イスズミってどういう魚?生態や特徴は?
イスズミの生態
全長5cmくらいまでの幼魚期は流れ藻や浮遊物付近で小型甲殻類などを食して生活し、成魚になると沿岸の海底付近に生息しています。
夏期はエビなどの甲殻類、動物性プランクトンをエサとし、冬期は海藻類や藻類を食べる雑食性です。産卵期は早春といわれています。
イスズミの特徴
イスズミの体長は30~70cm。体型は楕円形で口が小さくメジナ(グレ)に似ていますが、メジナ(グレ)が全体的に黒っぽいのに対してイスズミは背部が薄い青褐色、腹部は銀白色に薄黄色の縦縞模様があり体色は白っぽい色をしています。ただ、生息地域などで色合いが変わってくるため背ビレの棘が10~11個(メジナは13~14個)であることなどで区別するのが確実です。
あと水中にいるときに尾ひれの色で見分ける方法もあります。水中にいるときはメジナ(グレ)の尾ひれは白色、イスズミの尾ひれは黒色に見えるそうです。この方法は熟練した釣り師向けだそうなので少々難しいかもしれませんね。
イスズミの体表模様が変わるとき
ふだん海底に生息するイスズミですが浅瀬に来ると体表に白色の水玉模様が浮かびます。この現象は外敵を避けるためのカモフラージュのため、と言われています。こうして模様が変わったり、個体によって体表の色にバラつきがあるため初心者にはイスズミとほかの魚との区別が難しくなっています。
イスズミの種類
つい最近増えたイスズミの種類
イスズミ(伊寿墨)の種類は「テンジクイスズミ」、「ノトイスズミ」、「コシナガイスズミ」、「ミナミイスズミ」の4種類です。数多く見られるのは「イスズミ」と「ノトイスズミ」です。
ノトイスズミはよく見かけられるにもかかわらず、その見分け方が難しかったこともあったため、1991年まで認知されていませんでした。1991年に坂井恵一氏の論文「日本のイスズミ属魚類は4種」によってノトイスズミが追加された、という歴史があります。
あの魚も実はイスズミだった 多すぎる呼び名
日本では地方によってその呼び名が違い、「オスモウサン」「スモトリ」(三重)、「ババタレ」(近畿地方)のほか「オキグレ」「ギッチョ」「ヒットウ」(和歌山)、「ササヨ」(鹿児島)、「タカウオ」「キツウオ」「キツ」(高知)、「マット」「マービ」「アカババ」「マットゥ」(沖縄)、「イズスミ」「イスルミ」「エスズミ」「キツオ」「キットオ」「クシロ」「ゴクラク」「ゴクラクメジナ」「ヒツオ」「アサベ」「サザイ」「ハトウオ」「ハトヨ」「ワサビ」「ワサベ」「シチュー」など、多種多様な名称がある魚です。
イスズミはどこにいるの?生息地と分布は?
イスズミの生息地
幼魚は流れ藻や浮遊物の陰に生息しています。成魚は浅海の岩礁域などの海底に生息しています。ただ成魚は5~6月、10~11月の活動が活発な時期は海面近くまで来てエサを食べることもあるそうです。
イスズミの分布
太平洋やインド洋、台湾周辺中国広東省周辺、韓国釜山周辺など温帯から熱帯の海域に広く分布しています。日本では本州中部より南方、千葉県外房~千葉県以南太平洋沿岸、九州以西の日本海・東シナ海、小笠原諸島や沖縄周辺に分布しています。日本海やオホーツク海、津軽海峡にもまれにいるそうです。
日本周辺では南に行くほど魚数が多く、沖縄や小笠原諸島ではかなりの数を確認することが出来ます。
イスズミはいつ釣れる?時期、時間帯と美味しく食べられる旬は?
イスズミが釣れる時期と時間帯
イスズミが活発的なのは5~6月、10~11月の早朝、夕方の薄暗い時間帯です。曇った薄暗い日や少々海が荒れている日がよく掛かります。食べるよりもとにかくイスズミの強い引きを実感したい!釣りたい!という方にはこの時期がおすすめです。
イスズミが美味しく食べられる旬
イスズミは冬期が旬になります。冬期は主に海藻を食べるため臭みが少なく美味しく食べることが出来るこの時期が旬となり、よく釣れる時期とは少しずれるようです。逆に夏期は主に甲殻類など小型の動物を食べるため、臭みが強く食用には向かないので旬ではありません。
旬以外の時期はとにかく臭くてとても食べられないものが多いので食用にするなら旬は外せません。
イスズミはどうやって釣る?仕掛けは?
イスズミの釣り方
浅瀬の岩礁に生息しているので磯釣りになります。ある程度水深があり海藻が多いところが釣り場になりますが、イスズミの活動が活発的な5~6月、10~11月は堤防付近でも釣り場になるそうです。
エサは秋から冬はハバノリなどの海藻類、春から夏はオキアミなどの動物餌を使います。イスズミがその時期に好んで食べるものでエサを変えますが、基本雑食性なので反応によってどちらを使うかを決めていいと思います。まき餌は、オキアミやパン粉に粉砕魚を混ぜた物につけ餌もいっしょに撒くのがコツです。