パラフィリアとは一体どういうもの?
まず、今回ご紹介するものがどういったものかをご存じない、単語自体初めて見たという方や、どこかで見たことはある気がするけれど意味までは知らないという方もいらっしゃるでしょう。そういった方のためにも、これがどんなものなのかについてを最初にご紹介しましょう。
パラフィリアは性的倒錯のこと
この意味は「性的倒錯」「異常性愛」というもので、簡単に言うと世間一般とは全く異なるものに性的な興奮を覚える性癖を持っている人のことを指しています。詳しい種類などは後ほどご紹介しますが、一種の障害と言われているくらいなのです。
また、現在でこそこういった分かりやすくも個人を侮辱するような意味合いでは呼ばれていませんでしたが、昔には「変態性欲」というような露骨に卑下するような意味合いで呼ばれていました。意味的には同じであるといえなくもないですが、現在はこのような呼び方をすることはありません。
パラフィリア障害群とも言われる
そして、これに該当することを「パラフィリア症候群」とも呼ばれています。生活習慣病として有名なメタボリック・シンドロームなどと同じく「症候群」と付くのは、何が原因で普通ではありえないようなものに性的な興奮を覚えるのかが分かっていないからでしょう。
ちなみに症候群というのは、何かしらの1つの原因を元として現れる一連の症状のことを指していると定義されています。メタボと呼ばれるものも肥満を原因としていますが、それではパラフィリアとなってしまう原因というのは何なのでしょうね。
パラフィリアの語源は?
ところで、この言葉がどういった語源からきているものかというのはご存じでしょうか。実は元々あったものではなく、元あったいくつかの単語を組み合わせてできたものなのです。加えて、この言葉は前述の例に挙げた症候群のような英語というわけでもありません。
実はパラフィリアというのは、ギリシャ語の言葉なのです。この言葉は2つの単語に分けることができ、「パラ」と「フィリア」に分けられます。まず「パラ」というのはギリシャ語で「脇、横、隅」といったような意味になります。
意味が性的倒錯へ
そして「フィリア」というのは「愛」という意味で、直訳すれば「脇にそれた愛」というような形になります。前述しました通りこれは普通では考えられないようなものを愛するという意味ですから、こういった言葉の組み合わせになったのだろうと推測できます。
また、この言葉が日本国内に伝わったのは昭和自体の最初の頃とされています。国内でこれに該当するような人物が今までいたかというのは流石に定かではありませんが、とにかくそういった概念が国内にできたのは昭和の初期だったのです。
直球すぎる意味合いが問題視された
そして、ご紹介しましたようにこの概念が日本国内に来た当初は「変態性欲」というような意味合いとされていました。ですが、これがあまりにも直球すぎる意味合いであったために問題視され、現在はもう少しオブラートに包んだ「性的倒錯」という意味に代わったというわけです。
パラフィリア障害群の種類はどんなものがある?
