タラバガニについて
タラバガニは日本海、オホーツク海、ベーリング海など北太平洋沿岸が水揚げ場となっている大型の甲殻類です。日本では主に北海道のオホーツク沿岸地域で漁がおこなわれています。北海道産の旬は流氷が去った後の4~5月にかけてです。
タラバガニは世界最大のヤドカリ
タラバガニは、足を広げると1mにもおよぶ大型の甲殻類です。全身を棘状の突起物に覆われているのが特徴です。赤いイメージが強いですが捕獲時は茶色で、加熱すると外骨格に含まれている成分によって真っ赤な色に変わります。主な食用は茹で蟹や蒸し蟹ですが、新鮮な状態のものは刺身でも食べることができます。
タラバガニの生態
タラバガニの食性は肉食で、ゴカイや貝類などを餌としています。大きな甲殻類なので天敵は少ないですが、タコやオオカミウオなど強い口を持っている生物には弱く簡単に甲羅を破壊してしまいます。主な生息地は水温の低い高緯度海域なので、オホーツク海やベーリング海などにいます。
タラバガニとヤドカリの関係性を知ろう!
タラバガニはエビ目ヤドカリ下目タラバガニ科に属する甲殻類の一種で、和名にカニと入りますがヤドカリの仲間に分類されます。見た目がヤドカリと異なりカニと似ていることからあまりピンときませんが、ここではタラバガニとヤドカリの関係性を紹介します。
タラバガニとヤドカリ:生態の違い
同じ仲間とされているタラバガニとヤドカリですが、見た目以外にも生態も異なります。それなのになぜ同じ仲間とされているのか?タラバガニとヤドカリが共通している部分と異なっている部分を紹介します。
タラバガニはヤドカリの仲間
タラバガニはヤドカリの仲間とされているのは、足の数が8本で足が外側に曲がっているため前後に歩くことができることからカニ下目ではなく、ヤドカリ下目となっています。足の数だけで同じ仲間としているのは面白いですね。
ヤドカリの特徴と生態
ヤドカリはというと貝殻を背負っているイメージですが、貝殻を背負っているものは一部で、貝殻自体は別の巻貝のものを使用しています。貝殻から外すとカニのような爪と足を合わせて8本あり、カニとは異なり前へ歩くことができるのも特徴です。
タラバガニとの違い
ヤドカリとの違いは大きさと住む場所が違います。ヤドカリは陸生、タラバガニは水です。足の数が同じということでヤドカリ下目となり、ヤドカリの仲間とされてきましたが、現在はタラバガニ科という新しい分類ができましたので、ヤドカリに近い生物という扱いになっています。
タラバガニとヤドカリ:見た目の違い
タラバガニとズワイガニや毛ガニなどの通常のカニ類は、見た目はそっくりですがよく見ると明確な違いがあります。ここではタラバガニと他のカニ類との違いを紹介します。簡単なので覚えておけばちょっとした知識になります。
タラバガニの足は8本!
タラバガニは足の数はヤドカリと同じ8本しかありません。またタラバガニの足は通常のカニとは異なり外側に折れ曲がっています。そのためタラバガニは横歩きではなく前歩きをすることができます。
それに比べて通常のカニは10本
上の写真でタラバガニとズワイガニが並んでいますが、足の数はタラバガニが8本、ズワイガニが10本です。また足の折れ方も違っているのがわかります。ヤドカリ属のカニ類は甲羅が固いですが、通常のカニは柔らかいのも特徴です。
タラバガニとヤドカリ:名前について
ヤドカリの仲間であるタラバガニが、なぜカニと名付けられたのか?ここでは意外と知られていないタラバガニの名前の由来を紹介します。理由は結構簡単ですので知っていればちょっとした鼻高さんになれるかもしれません。
タラバガニは漁場が名前の由来
生物学的にはヤドカリの一種とされているタラバガニですが、名前の由来は「タラの漁場で獲れるカニだからタラバガニ」と名付けられました。見た目がカニのようだったためそのまま正式名称となっています。
タラバガニの学名
ヤドカリの学名は「Paralithodes camtschaticus」といいます。日本語訳するとカムチャッカのヤドカリの仲間です。タラバガニの最大の漁場はカムチャッカ半島で、カムチャッカ半島でたくさん生息することからカムチャッカという学名になっています。
タラバガニとヤドカリ:ヤドカリの仲間
タラバガニ以外にもヤドカリの仲間は意外と多く、大型のものはタラバガニ同様食用になっています。ここではタラバガニ以外で食用とされているヤドカリの仲間として、ヤシガニ、ハナサキガニ、アブラガニについて紹介します。いずれのカニもヤドカリの仲間なので足は10本ではなく8本です。
仲間①ヤシガニ
ヤシガニは、体長40cmを超す大型のヤドカリです。足を広げると1m以上になり体重も4kgを超す陸上で生息する節足動物の中で最大の生物です。名前からヤシを食べるイメージですが、実際は雑食性で口に入るものなら何でも食べます。生息地はインド洋や西大西洋といった南国で、日本では沖縄県で見ることができます。
仲間②ハナサキガニ
ハナサキガニは、体長15cmほどとタラバガニと比べると小さめです。タラバガニよりも体の棘が長く、足が太い短いのが特徴です。和名のハナサキは漁場の根室市花咲港、茹でたときに真っ赤な花が咲くように見えることが由来です。毎年9月に根室市では花咲ガニを使った「根室かにまつり」を開催しています。
仲間③アブラガニ
アブラガニは、体長20cmほどでタラバガニよりやや小柄で爪が長く甲羅の中心部に4つの突起物があります。茹でる前の状態はやや青みを帯びています。名前の由来は、甲羅が油を塗っているように光っている、かにみそが脂っこいことが由来となっています。ベーリング海北部が漁獲量の多いところです