はじめに
ベイトリールを使いこなすうえで、必ず必要となるテクニックが「サミング」です。攻める釣りをするためにベイトリールを使い始めたのはいいものの、このテクニックを上手く使えなかったために、ライントラブルに遭ったり、ルアーのコントロールができなかったりと、釣りどころではなくなってしまいかねません。そこで、今回は、ベイトリールをマスターするための第一歩として重要なテクニックである「サミング」について見ていきたいと思います。
サミングとは
「サミング」とは、ロッドを持っている手の親指を使って、ベイトリールのラインを押さえ、スプールの回転を抑えることをいいます。キャストした際、上手く投げられていれば、スプールが気持ちよく回転し、ルアーが前方にきれいに飛んでいくわけですが、ルアーが着水してからもそのままにしておくと、ルアーだけが止まり、スプールは回転し続けることになってしまいます。そうすると、この後にお伝えするバックラッシュといったトラブルが起こります。そうならないように、親指を使って、スプールの回転を抑えること、これを「サミング」といいます。
サミングの「サム」は「親指(=Thumb)」のことを指します
ちなみに、サミングの「サム」とは親指(=Thumb)のことを指し、親指を使って押さえることからサミングといわれます。この後にお伝えはしますが、スピニングリールでもサミングにあたるものはあり、その場合はフェザーリングと呼ばれます。
ベイトリールとサミングの関係
このサミングですが、ベイトリールとは切っても切れない関係にあります。回転し続けるものは、自然に急には止まらず、慣性が働くために、しばらくは回転し続けます。もちろん、最近のベイトリールの性能は以前と比べて格段に高くなっており、スプールの回転を可能な限り妨げないような機能が搭載され、かつ、ルアーの着水前後などにスプールの回転を制御するような機能も搭載されています。そのため、昔ほどサミングが絶対的に必要というわけではありませんでした。それでもやはり、トラブルを完全に防ぐことはできないため、サミングをマスターしているかどうかは、依然として重要とされています。
スピニングリールとフェザーリング
ちなみに、スピニングリールでも、サミングと同じようなことを行い、ラインの出方をコントロールすることがあります。スピニングリールではラインを押さえるのに親指を使わないため、この場合はサミングではなく「フェザーリング」と呼ばれます。スピニングリールでは、ベイトリールほどライントラブルが起こるわけではないので、スピニングリールを使って釣りをする場合に必ず必要となるテクニックというわけではないのですが、フェザーリングをすることで、キャスト後のルアーコントロールができるため、できれば習得したいテクニックです。
フェザーリングのやり方
フェザーリングは、キャスト後、スプールに対して垂直に出ているラインを、スプールの縁あたりに人差し指を伸ばして触れることで行います。この場合、スピニングリールはスプールが回転するわけではないので、スプールではなくラインを押さえることになります。具体的には、ラインが出ているスプールの端(エッジ)とラインを指で押さえる(または触れる)ようにして行います。このとき、ラインを指で引っ掛けないように気をつけます(スピニングリールでは、ベイトリールほど太いラインを使わないため、急な負荷がかかるとラインが切れてしまいます)。
サミングとバックラッシュ
ベイトリールを扱うときにサミングを行う最大の目的は、バックラッシュを防ぐことにあります。このバックラッシュはスピニングリールよりもベイトリールでのほうが起こる確率が高く、そのために、「ベイトリールを使いこなすのは難しい」「ベイトリールは上級者向けだ」といわれる理由にもなっており、ベイトリール初心者が最初にぶつかる関門ともいわれます。バックラッシュを可能な限り防ぎ、ベイトリールを自分のものにしていきましょう。
最悪のライントラブルは、ラインの全交換です
バックラッシュを防ぐのはもちろんなのですが、サミングをしないと、最悪の場合、スプールに巻いてあるラインを全交換することになります、バックラッシュといったライントラブルは、回数が多ければ多いほど、状態がひどければひどいほど、ラインに与えるダメージは大きく、それが積み重なると、ラインのヨレや痛みなどが悪化し、ちょっとした力で切れるようになってしまいます。そうなると、ラインをすべて交換する必要が出てきます。このことを防ぐためにも、サミングは必要なテクニックとなります。
やり方
ここから、サミングのやり方について見ていきます。直接のやり方は、「サミング」という名前のとおり、親指を使います。もちろん、それだけでは具体的な方法がわかりませんので、まずはサミングのゴールを確認するところから始めていきましょう。
サミングのゴールはスプールの回転を抑えること
サミングの最終的なゴールは、スプールの回転を抑えることにあります。ただ、スプールにはラインが巻かれていますので、直接スプールを押さえるのではなく、ラインを押さえることで、間接的にスプールの回転を抑えることになります(上級者の方のなかには、スプールのエッジに指を当てることでスプールの回転を抑える人もいますが、まずは基本的なところから身につけたほうがよいかと思います)。