ここまでは、パラフィリアというのがどんなものなのか、その意味や語源、意味合いの変化などについてをそれぞれ簡単にではありますがご紹介しました。それでは、この症候群には一体どんな種類があるのでしょうか。ということで、ここからは多数あるパラフィリアの種類を1つずつ解説していきましょう。
小児性愛障害
まずは「小児性愛障害」というものになります。パラフィリアと同じくギリシャ語に直すと「ペドフィリア」とも呼ばれているもので、幼い児童や未就学児といった小児と呼ばれる分類に属する者に性的な興奮を覚える、というのがこれに該当します。
よく「ロリコン」と呼ばれることもありますが、あちらも少女や幼女といった自分よりもはるかに幼い女性に性的興奮をするというものになります。ただし一説によればその対象は15歳以上18歳以下、つまり中学生以上ということになりますので、一概に同じ意味といいきれないようです。
窃視障害
続いては「窃視障害」というものになります。こちらは「盗んで視る」という言葉の通り、自分以外の誰かが服を脱いだリ性行為をしたり、または全裸の状態を盗み見ることに興奮を覚えるというものになります。「覗き魔」などがこれに当たるかと思われます。
盗み見ている、ということはその対象が見ることに関して同意を得ていないということになりますので、もしかしたらこれで興奮する理由は一種のスリルがあるから、ということになるのかもしれません。
異性装障害
3つ目は「異性装障害」というものになります。こちらも前述のものと同じく「異性の装い」という言葉の通り、男性ならば女性の、女性ならば男性の格好をすることで興奮を覚えるというものになります。いわゆる女装や男装といったものが当てはまるでしょう。
クロスドレッサーとも呼ばれ、こちらは前述の2つとは違い誰かの体などを見て興奮するというものではなく、自分自身が普段は絶対にしない、できないであろう衣装を着ることで興奮するというものになっています。そのため比較的にではありますが、危険度の低いものとみなされているようです。
露出障害
こちらも言葉が如実に表していますが、自分の体を外に露出させることに興奮するというものになります。ここで言う露出というのは水着姿のように大部分を露出させるというよりも、性器を露出させるというのが当てはまります。露出狂、というのは正にこれに当てはまります。
窃触障害
窃視障害に関連して「窃触障害」というものもあります。前述のものが盗み見るというものであったのに対し、痴漢といえば一番分かりやすいかと思われますが、こちらは相手の許可なく体に触れるという行為です。
こちらは障害と認定される判断基準が存在しており、最低で6か月、つまり半年の間、許可を得ていない誰かに自分の体をこすりつけたり、触ったりといった衝動を持っており、それができないと何かしら機能障害が発生していることが基準になるとされているようです。
強姦、レイプとは別
また、強姦やレイプといったものと似通っているのではないかと思われるかもしれませんが、あちらが対象が望まない性行為まで至るのに対して、こちらはあくまで許可なく体に触るといった行為に留まります。性行為まで至るか至らないかが分けていると言ってよいでしょう。
強姦やレイプにに関連した事件はこちらからどうぞ。
マゾヒズム・サディズム
続いて「マゾヒズム・サディズム」といったものがあります。前者は「M」、後者は「S」とあらわされることも頻繁にありますが、まずマゾヒズムというのは日本語に訳せば「被虐体質」、つまり自分が何かしら痛めつけられることに興奮するというものです。
これに対してサディズムというのは「加虐体質」、誰かを痛めつけることに興奮を覚えるものです。どちらも殴る蹴るといった具体的なものでなく、言葉攻めなどの精神的なものも当てはまります。また、この2つ両方共を持ち合わせている者のことを「サドマゾヒズム」と言うそうです。
フェティシズム
そしてこちらは、性的な興奮をもたらすために非生物、つまり無生物を対象とするものになります。例えば異性、もしくは同性の下着を身に着けたり、革製のものを着用しないと気が落ち着かなくなったり、靴などを過度に身近に置くといったものが該当するようです。
このほかにも様々な形がありますが、一貫しているのはそれが人間や他の動物といった生物が対象なのではなく、あくまで非生物が対象であるということです。これに該当する方は、自分が興奮を覚えるものが無いと性機能が立ち行かなくなるということになるようです。
フェティシズム的服装倒錯症
前述のフェティシズムに関連して、特に特定の服装に対して興奮するという「フェティシズム的服装倒錯症」というものもあります。異性の衣服を着用することによって快楽を得るというものがこれに該当し、前述の異性の下着を着用したくなるというのもこれに当てはまるでしょう。
パラフィリアの類型として挙げられる性目標倒錯とは?
