「グリズリーになら殺されてもかまわない」と言っていたほどグリズリーを愛したトレッドウェルですが、2013年10月5日、カトマイ国立公園でガールフレンドと共にグリズリーに襲われて死亡しました。
ハイイログマの調査中に生きたまま捕食され死亡
その日もトレッドウェルは野生のグリズリーをハンディカメラで撮影していましたが、その撮影中に襲われてしまいました。ガールフレンドは逃げることなくフライパンを持って彼を助けようとしましたが、野生のグリズリーの前では為す術もなく、同じように襲われて死亡しました。
事件を題材に映画『グリズリーマン』が制作された
トレッドウェルとガールフレンドがグリズリーと応戦する最中も、彼のハンディカメラはキャップがついたまま作動しており、6分間の壮絶な様子はテープに録音されていました。そして、この事件を題材にして「グリズリーマン」という映画が製作されました。
世界で起きた獣害事件⑦動物の人気者ビンキー
ビンキーはアメリカのアラスカ州アンカレッジのアラスカ動物園で飼育されていたホッキョクグマです。ピンキーは当時約540㎏に成長していました。動物園で飼育されていても、やはり猛獣であることに変わりありません。
動物園の人気者ホッキョクグマのビンキーが起こした事件
ビンキーはアラスカ動物園で人気のアトラクションでした。成獣になったビンキーは、二重の安全柵が成されていたので、観光客に襲い掛かることはないとされていましたが、なぜこのような事件が起きてしまったのか紹介していきます。
観光客を襲ったビンキー!しか動物園の人気者ホッキョクグマのビンキーが起こした事件し悪いのは人間?
1994年7月、オーストラリア人観光客の女性が、ビンキーの写真を撮ろうと二重の柵を飛び越え、檻の近くまで侵入してしまいました。ビンキーは檻の格子の隙間から顔を出し、その観光客女性を捕まえました。見ていた他の観光客や飼育員らによって救出されましたが、彼女は足を骨折した他、噛傷を負いました。
6週間後、泥酔した地元の10代の若者たちが、熊のためのプールで泳ごうと侵入しましたが、そのうち19歳の若者が脚に裂傷を負って入院しました。ピンキーが彼を襲ったかどうかは確証がないとしましたが、この一件のあと、ピンキーの顔には血が付着していました。
寄生虫病・サルコシスチス症にかかり死亡した
ピンキーによる獣害事件と言われていますが、どちらも安全対策をした動物園内で規則を反した人間によって引き起こされた事件です。その後ピンキーは、これらの事件をきっかけとして世界中に報道され、人気を集めました。
しかし1995年ピンキーと一緒に展示されていた他のホッキョクグマが、突然サルコシスチスという寄生虫にかかり、7月14日に死亡しました。間もなくピンキーも死んだホッキョクグマと同じ症状が現れ、7月20日の朝、痙攣をおこして死亡しました。
世界で起きた獣害事件⑧人食いワニのギュスターヴ
ワニによる被害も当然報告されています。日本では馴染みがありませんが、熱帯地域から亜熱帯地域にかけて25種類が文武しており、河川・湖・沼などの淡水域や、一部の海域に生息しています。次はワニによる獣害事件について紹介していきます。
全長6メートルを超える巨大ワニのギュスターヴ
ギュスターヴは、なんと現在も生息しており、現在生きているワニで最も恐れられていると言われる個体です。ギュスターヴはアメリカのルジジ川、タンガニーカ湖で生息している、全長6mを超える巨大なワニです。
ギュスターヴは300人を超える犠牲者を出した
ギュスターヴは人間を完全に捕食の対象とみなしており、現在まで300人を超える犠牲者を出しています。それ以外にみお、牛や馬などの大型家畜や、ついには同じ川に生息するオスのカバをも食い殺していた姿も確認されています。
銃を撃たれても死なず2015年時点で生存が確認された
これだけの被害があってなお現在も生存し続けており、2015年時点でギュスターヴが土手で水牛を引きずる姿を一人の住民が目撃しています。しかし本当にそれがギュスターヴだったかどうかは定かではありません。
その体の大きさから推定100歳を超えていると考えられていますが、ライフルやマシンガンの弾すら跳ね返すほどの頑強な鱗と皮膚を持っているギュスターヴは、手のつけようのない怪物で、またいつ現れるのか、今も地元住民の恐怖の対象となっています。
世界で起きた獣害事件⑨パナールの人食いヒョウ
