嗅ぐと気を失ってしまうという効果に目がいってしまいがちですが、実は他にも特徴的なことがクロロホルムにはあるのです。例えば、香りや味といった薬と聞いたら連想しないような点に特徴があるのです。ということで、ここでクロロホルムに関する豆知識をいくつかご紹介しましょう。
独特の甘い芳香を持つ
まず匂いに特徴があって、実際に嗅いでみると独特の甘い香りがするとされているようです。嗅いだ本人がそういった感想を持っており、下で舐めてみると味の方も甘いのだとか。ただし長いこと嗅いでいると意識に影響を及ぼしかねませんので、実際に嗅ぐ機会に恵まれた際には注意が必要です。
ヴィクトリア女王も使った麻酔薬
また、イギリスの繁栄の象徴ともされているヴィクトリア女王も、この薬を麻酔薬として使用したといわれています。妊娠し出産を行う際、無痛分娩を行うために使用したとされています。ちなみにヴィクトリアが女王として即位していたのは200年ほど前の19世紀のことです。
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いろんな意味で危険なクロロホルム
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前述しました通り、一度に大量にクロロホルムを吸い込んでしまうと臓器に不具合を生じさせ、気絶どころか死なせてしまうおそれがあるのです。それだけでも十分に恐ろしいですが、実は他にも危険なことがあるということが分かってきました。
触れた部分が爛れる
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なんと、触れさせた部分の皮膚が化学反応を起こして爛れてしまうという効果があるのだそうです。加えてこれは施術をして治るというものではなく一生消えないともされていますので、意識を失う以上に危険であるということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
このようにいろんな意味で危険性が高いクロロホルムは麻酔薬として使用されることが危険性が分かってからは少なくなり、変わってもっと安く手に入れることができ、かつ人体への安全性でも勝っているジエチルエーテルという薬品が主な麻酔薬として使われるようになっているのです。
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クロロホルム以外にも!サスペンスでよくあるネタの真偽を検証
今回ご紹介した薬品以外にも、サスペンスドラマでよく使用されているネタがまだまだ多くあります。それらが果たして実際にも起こりうることなのか、はたまたクロロホルムのように効力が独り歩きして別物になっているのか、真偽を検証していきましょう。
睡眠薬入りの飲み物で昏倒
まず、睡眠薬が入っている飲み物を飲んで同じように眠りに落ちてしまう、というのも犯人の使う手口として有名ではないでしょうか。効果は同じくその睡眠薬が入った飲み物を飲んでからすぐに効果が発揮して、すぐにちょっとやそっとでは起きないような眠りに付いてしまうという場合が多いです。
ですが、この場合そういった薬が入っていないと思わせるために、水に溶け切るくらいの量しか入っていない、飲んでいないということになります。しかしそれくらいで人間がすぐさま熟睡に至る程の効果を持った強力なものはありませんので、クロロホルム同様これも実際には起こりえないものです。
コップに塗った青酸カリで殺害
続いて、飲み物を飲むためのコップに事前に青酸カリなどの毒物を付着させておいて、知らない人間がそのコップで飲もうとしたところ、毒物を一緒に摂取してしまい殺害されてしまうというのも良くあります。青酸カリ自体も前述のコナンシリーズでよく登場する毒物ですね。
そして、こちらも現実で全く同じ効果を得ることは不可能なようです。大人が摂取した際に致死量となる青酸カリの量は1キロの体重に対して7ミリ、つまり仮に60キロの体重の人に対しては420グラムも必要になるということですので、合計にして4錠分ほど必要になってきます。
塗った分だけでは到底不可能
ですが、コップに塗るのにそれだけの量を付けるというのは不可能です。よって、こちらも大人の人間一人を殺すのにコップに塗っただけでは不十分ということになります。
上司を「警部」と呼ぶ
また、殺害の手口というわけではありませんが、警察の内部において上司のことを「警部」や「警部補」などといった呼び方をするというのも定番です。ですがこれらは階級の名前で、通常は課長や係長、主任といったように役職で呼ぶことになっていますので、残念ながらこちらもフィクションの中だけのようです。
気を失うといえば他にも
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前述のドラマに良くある睡眠薬を混ぜた飲み物での昏倒など、対象の意識を失わせる手段というのはまだ他にもドラマ内で使われています。そういったものは実際にもあり得るものなのでしょうか。
腹を殴って気絶
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例えば、お腹を殴って相手を気絶させるというのも見たことがある方は少なくないのではないでしょうか。サスペンスよりはバトルの混じるような作品でよく目にされるもので、効果としては同じように一撃を相手に見舞うだけで意識を失わせるというものになっています。
たしかに、みぞおちの部分に強力な衝撃が加わることで、しゃっくりの時に痙攣する横隔膜が同じように痙攣をおこし、呼吸が困難になってしまい結果的に酸欠で気絶するということならばあり得なくはありません。ですが、殴られてすぐに気を失うというのは考えられないのだそうです。
首を叩いて気絶
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気絶させるものといえば、他にも首を叩くことで気を失わせるというのも漫画などを中心に良くある手法です。首にある頸動脈という太い血管を締めつけることで、脳に十分な酸素がいきわたらなくなり気絶することは現実でも考えられなくはないことです。
ですが、首を両手もしくは片手で強く締め付けて可能にするというのであればともかく、ただただ手で叩いただけで気絶をさせるというのは無理な話です。そんな威力があればとうに首の骨を折って死に至らしめられますし、その手はおそらく鋼鉄並みの強度を持っていることでしょう。
首を絞めるのも一瞬だけしか気絶しない
加えて、前述の首を絞めつけて気絶させるというのも長い間目が覚めない程の効力を発揮することは無く、しっかりと締めつけても一瞬だけ意識が飛んでしまうといったぐらいの効果しか見込めないようです。つまりいずれにしても、すぐに長時間気絶させることは不可能というわけですね。
クロロホルムには注意しよう!
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ということで、今回はクロロホルムが本当に吸っただけでドラマのように効果を発揮するのかどうかなどについてご紹介しました。実際にはご紹介しました通り数分にわたって深呼吸で吸い続けなければ効果がありませんので、ドラマのようになることは確実にありません。
ですが、こちらも前述しました通り過剰に吸い込んでしまうと臓器が不全を起こして死に直結してしまいます。こんな薬品を嗅ぐということはそうそうない体験かと思われますが、もし本当に吸うような場面に遭遇した際には吸い過ぎないように注意しておきましょう。
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