アジを知ろう
味が良いことからアジと呼ばれるようになり、様々な料理で楽しめるアジ。脂がのってくるのは、春から夏。種類も豊富で脂がのっていて刺身に向いているもの、ムニエルやソテー、フライや焼き物に向いているもの、干物に向いているものとそれぞれに美味しい食べ方があります。ここでは様々なアジについてご紹介します。
アジについて
アジは体側に沿って、アジ科特有のぜいごまたはぜんごと呼ばれる硬くて鋭いうろこがついています。体長によって15㎝までを小アジ、30㎝以上は大アジと呼びます。アジといえば真アジのことを指している場合が多いですが、真アジ以外にも大西洋アジやくさやに向いている室アジなど約50種類の個体種があります。
アジの生態
アジの生息地は主に2種類あり1つは浅海の岩礁付近に生息しているもの。その場に根付いているので居つき型や瀬付き群と呼ばれています。もう1つは外洋を季節に応じて沿岸から沖合の中層や底層あたりを群れで長距離を回遊しているものです。春に北上し秋に南下します。回遊をしているので、回遊型、沖合回遊群、などと呼ばれています。
主な釣り方
アジの釣り方には、一本釣り、撒き餌またはコマセ、サビキ、カゴ釣り、ウキフカセ釣り、延べ竿のウキ釣り、ルアー釣り、ビジ釣りなどがあります。船から釣る場合と陸から釣る場合で捕り方や餌を変えます。アジの釣り仕掛けに興味のある方はこちらの記事も読んでみてください。
おすすめの釣り方とえさ
初心者でもトライしやすくおすすめなのはサビキ釣りです。餌は「アミエビ」をサビキカゴに入れて使います。近くにサビキをしている人がいる方がアジを呼び寄せやすいです。サビキ釣りにも色々あり、投げサビキ釣り、トリックサビキ釣りがあります。
美味しいアジの見分け方
美味しいアジを見分けるポイントは目が濁っていないこと。エラが鮮やかな赤色であること。体やヒレに傷がなく張りがあること。体が黄色みを帯びているものは脂がよく乗っているものです。しっかりと良く観察をして美味しいアジを見つけてみましょう。
アジの旬をご紹介
年中、いつでも食べられるアジ。いつ食べても美味しいアジ ですが、さらに脂がのってきてもっと美味しくなる時期があります。ここでは群れで回遊する外洋のアジと浅瀬に居つき回遊しない瀬付きのアジなど様々なアジについてご紹介します。
外洋のアジの旬
季節によって長距離を群れで回遊をする大型のアジ。サバと一緒に回遊することもあるといわれています。外洋のアジは回遊しているため身が締まり多くは脂身の少ないものですが産卵の時期の前には脂が増えてきて美味しくなります。
外洋のアジの特徴
体の全体が黒っぽく回遊しているため身がひき締まっています。前後に細長い体型をしており季節によって群れで長距離を回遊します。食性は肉食で甲殻類やプランクトン、オキアミやゴカイ類、イカや小魚等を食べます。旬の時期は回遊している地域により変わります。
外洋のアジとは
季節によって外洋を長距離を群れで回遊するアジのことを外洋のアジと呼びます。外洋域の沿岸から沖合で回遊しているため旬や産卵の時期は地域によって変わります。瀬付きのアジが脂身が多く味も香りも良いものが多いのに対し、回遊をしているため脂身が少なく身が締まっていて味わい深くフライなどの料理に向いています。
外洋のアジの味
外洋のアジは回遊しているため身が引き締まっているのが特徴です。産卵前は程よく脂も乗っているので味わい深いです。比較的多く市場に出回っているので手に入りやすいです。撒き餌(コマセ)を使いサビキで釣り上げる方法がおすすめです。
外洋のアジの具体的な旬
産卵の時期の前の北上する頃に旬をむかえ、脂の量も増えて美味しくなり栄養価も豊富になります。日本周辺を暖かい水温を求めて回遊している外洋のアジのそれぞれの地域での具体的な旬や郷土料理などを地域ごとにご紹介します。
外洋のアジは地域によって旬が変わる
外洋のアジは回遊しているため、身が引き締まり脂が少なめですが、旬とされている産卵の前の時期は脂が多くなり美味しくなります。捕獲された場所によって旬が異なるので、各地域での旬を知って美味しいアジを見極めましょう。ここからは各地域の旬や郷土料理などをご紹介します。
九州での旬
九州地方では3月ごろに旬を迎えます。郷土料理に、琉球やアジの南蛮漬けなどがあります。琉球とは沖縄の漁師さんから作り方を教えてもらった事が名前の由来になっている料理です。アジやサバ、ブリなどを細切りにし醤油、タレ、薬味で食べます。
駿河湾での旬
駿河湾沖では4月ごろに旬を迎えます。郷土料理に、アジの姿造りやアジのたたきなどがあります。その他の有名なものに日本一の生産量を誇るアジの干物があり、また養殖の真アジ、活アジの産地でもあります。
房総での旬
房総沖では5月ごろに旬を迎えます。郷土料理に、アジのさんが、なめろうなどがあります。アジのさんがはなめろうをじっくりと焼いたもの。鉄板で焼いたり、ホタテなどの貝殻につめて焼いたりします。そのほか、アジの干物や水なますなどが有名です。
