アオギスは絶滅危惧種!その生態や釣り方を徹底解説します!

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前述のように、姿形がそっくりのシロギスと見間違われることが多々あります。しかし、特徴を知っていると見分けることができます。その名前が示すように体全体の色が違うのと、背びれに黒い斑点があるのが特徴で、並べてみると違いがはっきりとわかります。

また、腹びれの色も違います。アオギスは黄色く、シロギスは白か無色です。目から口までの距離もシロギスに比べて長いので、細長く全体的に雰囲気が違うものが釣れたらシロギスではなく、アオギスの可能性もあります。

アオギスは脚立釣りで狙われていた

この魚は、警戒心が強いので船で狙うのは難しい魚でした。そのため、脚立を使った釣りで狙われていました。浮世絵にも描かれているほど歴史のある釣り方です。アオギスといえば脚立釣りというほどこの二つはセットで認知されています。

脚立釣りとは

干満の差を利用して高さのある脚立を使い、その上に座って海面に釣り糸を垂らして釣りをします。陸上から仕掛けが届かないところから自分の存在を消して魚を狙う釣り方です。現在は干潟も減少し、道具の進化によってなかなかお目にかかることができなくなっています。

アオギスの味

昔は漁獲量もあり、それなりに食べられていた魚でしたが、今では市場に出回ることはまずありません。九州方面でシロギスに混ざって釣れてくる程度なので、食べられるのは釣り人の特権といえます。

アオギスはおいしい魚

他のキス類と同様に非常においしい魚です。白身魚特有の淡白な味で脂肪が少なく、味もさっぱりしています。他の白身魚と同様、様々な調理法と相性がよく、東京湾で確認されなくなるまで、江戸前の魚としてよく食べられていました。

アオギスは手に入れることが難しい

現在市場に出回っているキスはほとんどがシロギスです。絶滅危惧種に登録されていて、生息場所や生息数が限られているため、全国各地で手に入れることは非常に難しくなっています。九州の中でも生息が確認されている大分では稀に釣れることがある程度で、スーパーなどでは入手できません。

アオギス料理をご紹介

江戸時代ではアオギスを脚立釣りで狙うというのは初夏の風物詩として有名でした。昔はそれほどなじみがあり、よく食べられていました。他の白身魚と同様に様々な調理法と相性がいい魚です。現在食べられることが少ない魚ですが、アオギスの料理を紹介します。

アオギスはかつて天ぷらが人気だった

淡白な白身のため、天ぷらで食べるのが人気でした。外側のカリッとした天ぷらの衣とアオギスの熱を通したふわふわの身が白身の味を最大限に味わうことができたため、シロギスと同じく天ぷらで食べるのがおいしい食べ方です。

アオギスの調理方法はキスと同じ

形もそっくりで同じキスの種類なので、淡白な白身を活かす調理方法でおいしく味わえます。他の魚と同様に、釣りたてはこりこりとした身の食感があり、きちんとした処理をして2~3日寝かしたものの方が旨みが増します。

通常食べられているキスの料理法は、お刺身、昆布締め、塩焼き、お吸い物などいろいろな調理方法で食べられています。それだけいろいろな料理に合わせやすいので、アオギスも同じような調理方法で食すことができます。

アオギスにはアニサキスがいるので注意

最近話題のアニサキスですが、アオギスにも寄生している可能性があるため注意が必要です。食べる際にはきちんと火を通すか、生食の場合は-20度で一日冷凍するか、一般家庭では3日~4日冷凍してから解凍して食べるといいでしょう。下ろして見つけた場合にはしっかり除去しましょう。

アオギスがいなくなった東京湾の海

絶滅してしまった可能性のある東京湾の干潟ですが、それでも日本有数の干潟を有していることには変わりありません。昭和時代の汚染された海と違い、今では着々と水質の改善が行われています。ここでは、水質改善のための取り組みと、干潟について紹介します。

東京湾の水質改善

東京湾では、東京都を中心とした首都圏の地域で水質改善に取り組んでいます。江戸川や荒川、多摩川をメインに大小合わせて60数本の河川が流入しています。河川の水質改善が海の水質改善につながるとして、工場の排水規制や下水道の整備をしています。

現在の干潟

東京湾を代表する干潟として、三番瀬、盤洲、富津、谷津干潟が挙げられます。近年の水質改善により、様々な種類の生き物が生息しています。代表的なものとして、スズキ、コノシロ、アナジャコ、アサリなど、干潟の生態系が確立しています。特にアサリの潮干狩りや、干潟で狙うスズキ(シーバス)釣りは釣り人の間でも聖地となっています。

絶滅危惧種のアオギス

現在では、九州の一部でしか確認できなくなりました。昭和30年代の高度経済成長により、得るものは大きかったのかもしれません。ですが、失ったものも確かにありました。日本という島国で棲んでいる魚がいなくなるのはとても寂しいことです。

江戸前の魚として親しまれ、江戸時代で嗜まれていたキス釣りというのはアオギス釣りのことだったと言われています。その頃から記録にある脚立釣りの風景は見ることができません。いつの日かその風景が戻ってきて、おいしいアオギスが食べられるようになるために、考えていかなければなりません。

シロギスの釣り方についてはこちら