真祖とは?
真祖とは、創作作品における「吸血鬼」に関する設定です。通常の吸血鬼とは一線を画す、特殊な能力を持っている強大な存在として描かれています。また、登場する作品によって様々な出自設定がありますが、基本的には感染源の吸血鬼が存在しません。
真祖の詳細
真祖という存在の定義は、登場する作品によって様々です。共通していることといえば、吸血鬼たちのコミュニティで上位の存在に立ち、吸血されて吸血鬼に感染したわけではなく、自分が血統の原点であることが共通しています。
真祖の詳細①一般的には「始まり」の吸血鬼
世界各国の吸血鬼の設定として、吸血鬼に血を吸われて感染するという設定があります。ということは、どこかに感染の大本があるということですが、その大本が真祖です。そのため、始まりの吸血鬼ともいわれます。吸血鬼に変化した理由は、作品によって異なります。
西洋の作品にも日本の作品でも共通している設定として、長く生きている吸血鬼ほど強い、というものがあります。また、吸血鬼の間の力関係にも血統がある一族のほうが高位という設定もあり、他の吸血鬼を従えることが出来ます。
真祖の詳細②吸血鬼以外にも真祖と使われる
また、吸血鬼内のカテゴライズ以外でも真祖という言葉は使われています。トレーディングカードゲームである「遊戯王」に登場するモンスターカードで「オベリスクの巨神兵」という神のカードがあります。この神は、古代エジプトの時代から存在しており、作中の設定である現代に登場するものとは細部のモチーフが異なります。
これは、長い歳月をかけ受け継がれていく内に、徐々にデザインが変化していったという設定があり、そのため古代エジプトのオリジナルのオベリスクは作中で「真祖オベリスク」と呼ばれています。言葉の由来は吸血鬼ですが、始まりのものである始祖、という意味で他の作品でも使われているようです。
真祖・始祖・神祖の違いとは?
真祖以外にも始祖、神祖という言葉が登場する場合があります。「始祖」は、吸血鬼になった原因が感染によるものではなく、自分が始まりである吸血鬼のことを広く指し、「真祖」は、その始祖たちの中でも魔術を使えるなど何らかの特殊性を持っていることが多いです。
「神祖」は、さらに強力な特殊性を持っていて、かつ元となった人間が特別な存在であることが多いです。そのため、存在自体が非常に特殊で、圧倒的な力やカリスマ性を持ち備えていることから神に等しい存在であるとして”神”という言葉が当てられていると考えられます。
真祖が最初に登場した作品、元ネタとは?
前の章で解説したように、似た設定でも3つの呼び名に分かれています。真祖の定義自体にはユニーク性があるものであることがわかりますが、断定とまでは至らなくとも、しっかりとした設定がある有力な元ネタとされている2つの作品を紹介します。
真祖の元祖説①ワールド・オブ・ダークネス
ワールド・オブ・ダークネスは、アメリカの会社であるホワイトウルフ社から発売されているゲームです。ゲームと言っても、ルールブックにしたがってロールプレイを行う「TRPG」と呼ばれるもので、デジタルなゲームではありません。ワールド・オブ・ダークネスにはいくつかのシリーズがあります。
その中でも登場人物が全員血統のある吸血鬼という設定のヴァンパイア:ザ・マスカレードというシリーズがあります。そのシリーズでは、それぞれ13人の始祖から始まる13個の一族が登場します。また、作中では始祖たちは旧約聖書に登場するカインが闇の技によって生み出した存在だとされています。
真祖の元祖説②吸血鬼ハンターD
吸血鬼ハンターDは、菊池秀行氏の作品である小説です。人間と吸血鬼のハーフである主人公”D”が、人々の安寧を脅かす吸血鬼たちを退治していく物語で、初刊が発売された1983年から現在も連載が続いている超がつくほどの長編作品です。
この作品では、吸血鬼たちは貴族と呼称され、その中でも絶大の力を持つ貴族を「神祖」としています。以前は、このような存在の吸血鬼を「始祖」と呼称されていたようですが、他作品でも影響を受けて同じ呼称が使われるようになったと言われています。
