トガリネズミはネズミじゃない?ユニークで可愛い見た目と生態の秘密に迫る!

トガリネズミという生き物をご存知ですか?ツンと長く尖った鼻をもつ、小さな可愛い動物です。どう見てもネズミに見えるのですが、実はネズミではありません。ユニークで可愛い見た目と、その生態について解説していきます。

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トガリネズミとは

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日本ではあまり馴染みのないトガリネズミですが、一体どのような動物なのでしょうか。基本的な情報からちょっと変わった生態まで、小さい体に秘められた彼らの魅力を詳しくお伝えします!思わず見てしまう可愛い画像や動画もご紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

トガリネズミ科の小動物

トガリネズミとは、トガリネズミ目トガリネズミ科に属する生物の総称で、アニメのキャラクターや絵本にも取り上げられている人気の小動物です。その中でも、ジネズミ類を除くトガリネズミ亜科、カワネズミ属やジャコウネズミ属を除くトガリネズミ属がトガリネズミ類と呼ばれています。

実はネズミではなくモグラの仲間

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名前からネズミの仲間だと思われがちですが、実はモグラやハリネズミの仲間。グレーがかったくすんだ茶色の毛で覆われており、目や耳は小さく、細長く尖った鼻先をピクピクと動かしながら獲物を探します。

トガリネズミの歯は赤い

鉄分を含む赤い色素が含まれているため、歯は濃い赤色で染まっています。特徴的な前歯が2本あるほか、ギザギザの小さい歯がたくさん生えています。年齢を重ねると歯はすり減り、赤い部分が少なくなると言われています。

夜行性で虫やミミズが主食

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主な活動時間帯は夜とされており、クモやコオロギなどの昆虫類や、土の中で生活をするミミズを食べて生活しています。川などの水辺で生活している種類は魚類、海外には大型のネズミ類を捕食する種類もいます。

トガリネズミは種類が豊富!

世界中には約400前後の種類が生息しています。生息環境は地表性の昆虫類が多い環境に限られ、落ち葉の多い腐植層で生活をしています。発見の困難さゆえ、まだまだ詳しい生態が分かっていない種類も多くいます。

日本国内だけでも12種類もいる

日本でに生息している彼らの仲間は、日本国内だけでも約12種類。オオアシトガリネズミ、エゾトガリネズミなどが比較的よく目撃されています。海岸や湿地、山地の森林など多様な環境に生息していると言われています。

海外だと21種類も

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中国の一部を含むユーラシア大陸一帯、アフリカ、北アメリカから中央アメリカなど、海外にも多くの種類が分布しています。毒を持つプラリナトガリネズミを始め、スペインミズトガリネズミなど、約21種類ほどの生息が確認されています。

絶滅危惧種も多い

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森林伐採や土木工事による土壌損失などによって生息環境が悪化し、絶滅危惧種に指定されている種も多くいます。彼らが安心して生活をするためには、昆虫類が豊富な森林の保全、または創出に配慮することが必要とされています。

トガリネズミは日本にも多く生息している

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日本では北海道、本州、四国、栃木県の一部地域での生息が確認されています。いずれも温帯または寒帯に分布し、平野部の草むらや落葉層など比較的人里に近いところに棲んでいると言われています。

日本では北海道に生息

彼らの仲間のほとんどが、北海道に生息しているとされています。なぜ北海道でこんなにも多くの種類が発見されるのでしょうか。実は、北海道で「モグラ」と呼ばれる生き物は全てトガリネズミだからなのです。

1万6千年前から1万2千年前の氷河期の終わり頃、北海道と本州の間にある津軽海峡の水深が深く、2つの島が陸続きになることはありませんでした。土の中で生活していたモグラの先祖は津軽海峡を渡ることが出来なかったと言います。その為、北海道には「モグラは生息していない」とされているそうです。

森林害虫を食べてくれる

越冬や蛹化の為に土の中で過ごす昆虫も、彼らにとっては恰好の食物です。ここ数年で葉を食害する害虫が大発生被害が続いていた苫小牧地方の被害林分の繭を調べたところ、食痕などからかなりの数の蛹を捕食していたことが分かったそうです。