ヒョウはネコ科ヒョウ属に分類される食肉類で、ネコ科の構成種でじゃ最も広域に分布しており、サバンナや熱帯雨林、半砂漠など様々な場所に生息しています。ヒョウも私たち日本人には動物園で見るくらいで馴染みのない動物ですが、世界で起きたヒョウによる獣害事件の1つを紹介します。
インドの村を襲ったインドヒョウ
20世紀初頭、インドのネパール西部のパナールで、森に隣接する村の住人が襲撃されました。ヒョウは通常、野生動物を餌にしていますが、塩分濃度が高いとされる人間の血液の味を覚えてしまったのです。
捕らえられる者がいなかった?犠牲者は400人超え
このヒョウは、約400人を襲ったとされています。ここまで多くの人が襲撃されるまでの被害に及んだのは、ヒョウを捕まえられる人が被害地域にはいなかったため、多くの犠牲者が数年間に渡って出続けたとされています。
遠来の狩猟家ジム・コルベットによって射殺
その後1910年に、狩猟で名をはせていたジム・コルベットが遠来し、射殺に成功しています。ジムは2度、このヒョウと遭遇していますが、1度目は傷を追わせただけで逃げられてしまいました。そして2度目は、傷を負ったヒョウを真夜中に発見し、仕留めることに成功しました。
世界で起きた獣害事件⑩マイソールの人喰いグマ
世界で起きた熊による獣害事件はまだあります。今回はインドやネパールなどに生息するナマケグマという種類の熊で、その姿がナマケモノを連想させることが由来です。食性は雑食で、主にシロアリを食べますが、昆虫、鳥類の卵、動物の死骸、花、果実、はちみつなども食べます。
インドの町中で事件を起こした人食い熊
1957年、インド南部のマイソールの街で発生しました。一般的なナマケグマの体調は150~190㎝、体重は90~145㎏と、熊にしては小さめです。雑食とはいえ今回ナマケグマが事件を起こしたきっかけは、人間に傷付けられたことにより凶暴化したことで、この事件は起きたとされています。
35人が襲撃されて12人が亡くなった大事件
このナマケグマにより、約35人が次々と襲撃され、12人が殺害されました。ナマケグマはシロアリなどを捕食するために長く曲がった爪を持っており、犠牲者の多数が、爪と歯で顔面を削り取られ損傷が激しかったといいます。
ハンターのケネス・アンダーソンによって射殺された
インドの人々を恐怖に陥れたナマケグマでしたが、伝説のハンター・ケネス・アンダーソンに射殺され、事件は終息しました。原因は人間への復讐心だったのでしょうか。これは熊の事件としては世界で第一位の被害になりました。
Contents
日本で起きた獣害事件5選!熊によって起こされた惨劇の数々
日本には北海道に生息するヒグマと、本州と四国に生息するツキノワグマの2種類の熊がいます。国内の生息数はヒグマが2000~3000頭、ツキノワグマが8400~1万2600と言われています。
これだけ多くの熊が生息する日本では、森林で熊と遭遇したり、開拓により居場所を失った熊が人里に現れたりすることは少なくありません。次では日本国内で起きた熊による獣害事件を紹介していきます。
日本で起きた獣害事件①石狩沼田幌新事件
大正12年8月12日から8月24日にかけて、北海道雨竜郡沼田町の幌新地区で発生した獣害事件です。ここでもヒグマが人々に猛威を振るい、恐怖に陥れました。事件を起こしたヒグマは、体長2m、体重340㎏ある個体でした。
3日間で大きな被害を出したヒグマによる事件
事件の日、太子溝の祭りが開催されていました。多くの人が集まり祭りを楽しんでいる最中、ヒグマは次々と人々を襲いはじめました。開拓民の一家や、駆除に出向いた漁師を3日間に渡り襲い続けました。
日本2番目に大きな被害!5人が亡くなる
上述で三毛別の熊事件を紹介しましたが、こちらは5名が死亡し3名が重傷者を出す被害でした。日本で2番目に大きな被害を出したヒグマ事件になり、ヒグマによる恐ろしい獣害事件であることに変わりありません。
ヒグマの毛皮は沼田町郷土資料館に展示されている
次々と人々を襲撃したヒグマですが、8月24日、軍人や消防団、青年団など総勢300人あまりの応援部隊や、近隣集落から集められた男性がヒグマ討伐に出動し、攻防戦の中で討伐されました。加害のヒグマの毛皮は幌新小学校に保存されていましたが、昭和42年に幌新会館に移され、現在では沼田町郷土資料感に展示されています。
日本で起きた獣害事件②十和利山熊襲撃事件
続いてツキノワグマによる獣害事件です。ツキノワグマは食肉目クマ科クマ属に分類される食肉類です。舞台の十和利山は秋田県鹿角市十和田大湯にある山で、この事件は日本に残る熊による被害では3番目に多くの被害者を出した事件です。
