメバルのサイズを考慮してラインの号数を考える必要があります。
まとめますと、メバリングライン選択の基準は、「ターゲットとするメバルサイズで最大限飛距離の出るラインを選ぶ」ということになります。
2つの想定
基準がはっきりしました。「ターゲット」を想定しなければなりません。「ターゲット」を決めるには次の2つの点から考えます。「どいうサイズのメバルを釣るのか?」「どこの釣り場で釣るか?」
メバルのサイズは、ざっくりと次の3つに分けると考えやすいです。この3段階のサイズにライン強度(lb)を当てはめていきます。
- 大型メバル(25㎝以上)= 3~4lb
- 中型メバル(18~25㎝未満)= 2~3lb
- 小型メバル(18㎝以下)= 1~2lb
もちろん自然相手なので、メバルサイズと引きの強さは必ずしも上記の通りとは限りませんが、おおむねこの範囲で想定することです。次に、どこの釣り場を選択するかを考えます。メバルの釣り場を5つに分けると考えやすいです。
- 磯・・・岩場がメインで大型メバルが多い
- ゴロタ浜・・・小石の浜で大~中型メバルが多い
- 堤防・・・外灯周りなどに中~小型メバルが多い
- 港湾・・・都市部の港などストラクチャーに中~小型メバルが多い
- サーフ・・・砂地には少ないが小型メバルは見られる
メバルは主に岩礁帯を好みますので、岩場が多いほど大型が釣れる傾向が強いです。ですから、岩場が多い=「磯」=大型が多い 岩場が少ない=「サーフ」=小型が多い という傾向が成り立ちます。もちろんサーフであっても隠れ根などの岩礁帯が点在している場合もあるので、釣り場の状況に応じて判断する必要はあります。
ラインの種類と特性を知る
いよいよ具体的なライン選定に入ってゆきます。ラインは素材によりその特性が違っています。現在販売されているラインを素材でわけると次の4つです。
- PE
- エステル
- フロロカーボン
- ナイロン
実はこの順番は「比重」が軽い順に書いてます。「比重」とは水に対しての重さを意味します。PEは、水よりも「比重」が軽いためライン単体では沈みません。一方、ナイロンは「比重」が重く、沈みやすいラインということになります。「比重」だけで考えれば、表層を狙いたい場合はPEが有利で、ボトムを狙いたい場合はナイロンが有利ということになります。
もうひとつ重要な要素は「伸度」です。「伸度」はラインが伸びやすいか否かという意味ですが、ラインが伸びると「感度」が落ちて、メバルのあたりがわかり辛くなります。PEは「伸度」が3%であり、ほとんど伸びない=感度がよい という特性になります。PE以外の伸度は20~25%ほどで、結構伸びる=感度がわるい という特性になります。
ちなみに「伸度」が3%の意味ですが、100mのラインが3%(3m)伸びるということです。その他にも素材での差異は様々ありますが、まずは上記の2つ「比重」と「伸度」を意識するとメバリングラインの選択には十分です。
ナイロンは餌釣り用のラインとして昔から使われてきたもので、安価で万能で初心者でも扱いやすいラインです。ただ万能であるがゆえ、メバリングラインとして考えた場合には他のラインよりも劣ります。
エステルはメバリングよりもアジングに向いたラインなので本稿では割愛します。残る2つのライン、フロロカーボンとPEですが、実はこれがメバリングに適したラインです。ラインメーカーからもメバリング向けの商品が多数販売されていて、最も商品層が厚いのがこの2つの素材です。
「どちらの素材がよいのか?」という疑問が浮かぶと思います。結論から言うと「メバリングにとってはどちらも必要な素材です」となります。この2つは、その特性から対局にあり、状況に応じて使い分けることで広くメバリングに対応できます。以下、この2つに絞って解説してゆきます。
メバリングラインの太さの選び方:フロロカーボン
フロロカーボンは、ポリフッ化ビニリデンモノフィラメントという素材が使われています。PEラインと比較すると強度の割に太いラインになるため遠投には向きません。
一方で耐摩耗性が高く、根ズレなどストラクチャーの多い場所で使っても切れにくいです。また、比重があるので水になじみ易く、風が強い時や早い潮流で使う時に影響を抑制できます。こうした特性から考えると、ソフトルアーの使用に向いたラインと言えます。
ルアーの操作性という観点から、ボトムを攻める時や足場が高い釣り場でも手前まで深く探ることができます。またフロロカーボンラインにルアーを直結することができるので準備が簡単です。ただし、先に述べたようにPEに比べると感度が落ちるので、魚との対話(通話が聞き辛い)に多少難があります。