全部で8つほどご紹介しましたあが、これ以外にもまだまだたくさんのパラフィリアが存在しているとされています。人の趣味はそれぞれといいますが、この盗作の多さがそれを表しているのではないかといえなくもないのではないでしょうか。
性的接触を目的としない性嗜好こと
さて、ご紹介しているパラフィリアの類型として挙げられるものに「性目標倒錯」というものが存在しています。パラフィリアの日本語訳が「性的倒錯」でしたが、こちらはどういった意味のものなのかというと、一言でいえば「性的な接触をしない性的嗜好」であるといえます。
ご紹介した種類の中にもあり、これから詳しくご紹介していくのですが、このパラフィリアというのは実際に性行為を行うことによって性的興奮をするのではなく、何かをする、もしくは触れるといった性的な接触ではないことで興奮するものが多いです。それらを性目標倒錯というのです。
エキシビショニズム(露出性愛)
まず、エキシビョニズムというものがあります。これは日本語に訳せは「露出性愛」という意味になり、前述したパラフィリアの種類の中にある露出障害がこれに当たるでしょう。内容は同じく、自分が全裸になったリ性器を露出するといったものになります。
通常そんなことをすれば即刻わいせつ物陳列罪なりなんなりで現行犯逮捕されることになりますが、これに当てはまる者はこの露出を行うことによって快感を得られるとされています。また自分ではなく、パートナーなどの他の誰かに露出をさせて興奮するものもあり、「カンダヴリズム」と呼ばれています。
カニバリズム(食人性愛)
続いてはカニバリズムというものです。こちらは少しばかり名の知れたものかもしれませんが、言葉の意味としては人間が人間の肉を食する行動そのもの、もしくはその習慣のことを指しています。別の言葉では人肉嗜食とも言われています。
そして、そういった同属であるはずの人間の肉を食べるということに興奮を覚える者のことも同じようにカニバリズムと言うようになっています。食人自体には治療や魂の消去といった概念的な意味や具体的な意味が含まれることもあるようです。
クレプトフィリア(窃盗性愛)
続いてはクレプトフィリアなるものになります。元々クレプトマニアという物を盗むという衝動が起こり、それを実行に移してしまうという日本語に訳せば「窃盗症」とよばれるものがありました。これは精神障害の一種とされています。
そして、衝動を抑えられずに実行するというのとは別のベクトルで、盗むこと、奪うことに性的な快楽を得るもののことをこのように呼ぶようになっています。
コプロフィリア(糞便愛)
こちらは日本語で「糞便愛」といい、言葉の通り人間が排便をするという行為そのものや、もしくはその糞便を食するという行為に興奮するもののことを指しています。これに関して、R18同人のジャンルの中に「スカトロ」というものがあるのをご存じでしょうか。
こちらも女性が糞尿をすることを意味するもので、「スカトロジー」という英語で糞尿を意味する単語を語源としたものなのですが、その中にこのコプロフィリアが広義の意味で含まれているといわれています。
スコプトフィリア(窃視性愛)
更に「スコプトフィリア」なるものもあります。症候群の種類の中に「窃視障害」というものがあるとご紹介しましたが、こちらも内容的にはそれと似通っていて、第三者が服を脱いでいる、もしくは全裸の状態や、性行為を盗み見ることで性的快楽を得る者のことを指しています。
こちらもおそらくですが、その盗み見ている第三者が自分に気づいてない状態で見られたくない状態を見られているという状況、もしくはそれがばれてしまうかもしれないというスリルに対して興奮しているのかもしれません。
デンドロフィリア(樹木性愛)
デンドロフィリア、というものもあります。こちらは日本語に訳すると「樹木性愛」といい、その言葉の通り自然の木や植物といったものを対象として、どんなふうにかまでは分かりませんが性的な思考を持っている者がこれに当てはまります。
別名でデンドロフィリーやアーバーフィリアとも呼ばれている性嗜好で、デンドロの元となっているのはおそらくですがラン科セッコク属に属している植物を学名でカナ読みしたものかと考えられます。
ハイポクシフィリア(窒息性愛)
こちらは首をつかまれ締め付けらたり、ロープやビニール袋といったとにかく首を絞められるもので首を絞められることに興奮するものです。重要なのはこれが自分以外の誰かの首を絞めるというのではなく、ほかならぬ自分自身が首を絞められ、窒息になったり酸素が欠乏した状態になるということです。
こちらについては性嗜好を持つタイプに傾向があることが分かっており、自分に自信を持つことができないもの、もしくは症候群の中でご紹介したマゾヒズムに当てはまる者が嗜好としている傾向にあるとされています。