クロロホルムとは?サスペンスドラマで気絶するシーンの真偽を検証!

「クロロホルム」は、サスペンスドラマや探偵ものの漫画ではおなじみの麻酔薬です。ハンカチに染み込ませて背後から忍び寄るシーンは何度も使われている手法ですが、実際にはそんな効果はないという噂も?ここでは、クロロホルムの毒性などをまとめました。

この記事をかいた人

記事をお読みいただきありがとうございます、中村雄二と申します。バイクに乗ることが好きな若者です。ツーリングキャンプ系統の記事を好んで書いたり読んだり…。よろしくお願いします。
Array

クロロホルムとは?

qimono / Pixabay

サスペンス等ではよく使用されているこの薬。テレビでは目にする機会は多くとも、実際に実物を扱ったことのある方というのはごく少数なのではないかと思われます。そこで、まずはこのクロロホルムがどんな薬なのかについてをご説明していきましょう。

吸入麻酔薬の一種

まずこの薬は、吸入麻酔薬といって吸い込んで使用するタイプの麻酔薬になります。化学式では「CHCI3」とあらわされ、トリクロルメタンという別名でも呼ばれています。2019年現在から180年余り前になる1831年に発見されています。

サスペンスドラマやマンガで有名に

前述しました通り、これは一種の麻酔薬で、加えて吸入して使用するという方法からサスペンスのドラマなどでは、誘拐などをする時に相手に抵抗されないよう、ハンカチなどにこの薬を染み込ませて相手の背後から襲い掛かって嗅がせ、即座に気絶させるという使い方が定番となっています。

クロロホルムで気絶するというのは嘘?

ご紹介しました通り、クロロホルムは麻酔薬の一種であるためにドラマなどでも使用されることが多くなっています。ですが、実際にはそういったドラマの通りに即座に気絶させられるほどの即効性はない、つまりドラマでの使用法は思い切りフィクションであるとされているのです。

一瞬で気を失うことはない

それはその通りで、確かに麻酔薬ではありますので嗅げば眠ってしまうというのは確かです。ですが、そのためにはハンカチに大量に成分を注入しておいて、かつドラマなどと同じように口に当てた状態で、数分の間それを深呼吸をしながら吸い込まなければ同じような効果を得ることはできないようなのです。

過度の吸引は死の危険も

ですので、すったら即座に気絶してしまうということは実際にはあり得ないのです。また、必要以上に吸ってしまうと腎臓が不全を起こしてなくなってしまう場合もあり、すこし眠らせておくどころかそのまま永遠に目覚めなくなってしまうことになりかねないのです。

テレビにあまりクロロホルムが登場しなくなくなった理由

ということで、実際にはドラマなどのようにすぐに気を失わされてしまうといったことはなく、むしろ数分にわたって吸い続けなければならないということをご紹介しました。実は、最近には実際の効果を知ったのか、テレビにはあまりこの薬品が登場しなくなったようなのです。

2013年秋にテレビ番組で広まった

2019年現在からさかのぼること6年前になる2103年、前述の実際のクロロホルムの用途がとあるテレビ番組の中で紹介され、世間的にも実際の効果が認知されるようになりました。結果、まずそのテレビ番組を放送したテレビ局のサスペンスドラマで使用されなくなり、それが次第に別のドラマへと伝播していったようなのです。

サスペンスドラマがよりリアルに

最近のサスペンス系のドラマは考証、つまりそれが現実でも起こりうるのかどうかがしっかりと考えられており、前述のクロロホルムの実際の効果というのも相まってよりリアルなものとなりました。これによってミステリーファンの方々のリテラシーも向上したのだとか。

クロロホルムの実際の活用法

本当にクロロホルムでドラマの用に気絶させられてしまうことは無いですが、多量に吸い込むと死の危険があること、最近はドラマには登場しなくなったということなどをご紹介しました。では、この薬は実際にはどうやって使用されているのでしょうか。

かつては麻酔薬だった

まず、かつては正しく医療の現場で麻酔薬として使用されてはいたのですが、前述しました通り過度に吸い込むことで臓器に対しての毒性を発揮してしまいますので、危険性を鑑みてか最近では医薬品として使用される場面はなく、別の麻酔薬が使用されているのだそうです。

溶媒として使用される

では現在はどんな場面でよく使用されているのかというと、この物質はいろいろな有機系化合物を溶かすことができる働きを持っています。そのため、科学の研究では化合物を溶かすための溶媒という役割を持って良く使用されているのだそうです。

クロロホルムが出てくる作品

実際の活用法についてもご紹介しました。麻酔薬としての使用方法に期待していた方は少々残念に思われたかもしれませんが、効果が表れるまでが難関ですので致し方ないかと思われます。ドラマでよく使用されていたとご紹介しましたが、他の作品でも色々と出番があるようです。

名探偵コナン

例えば、「名探偵コナン」でも良く登場する薬品の1つです。そしてその被害者は主人公であるコナン本人で、犯人と思わしき人間がワインに何かを注入する場面を目撃しますが、その時に背後からこの薬品を嗅がされてすぐに意識を失う、という形で登場しています。

作品自体が名探偵の物語ですのでサスペンスドラマでも良くある定番の使われ方のようですが、前述しました通りそんな即効性があるわけではありませんのでこれは現実のことを考えると間違った使い方ということになりますね。

火曜サスペンス劇場

続いて、サスペンスドラマが放送される火曜サスペンス劇場でも同レベルでよく登場していました。使い方としては前述のコナンのそれと同じく、気づいていないターゲットに背後から接近し、染み込ませたハンカチを強引に嗅がせて気絶させるというものです。

ですがこれもご紹介しました通り実際にはあり得ない効果ですので、それがテレビ番組で放送されて以来、ドラマ等で使用されることは無くなっていきました。ですので現在はそんな場面を見ることはおそらくないかと思われます。

よくある使われ方

双方ともに共通して、気づかれていない状態で後ろから近づいていき、たとえ間近に接近して迫っているのが相手にばれたとしてもすぐさま染み込んでいるハンカチを相手の口元に持っていき、強引に嗅がせて気絶させるという使われ方をしているようです。

嗅がされたターゲットも一応の抵抗はしてみますがすぐに効果が発揮されて気を失ってしまい、頭痛を感じながら目を覚ます、というのが定番の流れです。どこか知らない場所に連れ去られていて体が縄などで縛られているというのも良くあります。

クロロホルムの豆知識

NEXT クロロホルムの豆知識