三陸での旬
三陸沖では9月ごろに旬を迎えます。町おこしの一環として提供され始めた、キラキラ丼が有名です。キラキラ丼とはその時期に旬を迎える美味しい魚介類で作るどんぶりで1年で4回入れ替わります。豪華などんぶりがリーズナブルな価格で食べられると話題になり広まりました。
なめろうを作ってみよう
千葉県の郷土料理、なめろうの作り方をご紹介します。漁師町の家庭料理として愛され、お酒のおつまみにも、ちょっと焼いてさんがにしても美味しくいただけます。漁師さん直伝のレシピです。炊きたてご飯にのせてどんぶりにするのもおすすめです。
材料(2人前)
- アジ (2尾分) 4枚
- すりおろしニンニク 小さじ1
- すりおろし生姜 小さじ1
- 長ねぎ 1/2本
- 味噌 大さじ1
- 醤油 小さじ1/2
- 大葉 2枚
作り方
- 準備. 長ネギはみじん切りにしておきます。 アジは三枚おろしにして皮を剥いておきます。
- アジの身をザク切りにします。
- まな板のアジに直接、①をのせます。 包丁でよく混ぜながら細かく叩きます。
- なめらかにアジと①が馴染んだら、お皿に大葉を敷いてなめろうをのせて完成です。
料理のコツ・ポイント
お刺身用のアジを使う事で簡単になめろうができます。 店舗によって下処理をしてくれる所もありますよ。 アジは必ず新鮮な物を使ってください。 皮をしっかり剥いておくと口当たりよくいただけます。 調味料にニンニクを使う事により漁師飯感がアップします。 生の魚は足が早いので出来上がりましたらお早目にお召し上がりください。引用:kurashiru
瀬付きのアジの旬
日本沿岸の湾内や浅瀬に居着く瀬付きアジ。体の色が黄色みを帯びているという特徴があります。美味しくなる時期の旬である産卵の前の時期は脂もよく乗り美味しくなります。地域によっては金アジや黄アジと呼ぶ場合もあります。
瀬付きのアジの特徴
回遊をせず浅瀬や岩礁などに居つき、良質なプランクトンやしらすなどの栄養豊富な餌をたっぷり食べて育つため、身が厚く脂もよくのっているのが特徴です。体の色は艶の良い、やや黄色味を帯びています。
瀬付きのアジとは
瀬付きアジの生息地は種類や地域個体群によって異なり沿岸の湾内や浅瀬、岩礁などに居つくものや砂泥底にいつくものなど。また幼魚期に汽水域や淡水域に入る個体もあります。食性は肉食です。外洋のアジは身が引き締まり脂が少なめなのに対し瀬付きのアジは小ぶりでも脂がよく乗っています。
瀬付きアジの味
瀬付きアジは栄養豊富で良質な餌をたっぷり食べて育つのでふっくらと肉厚で、味も香りも良く美味しいです。それぞれの地域でブランドとなったアジも多く、産地が豊富なのも魅力。一本釣りで釣り上げたものは高級品とされることが多いです。
瀬付きアジの旬
瀬付きアジの旬は産卵前の脂がよく乗っている時期です。地域ごとに産卵期は異なりますがほぼ一年中どこかで産卵しています。アジは暖かい場所を好むため水温が低下すると暖かい場所まで下がります。
瀬付きのアジは産卵期で旬が変わる
アジの旬は4月から8月ごろまでとされていますが、全てのアジがその時期に産卵するというわけではありません。年明けから初夏には西日本で産卵期を迎え続いて、関東で初夏から夏、北海道では8月とそれぞれの地域や気候によって産卵の時期はずれていきます。春から夏にかけて漁獲量が増えていき、秋から冬にかけて減っていきます。
瀬付きアジの代表的な産地
全国で水揚げされ人気のあるブランドアジ。数多くのブランドがありますがその中でも人気のあるブランドアジの産地などをご紹介します。それぞれに食味の違いがありますので好みのアジをみつけてみてください。
兵庫県淡路島の黄あじ
「誉の味、沼島の黄アジ」のキャッチフレーズで有名な淡路黄アジ。沼島周辺で獲れるアジは頭が小さく小ぶりだが、海峡が近く天然礁や人工礁が多い海で育ち脂がよく乗り身はゴールド(黄金)に輝いています。
千葉県の黄アジ、黄金アジ
なめろうなどの様々な料理から干物まで幅広く利用されています。黄金アジは金谷沖で一本釣りで水揚げされるアジで、潮の流れの早い場所で餌が豊富な場所で育ち、身に弾力があり脂乗りが良く美味です。
大分県の関アジ
豊予海峡で一本釣りで釣られて佐賀関で水揚げされるアジです。潮の流れが早く良質なプランクトンが一年中集まる豊予海峡で育つアジは大型で脂のりが良く身が引き締まっています。また品質管理を徹底しており、基準を満たしたもののみ、「関」とされる。日本初のブランドアジです。
愛媛県の岬アジ(はなあじ)
関アジと同じ豊予海峡で一本釣りで釣られ、佐田岬漁港で水揚げされる天然物。水揚げされる漁港によって「関」か「岬」かブランドが決まる。激しい潮流と複雑な海底地形により栄養豊富な伊方町沖で育ったアジの身は脂乗りが良く歯ごたえがある。魚の体重が300g以上のものが岬アジと呼ばれる。