浅間山荘事件の犯人・人質の現在は?事件の発端と日本の闇

「総括」とは前述したとおり、反省するという意味を通り越し、「反省に集中するため」と称した暴力行為です。これに似た行為がオム真理教における「ポア」と呼ばれる行動です。「ポア」とは一体どんなものなのでしょうか。

オウム真理教における「ポア」とは

オウム真理教事件とは何だったのか? 麻原彰晃の正体と封印された闇社会 (PHP新書)

Amazonで見る

ポアとはもともとチベット語のポワからきています。オウム真理教教祖の麻原が、殺人を正当化するために使った言葉です。チベット語におけるポワとは、「殺人」や「殺す」という意味を持っていませんが、密教において慈悲のために他社を殺害し、極楽浄土などへ意識を遷移させるという思想は存在します。

ポアの本当の意味

原典訳 チベットの死者の書 (ちくま学芸文庫)

Amazonで見る

ポア(正しくはポワ)はチベット語であり、仏教辞典では意味は遷移、転移、など移っていくという意味である。死という意味を含んでもいますが、殺すという意味は存在しません。死の輪廻から解き放たれることが最上とされますが、それがかなわなかった場合には人間界よりもましなところへ転生させようとする、その儀式がポワなのです。

連合赤軍の「総括」との類似点

赤い雪―総括・連合赤軍事件 ドキュメント (1980年)

Amazonで見る

「総括」との類似点は、自分たちの思考ややりたいことに反発してくる人を抹殺するというところにあります。言うことを聞けないなら殺す、教団を非難する人がいなくなるまで殺す、そういった身勝手な理由で人を殺していたのです。

オウム真理教「ポア」のやり方

qimono / Pixabay

オウム真理教は猛毒であるVXの合成に成功し、敵対者の暗殺を計画します。駐車場経営者、会社員、オウム真理教被害者の会の会長などがVXで襲撃されています。そして、松本サリン事件などのテロでたくさんの人が死ねば、教団を非難する人がいなくなるという考えでした。「ポアしまくるしかない」などと、麻原は語っていたといいます。

連合赤軍「総括」のやり方

Ichigo121212 / Pixabay

連合赤軍での活動を反省する「総括」を述べる際、上位のメンバーに認められるような内容でなければペナルティが与えられます。初めは作業から外されるだけでしたが、だんだん食事を与えられなくなり、それでも「総括する態度ではない」とみられると、暴行が加えられました。そのほか、正座、絶食の強要、暴行、束縛などそれは異質なものでした。

「総括」はやがて命を奪う

連合赤軍の「総括」は、1971年12月31日にはついに最初の犠牲者を出します。しかし、上位メンバーはこれを「総括できなかったことによる敗北死」とし、方針が改められないまま1972年2月までの約60日間に12名の犠牲者を出すに至りました。

思考が生み出した恐怖の団体と事件

浅間山荘事件は連合赤軍関連と合わせて死者を十数名も出す事件です。発端は政治的思想が行き過ぎたことですが共産主義が悪いというわけではありません。思想の自由は守られるべきであり蛮行に至った連合赤軍の問題です。今後も団体の発足・活動が起きる可能性はあります。大切なのは人々が互いに思想の差異を認め許容する心の広さでしょう。

日本で起きた殺人事件に関する記事はこちら

不可解な事件にまつわる記事はこちら