椿を見るのにベストな季節は?種類によって異なる見頃をチェック!

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侘助椿は冬の代表的な椿で、花の見ごろは12月~4月です。京都市左京区にある『龍安寺』の侘助椿は日本最古のものと言われていて、豊臣秀吉にも絶賛されたとも。冬に京都を訪れる機会があれば、枯山水の美しい石庭とともにぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

知ってる人は知っている?五島列島の幻の椿「玉之浦」

幻の椿『玉之浦』をご存知ですか。ヤブツバキの突然変異種で長崎県五島原産の中輪の椿です。昭和22年に偶然発見されて後、幻の椿として広く知られることになりましたが、相次ぐ伐採などで原木は枯死してしまいました。現在ではその子孫が世界中に広がり栽培されています。花は一重で濃紅地の花びらに白の覆輪のコントラストが美しく人気です。

玉之浦の品種

玉之浦はツバキ科の耐寒性常緑小高木で、樹高は2m~4mほどです。玉之浦との掛け合わせにより現在は品種改良された新たな品種が生まれています。八重咲きの大輪で、紅地に白覆輪のタマアメリカーナやタマビューティーなどがあり、玉野浦の子孫には名前に『タマ』や『玉』とつけられ人々に楽しまれています。

玉之浦の季節

玉之浦の花の見ごろは1月~4月です。五島市には樹齢300年以上と言われる『大窄(おおさこ)の大椿』も有名です。幻の椿が自生していた冬の五島で現存の椿や自然を肌で感じてみるのも素敵ですね。ちなみに五島列島の椿は資生堂の「TSUBAKI」の原材料となっています。

椿はいつの季語?

Nennieinszweidrei / Pixabay

日本人に昔から愛されてきた椿は古事記や日本書紀、万葉集の頃から歌や俳句にも詠まれ、親しまれてきました。種類が豊富なため開花の時期も幅広い椿ですが、いつの季語として使われたのでしょうか。

春の季語

椿と言えば冬のイメージがありますが、椿という漢字は『木へん』に『春』と書くように、椿は三春の季語として実は使われています。三春は初春・仲春・晩春のことで陰暦の1月~3月、新暦でいうと立春である2月4日頃~立夏の前日の5月5日頃までをいいます。

冬の季語にするなら「寒椿」

春の季語として使われる椿ですが、冬に使いたい場合は『寒椿』を使います。椿は早咲きのものは寒の内から咲き始めます。この頃に咲く椿を寒椿や冬椿、早咲の椿と呼び冬の季語として使われています。春の椿も趣がありますが、雪に咲く紅色の椿の花は凛としていて風情がありますね。

椿を見るのに有名なスポット

Buntysmum / Pixabay

昔から日本人に愛され親しまれてきた椿は近代では品種改良が進んで数多くの品種が生まれ、日本の色々な所で椿を楽しむことができ、名所と言われる所もたくさんあります。これからその中のいくつかをご紹介していきます。

椿山(青森県)

椿山は夏泊半島の北端にあり、椿が自生する北限地帯として天然記念物に指定されています。4月頃~6月頃に海岸に面した傾斜地一帯に紅色の藪椿を咲かせ、中心部の椿神社の境内には樹齢500年以上の古木が多く自生しています。また椿山沿いには椿山海岸が臨め、こちらは『日本の渚百選』に認定されている美しい海岸で海水浴客で賑わいます。

五島列島(長崎県)

玉之浦についてご紹介しました五島市では椿の咲く2月中旬頃から『五島椿まつり』が開催されています。福江にある五島椿森林公園は藪椿をはじめ約275品種3000本の椿が植えられており、珍しい品種の椿も楽しむことができます。

伊豆大島(東京都)

東京から約2時間ほどの伊豆大島は島中で椿を楽しめます。椿の開花シーズンである2月~3月に合わせて例年、島をあげて『椿祭り』が開催されています。中でも祭りのメイン会場にもなっている都立大島公園には日本最大規模の椿園や椿の資料館もあり、椿はもちろん大島の大自然を満喫できます。

綺麗なだけではない椿の魅力

品種が豊富な椿は、品種により花の咲く時期が違うことで長い期間花の時期を楽しませてくれますが、実は目で見て楽しむだけでなく花、葉、種それぞれに効能があり色々な楽しみ方や取り入れ方があります。

花と葉の効用

椿の花には生活習慣病の予防になるオレイン酸やリノレン酸が含まれています。花は料理の飾りに使ったり天ぷらやジャム、塩漬けにしたりと食することができ、また乾燥させて生薬として煎じて飲むと滋養強壮や整腸作用があり、弱った胃を丈夫にする作用があります。葉もまた飾りに使われたり、お茶として飲んだりされています。

種の効用

ヤブツバキの種子からは良質の油脂が採れ、椿油と呼ばれています。椿油はオレイン酸を多く含むため、他の油脂よりも酸化しにくく保湿力が高いと言われています。椿油は天ぷら油などの食用の油としては勿論、髪や頭皮などのお手入れや全身のスキンケアにも使われています。

植木として庭で楽しむ

名所や花公園などに出向いて花を楽しむのも良いですが、夏椿のように花や葉、樹皮や枝ぶりまで四季の変化を庭で楽しめたら素敵ですよね。ほかの品種の椿はどのように庭に取り入れられているのでしょうか。

比較的育てやすい

椿は常緑樹で花の時期が長く、比較的寒さや暑さ、害虫にも強いので育てやすいです。立性のものと横に伸びるものがあるのでスペースを考えて品種を選びます。また品種の多い椿ですので、咲く季節や花の色や大きさ・咲き方、葉の種類など好きなもの適したものを選ぶといいですね。

庭木で人気の植木

同じ常緑樹であるオリーブは虫がつきにくく乾燥に強いのでシンボルツリーとして根強い人気があります。他にも古くから庭木として人気のイロハモミジやハナミズキ、夏椿に似たヒメシャラなど庭木になる品種は豊富です。いずれにしても椿と同様に成長した姿を踏まえて選ぶことが必要です。

椿の季節を理解して一年中楽しもう

このように椿は昔から日本人に愛されており、観賞するだけでなくオイルや食用など活用例も多くて万能です。季節によって咲く品種が違う椿の花を楽しみつつ、ぜひ皆さんも椿を生活に取り入れて親しんでみましょう。

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