戦後最悪の被害を出した獣害事件といわれている
2016年5月20日から6月10日にかけて、十和利山にタケノコ採りや山菜取りに来ていた人々を、雄のツキノワグマが次々と襲いました。日本では戦後最悪の被害を出した獣害事件と言われています。
複数の熊が人を襲い4人が亡くなった事件
ツキノワグマにより4人が死亡、3人が重症を負いました。今まで紹介した熊による獣害事件は一頭の熊単独の行動でしたが、今回のツキノワグマによる襲撃は複数存在しており、非常にまれなケースでした。
事件を起こした熊のうち1頭が射殺された
6月10日、鹿角連合猟友会の斎藤良悦が、体調1.3m、体重約70㎏のメスのツキノワグマを射殺しました。しかし他のツキノワグマはまだ仕留められていませんが、その後被害は報告されなくなり、事件は終息しました。
その後もタケノコや山菜採りの目的で山に分け入る人が絶えないため、警察は検問所を設置したり、近隣の村の代表が対策会議を開くなどして事故防止のための情報共有や会議の開催を申し合わせをしました。
日本で起きた獣害事件③福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件
登山には危険はつきものです。当時、福岡大学のワンダーフォーゲル部の5人は日高山脈への登山を試みました。危険を承知で登山に向かったはずですが、今回の熊との遭遇は生涯忘れることのないショッキングな出来事となりました。
学生たち5人のうち3人が亡くなった獣害事件
1970年7月14日、福岡大学ワンダーファーゲル部の5人が日高山脈の芽室岳からペテガリ岳までの日高山脈系を縦走しようと、登山を始めました。登山中にヒグマに襲われ、5人のうち3人は死亡、残り2人は生還しました。
2日間に渡り学生達を追いかけ襲ったヒグマ
ワンダーフォーゲル部の5人は、2日に渡りヒグマの襲撃を受けました。初めはキャンプ地のテント壊しや食料荒らし程度でしたが、学生たちは登山を続け、4度目の襲撃でやっと生命の危機に気付き下山を始めました。
途中、登山パーティーは2組に分裂してしまい、2人は五の沢ダムの工事現場に駆け込んで車を借り、無事に避難しました。しかし山に残った3人はヒグマの追跡をかわそうとしましたが、1人、また1人とヒグマに襲われ死亡しました。
荷物を取り返さなければ助かった可能性も
どうしてヒグマは彼らを2日に渡り追いかけ襲撃したのでしょうか。それは、ヒグマの習性が関係しており、彼らはヒグマに最初に遭遇した際、ヒグマがあさった荷物を取り返したことが大きな原因といえます。
ヒグマは非常に執着心が強い動物であるため、一度ヒグマが所有物だと認識したものは取り返すのは無謀な行為といえます。彼らがもし荷物を取り返さなければ、もしかしたら助かった可能性もあるかもしれません。
日本で起きた獣害事件④秋田八幡平クマ牧場事件
熊牧場という言葉を聞いたことがあるでしょうか。熊牧場とは、熊を中心に展示飼養する熊の動物園のことで、多くは熊に餌付けして楽しむことができる施設です。そんな熊牧場で起きた獣害事件を紹介します。
秋田県にあるクマ牧場から脱走した6頭によって起こされた
秋田県鹿角市に当時、「秋田八幡平クマ牧場」という施設がありました。そこにはヒグマ、ツキノワグマ、ゴディアックヒグマらが合わせて35頭飼育されていました。そのうち6頭が脱走し、人間を襲撃しました。
クマ牧場の飼育員2人が亡くなった事件
2012年4月20日の朝、女性飼育員の「熊が逃げた」という叫び声が聞こえました。男性飼育員が駆けつけると、すでに女性飼育員は熊に襲われていました。もう一人他に女性飼育員がいましたが姿がありませんでした。
連絡を受けてかけつけた警察や猟友会の人々によって6頭の熊は全て射殺されました。しかし最初に熊が逃げことを伝えた女性飼育員と、姿の見えなかった女性飼育員の2人は、熊の襲撃ですでに死亡していました。
施設の運用に問題!秋田八幡平クマ牧場事件は人的ミス
この事件の原因は、人的ミスによるものです。もともと秋田八幡平クマ牧場では管理不行き届きが問題視されていたところで、ヒグマが脱走したのは、塀の角に雪が溜まり、よじ登れる高さまで積もっていたことによるものでした。
日本で起きた獣害事件⑤札幌丘珠事件
熊が冬ごもりをすることをご存知の方はいらっしゃると思いますが、爬虫類のような冬眠とは少し違い、大きな音で目を覚ますような浅い眠りをしています。そうすることで、極力体力を温存する冬の過ごし方をしています。