次の表は、各メーカーの出している製品のスペックから算出したフロロカーボンにおける「号数」と「lb」の対応表です。メーカーによって多少のばらつきはありますが、号数×4倍=lbというのが平均的なところです。
号数 | lb |
0.25 | 1 |
0.3 | 1.2 |
0.35 | 1.4 |
0.4 | 1.6 |
0.5 | 2 |
0.6 | 2.4 |
0.8 | 3.2 |
1 | 4 |
先に述べた通りメバリングに適した強度は1~4lbになるので、フロロカーボンで適合する太さは0.25~1号となります。最終的には狙うサイズによって太さをセレクトします。
メバリングラインの太さの選び方:PEライン
PEラインは、名前の通りポリエステルが素材に使われています。フロロカーボンと比較すると強度の割に細いラインが使えるため遠投するのに向いています。一方、耐摩耗性が低く、根ズレなどストラクチャーの多い場所では擦り切れる可能性があります。
この対策として、PEラインの先に50cm程度のフロロカーボンのショックリーダーを付ける必要があります。ですので仕掛け作りに少々面倒さがあります。比重が水よりも軽いので沈みにくく、ハードルアーに向いたラインです。
ただし、風が強い時や早い潮流には影響を受けやすいです。ルアー操作性の観点から言うと、根が多い場所や足場の低い場所で表層~中層域を攻めるのに使いやすいラインです。フロロカーボンと比較すると感度が良いので、魚との対話(通話が聞きやすい)は良好です。
次の表は、各メーカーの出している製品のスペックから算出したPEラインにおける「号数」と「lb」の対応表です。メーカーによって多少のばらつきはありますが、号数×10倍=lbで算出しています。製品によって20倍程度のものもあります。ここは今後の技術革新によって「より細いラインで強度アップ」されてゆくので、徐々に倍数値が大きくなる傾向にあります。
号数 | lb |
0.1 | 1 |
0.15 | 1.5 |
0.2 | 2 |
0.25 | 2.5 |
0.3 | 3 |
0.35 | 3.5 |
0.4 | 4 |
メバリングに適した強度は1~4lbになるので、PEラインで適合する太さは0.1~0.4号になります。最終的には狙うサイズによって太さをセレクトします。
釣り場での状況判断
いよいよライン選定の最終段階です。釣り場では様々状況が考えられるので、その状況に合わせてメバリングラインを選ぶことになります。ざっくりとした結論から言うと、状況が良い場合はPEが有利で、状況が悪い場合はフロロカーボンが有利です。状況とは以下のようなものになります。
- 「風の影響」・・・風が強い場合は、比重のあるフロロカーボンを選択した方が有利になります。
- 「波の影響」・・・波が高い場合は、比重のあるフロロカーボンの方が有利になります。
- 「浅場」・・・浅場では比重の軽いPEが有利になります。
- 「深場」・・・深場では比重のあるフロロカーボンが有利になります。
- 「潮流の影響」・・・潮流が速い場合は、比重のあるフロロカーボンが有利です。
- 「メバルのタナ」・・・メバルのタナが表層であればPE、ボトムであればフロロカーボンが有利です。
- 「ストラクチャー」・・・ストラクチャーが多い場合は耐摩耗性が高いフロロカーボンが有利です。
こうして並べて書くと、フロロカーボンばかりが有利なように見えてしまいますが、メバルは海が静かな状態の方が釣れる傾向が高いです。先に述べたように、状況がよい時=海が静かな時はPEを使い、状況が若干悪い時=風や波の影響が強い時はフロロカーボンを使うという切り分けで整理できます。
釣り場の状況で最終判断することで、先に述べた「なぜ自分はこのラインを使って、ここでメバルを狙っているのか?」という答えが見えてくるでしょう。
メバリングラインのおすすめ15選をご紹介
フロロカーボンとPEはそれぞれのデメリットを補う製品特性になっていて、どちらが良いとも悪いとも言えません。状況に合わせたセレクトが最も大切です。
それではメバリングラインのおすすめ15選を見ていきましょう。各おすすめ商品解説のあとに【スペック】が載せてあります。これらはメーカーサイトに記載された情報を載せています。「倍数」という表現がでてきますが、これは「号数」×「倍数」=「lb」の値です。この値が大きいほど「細くて強度のあるライン」という意味になります。この数値はメーカーサイトの情報から算出したものです。
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月下美人 TYPE/Fの特徴
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