サゴシとは
スズキ目サバ科に属し、斑点混じりの銀色の体色、大きい口と鋭い歯を持つ海水魚です。腰が狭い事から「狭腰」と言われるようになりました。淡白な味わいですが、クセがないので、色々な料理に使える魚です。体が大きくなるに従い、脂がのってきます。頭より尻尾の方が美味しく、脂肪のなかにはDHA、EPA等の栄養が含まれています。
サゴシの栄養価
脂肪中のDHAやEPAだけでなく良質なタンパク質、鉄分、ビタミンに含んでいます。DHAやEPAは脳細胞を活性化し、学習機能を向上。他に血栓やガンの抑制等効果もあります。ビタミンは骨の健康維持や、細胞増殖を助ける働きがあります。栄養豊富なサゴシですが、サゴシ自身もイワシやイカナゴ等栄養豊富な魚を餌としています。
サゴシは赤身?白身?
白身魚のように思われがちですが、実はサゴシは赤身魚です。赤身の定義は、見た目の色でなく、ミオグロビンやヘモグロビンといった色素タンパク質が多く含まれているかどうかです。回遊魚であるサゴシは運動量が多く、酸素が大量に必要です。その為、酸素を供給するヘモグロビンが多く含まれているのです。同じ様な意味で、鮭も実は白身魚です。
サゴシの時期
サゴシの旬とされている時期は2つあり、地方によって異なります。関西で旬とされているのは春、身は勿論、真子(卵)や白子も食べる習慣があります。春になると群れを成して瀬戸内海に産卵にやってくる事から、春を告げる魚とも言われています。関東での旬の季節は、冬から春にかけて。産卵前の脂の乗った身が好まれる為、この時期になります。
サゴシの生態
自分と同程度の大きさの魚も食べる肉食魚で、1年で45cm程に成長します。鋭い歯を持つので、釣り上げた後も怪我に注意しなければなりません。雄の寿命はおよそ6年、雌の寿命は8年程です。雌の方が寿命が長いだけでなく、サイズも大きくなります。暖かい時期に成長し、冬の寒い時期には成長しない性質を持っています。浮き袋はありません。
サゴシの生息域
水が濁った沿岸を好み、北海道の南部から九州南の日本海、瀬戸内海、太平洋沿岸部などに生息しています。近年は数が増え、漁獲量も増えています。春から秋にかけては海の浅めを泳いでいますが、冬は深めに移動して群れで活動します。1匹釣れた時は、近くに群れがいる可能性があるので、大漁のチャンスです。素早く次のサゴシを狙いましょう。
サゴシのよく釣れる時期
サゴシは、他の回遊魚と同じ、夏から秋に良く釣れます。ですが、夏に釣れる物は臭いが強くなりがちなので、秋がお勧めです。旬の時期からは少し外れますが、しっかり処理すればおいしく食べられます。時間についてですが、夕まずめと言われる夕方頃に狙うと良く釣れます。日の出、日の入りは日時や地域でも変わる為、事前に調べておきましょう。
サゴシは出世魚
サゴシは、ブリやスズキと同じく、成長に合わせて名前の変わる出世魚です。出世魚は縁起の良いとされ、お祝いの席で出されます。成長するとサゴシ、ナギ、サワラと呼び名が変わります。40cmから50cmがサゴシ、50cmから60cmがナギ、60cm以上がサワラです。関東ではサゴシの事をサゴチ、四国ではまた別の呼び名もあります。
サゴシの値段
年末から3月辺りにかけては価格が上がりまずが、基本的には1匹数百円と手頃で、スーパー等でも販売されています。サイズが大きな物になるほど値段が高くなる傾向にあるので、それも覚えておきましょう。ちなみに朝市では、小さめサイズの物が100円以下で売られている事もありました。いつもと違う場所に足を伸ばしてみるのもいいでしょう。
良いサゴシの見極め方
丸みやハリがあり、目の澄んだ物が良いサゴシです。捌いてある状態ならば、身が崩れておらず、皮の斑点の鮮やかな物を選ぶと良いでしょう。他にも、血合いの色でも判断できます。後述のアニサキスにも関係するので、出来るだけ新鮮な物を選びましょう。小さい物は淡白な味わいで、大きくなる程脂が乗ってきます。後は自分の好みとの相談ですね。
サゴシのおすすめ料理5選!
アッサリとした味のサゴシは、様々な料理で楽しめ、値段が安く普段使いしやすい食材です。今回は、刺身、炙り刺身、塩焼き、ムニエル、揚げ物の5種類を紹介しようと思います。どれも簡単に作れて美味しいメニューを選びましたので、是非作ってみてください。身が柔らかく、崩れやすいので、綺麗に仕上げたい方は注意して取り扱いましょう。
刺身
三枚におろしたサゴシの腹骨を取り、半分に切ります。背の方は骨があるので切り取ります。その後削ぎ切りにすれば出来上がりです。癖が無くアッサリした味で、新鮮なサゴシならお勧めの食べ方です。春に取れた物はさっぱりした味に対して、冬に取れたものは脂がのった濃厚な味わいをしています。食べ比べてみるのも面白いでしょう。
炙り刺身
三枚におろし、柵取りしたサゴシの皮目をバーナー(無ければコンロ)で炙ります。炙った後は、すぐ氷水に付けて冷やします。冷めたら水から上げ、キッチンペーパーで水気を拭き取って、切り分ければ完成です。炙らなかった刺身と比べ、香ばしさと凝縮された旨みが楽しめます。好みでネギ、ワサビ、ポン酢等の薬味を合わせてみるのもいいですね。