有名なのは「トウキョウトガリネズミ」

「トウキョウトガリネズミ」は、北海道にのみ生息しています。なぜ、東京にいないのに「トウキョウ」という名前がついているのでしょうか?実を言うと、東京を含む本州では、その生息が確認されたことはありません。

名前の由来

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1903年、トウキョウトガリネズミの捕獲が初めて成功した時、発見者であるR.M.ホーカーは標本ラベルに「Yezo(蝦夷)」と書くべきところ、誤って「Yedo(江戸)」と記載してしまいました。

江戸=東京ということから、東京で発見されたものだと判断され、「トウキョウトガリネズミ」という名がつけられたと言われています。その後50年以上、北海道で再発見されるまで、東京に住む謎の種類とされていました。

トガリネズミは人間の祖先?

生物が進化をする過程では、1つの生物からいくつかの生物に別れることが幾重にもあるそうです。恐竜の時代に暮らしていたトガリネズミに似た小さな生き物が、人間のように比較的成熟した赤ん坊を産む動物のもっとも古い祖先として知られています。

中国のジュラ紀の母「ジュラマイア・シネンシス」

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木登りに優れた前足を持ち、温暖なジュラ紀の森林を走り回っていたその生き物は「ジュラマイア・シネンシス」と名付けられました。中国遼寧省で発見され、体重は15グラムほど。主に昆虫類を好んで食べていたそうです。

ヒトはネズミに近い生き物

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人類を含む進化上の大きな系統は、小さな小さな小動物から始まりました。遺伝子的には、ヒトはネズミに近い動物とされています。その為、医学、医療などに応用される動物実験では多くのネズミが実験台になっていると言います。

トガリネズミの特徴と変わった生態

トガリネズミには少し変わった生態があります。その生態は、彼らの体の小ささに関係していると言われています。発見の困難さから確実な情報が分かっていませんでしたが、最近になって少しずつ明らかになってきました。

世界一小さい哺乳類

トウキョウトガリネズミは「人の親指より小さい」と説明されるほど小さく、胴体は約5センチ。体重も1.5~1.8gしかありません。長い尻尾は3センチほどあり、植物の葉や茎の上で素早く動く時にバランスを取っていると言われています。

トガリネズミの性格

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トガリネズミはとても慎重な性格です。自分の行動範囲に何か変化が起きると必ず確認をします。ある研究室で夜間の行動を撮影しようとカメラを入れたところ、最初は遠目で、最後には触って確認をしたそうです。野生のトガリネズミが人間が仕掛けた罠に落ちるのも、何があるかを確認をする過程で落ちると言われています。

夜行性だが、常に動き回っている

基本的に夜行性ですが、昼夜問わず活動し続けていることがほとんどです。これは基礎代謝量が極めて高いためとされています。心拍数は1,000回ほどで、活動のほとんどを採餌に費やしています。

運動能力が優れている動物として、同じネズミの仲間であるチンチラという動物がいます。寿命も10年と長く人懐っこい性格なのでペットとしても人気があります。可愛らしい動物がお好きな方はぜひご覧ください。

ご飯を食べ続けないと死んじゃう?

トガリネズミは食事と睡眠を3時間ごとに繰り返します。体が小さくエネルギーを蓄えることができないため、1日でも食事を取らないと死んでしまうという、非常にシビアな生活をしています。寿命も短く、最長でも1年半程度とされています。

トガリネズミは冬眠をしない

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冬眠をする哺乳類は多く存在しますが、トガリネズミは冬眠をしません。それは、食事が出来ないと息絶えてしまう生態がゆえのことで、冬でも食料調達のために休むことなく動き回らなくてはならないのです。

寒い冬を乗り越える為の術

トガリネズミは体に対する脳の重さの割合が最も大きい生物とされています。食料調達の難しい冬の時期には、脳を保護している頭蓋骨を縮小させ、代謝の多い脳の代謝量を低減していると言われています。

春には元に戻る

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