日本で3番目に大きな獣害事件!札幌丘珠事件
明治11年1月11日の札幌は、真冬ですでに熊は冬ごもりをしている時期でした。北海道の有名な三大熊事件の中では最も古い時代に起きた出来事です。被害は最も少なく、日本で3番目に大きな獣害事件と言われています。
冬眠中の熊の討伐に失敗したことが原因!3名が亡くなる
その日、ある猟師が熊狩りに出かけると、山中で1頭の冬ごもりをしているヒグマを発見。チャンスとばかりに猟師が射殺しようとしましたが急所を外してしまいました。弾を撃ち込まれたことと、冬ごもりから無理やり覚醒させられたヒグマは激怒し、その猟師は逆襲され死亡しました。
その後も怒りと空腹に満ちたヒグマは、札幌市内をかけずり周り、人々を襲いました。駆除隊が出動しましたが、その間にある一軒家にいた家族のうち、男性1人と子供1人を食い殺しました。さらに他2人の女性にも顔に重症を負わされました。
ヒグマは殺され博物館に展示されている
一家を襲撃した翌日、ヒグマは駆除隊によって撃ち殺されました。加害のヒグマは体調1.9mもの巨大な雄のヒグマでした。このヒグマはその後、剥製にされ、現在も北海道大学の構内にある博物館に展示います。
獣害を回避するために①各地で行われている熊対策
様々な獣害事件を紹介してきましたが、どれも恐ろしい事件ばかりでした。特に熊による獣害事件は紹介しているものよりももっと数多く発生していて、熊が人里に降りてきた、とテレビで報道されることもあり、今後も無くなることはないでしょう。熊対策としてどのようなことを行っているのか紹介します。
熊の出没を防ぐための対策
熊に対して効果的な「熊用電気柵」というものが使われています。高知能な熊に対して、電気柵に触れる際に強烈な電気ショックを与えることで、熊に「近づいたら危険」という認識をさせることを目的としています。
熊対策マニュアルがある
環境省が公式発表している「熊対策マニュアル」というものがあります。この中には各自治体と政府が連携して地域の特性を調査し、情報交換してその地域の特性を把握することで、地域ごとの熊対策方法を打ち出しています。例えば、堅果類を除去したり柵の設置を推奨するなど、国として熊の獣害被害を減らすために取り組んでいます。
獣害を回避するために②登山中に獣害に遭わないために
今、登山がブームになっています。登山する方はもちろん危険があることは承知だと思いますが、準備は万全、と思っていても、思いがけず熊に遭遇してしまう確率はゼロではなく、生死を分けるのは皆さんのその時の行動かもしれません。
登山中は熊に遭遇するのが当たり前
まず、登山中に熊に出会ったのは偶然ではなく必然です。しかし、まずは熊との遭遇を避けることが大切です。野生動物は、基本臆病なので、物音が聞こえると自分から逃げます、そこで役立つのが、「熊鈴」です。その他ラジオも効果的で、自分の居場所を熊に知らせるようしましょう。
また、「熊スプレー」という熊よけ撃退スプレーも販売されており、これはレバーを押すと、中からガス状になった唐辛子エキスが噴出し、強力な刺激で相手を追い払うことができるので、ぜひ持っていきたいアイテムです。
登山中、熊に遭遇したら
もし熊に遭遇してしまったときは、まず、干渉しないことが一番です。刺激するようなことは絶対にしてはいけません。特に、子連れの熊は子熊を守るため凶暴化してしまうので、特に注意が必要です。
また、熊は背中を見せて逃げるものを負う習性があるため、熊と遭遇して驚くと思いますが決して大声を出して走って逃げてはいけません。ゆっくり静かに後ずさりながら、その場を立ち去ってください。よく言われる「死んだふり」は効果がないのでやめてください。
人的ミスによって起こることも?世界中の獣害事件
いかがだったでしょうか。やっぱりな、と思う猛獣による獣害事件もあれば、ペットとして飼われていた動物による獣害事件もありました。しかし、人間の管理不足や、人間が動物を刺激したことによって起きてしまった獣害もありました
やっぱり獣は獣。いつ私たちに牙を剥くかわからないし、もし襲われたら、不測の事態に獣の力の前には為す術はないのかもしれません。しかし、動物たちとの共存していく上で獣害は避けられない問題です。獣害被害を減らすためには、動物の習性を十分に把握して共存していかなければなりません。
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