真祖と呼ばれる吸血鬼の特徴
ノーマルな吸血鬼についても、人間より優れた身体能力を持ち、襲われたらひとたまりのない存在ではありますが、上位の存在である真祖はどのような特殊能力を持っているのでしょうか?この章では、多くの作品で共通してみられる特徴の2つに絞って説明していきます。
真祖と呼ばれる吸血鬼①他の吸血鬼を統率する
感染型の吸血鬼であればその感染元、つまり上位の存在にあたる真祖には逆らうことが出来ません。また、吸血鬼は真祖を起点とする血統を重んじた集団体系をとっています。そのため、真祖には逆らうものがありません。
また、真祖はどの血統に属する吸血鬼からも、神に等しい特別な存在であるとされています。真祖の特別性については「BLACK BLOOD BROTHERS」という小説作品や、前述した「ワールド・オブ・ダークネス」の中で詳しく記述されています。
真祖と呼ばれる吸血鬼②物語中で最強クラスの存在
真祖は特別な方法で吸血鬼になっているため、特殊な術が使える場合もあります。また、長い寿命を活かした特技の体得だけではなく、長寿であるほど力が強くなります。魔術を操る真祖が登場する作品もあります。
高い身体能力を活かした物理的な斬撃攻撃である爪での攻撃と、自然界から生み出された存在であるというを持つ「月姫」での真祖は、自身や自然物を自在に作り変えるという凄まじい特殊能力を持っています。
「真祖」が有名な「月姫」とは?
「TYPE-MOON」から発売された同人ゲームに「月姫」があります。同人作品としては異例のコミック化やアニメ化がされている大人気作品です。また、現在でもリメイク版の制作が企画進行しているほどの人気を誇っています。
主人公である高校生・遠野志貴が、アルクェイドと名乗る一人の女性と出会うことから始まる物語で、アルクェイドの出自にまつわるある連続殺人事件から2人は騒動に巻き込まれていく……というマルチエンディングタイプの作品です。
月姫での真祖とは
自然が人間に対抗するための力として生み出された存在です。身体能力も非常に高く、その誕生由来から自然物や自分の形を変えることができ、状況によっては街を一つ作り出すこともできます。吸血鬼であるという設定は、真祖という存在には唯一の欠点があり、それが吸血の要求であるということからきています。
月姫における真祖①生まれたときから吸血鬼
真祖は、自然界が人間の攻撃から身を守るために発生させた、という精霊などに近い存在です。自然から望まれて生まれた存在ではありますが、人間にとって良い存在ではないため隠れて暮らしており、個体数は減ってきている設定です。
月姫における真祖②暴走すると魔王に
吸血衝動に負けてしまい人間を襲い、血液を摂取した吸血鬼は「魔王」と呼ばれ、堕ちた存在になってしまいます。吸血した真祖は、本来の100%の力を発揮できるようになり、人間の能力では絶対にかなわない強力な存在となってしまいます。
月姫における真祖③称号はブリュンスタッド
女性型の真祖であるアルクェイドは、「アルクェイド・ブリュンスタッド」という名前です。しかし、厳密にはアルクェイドは苗字を持たず、ブリュンスタッドというのは、真祖を作り出す際にモデルとされた存在に基づく称号です。
真祖が登場する漫画・アニメ
元ネタになったと思われる「ワールド・オブ・ダークネス」や「吸血鬼ハンターD」、圧倒的な知名度を誇る「月姫」以外にも、真祖はいろいろな作品に登場します。そのうちの、3つの作品について紹介していきます。
真祖が登場する漫画・アニメ①Fate Grand/Order
TYPE-MOONが生み出した人気シリーズ「Fate」があります。その中のスマホアプリゲームに真祖が登場します。「芥ヒナコ」という女性のキャラクターで、長いツインテールに眼鏡というおとなしそうな出で立ちで登場します。
しかし、真祖としての本性を現した後は、大胆な服装な美麗な女性に変化し、従えていたサーヴァント(使い魔)を摂取して自身を強化し、強大な力を発揮します。しかし、決して無謀に凶暴なわけではなく、基本的には人との関わりを避けようとするおとなしい性格です。