世界中で起きている?恐怖の獣害事件とは
約1万円前、世界の森林面積は62億ヘクタールあったと言われていますが、現在は文明の発達とともに、世界の森林面積は約40億ヘクタールに減少しました。つまり、現在の地球の陸地面積の約3割が森林で覆われているということになります。文明を発達し続ける人間と住処を奪われる動物との衝突は、避けては通れない問題です。
獣害事件とは
獣害事件と聞けば、猛獣を思い浮かべる人が多いと思います。ライオン、トラ、熊、狼、サメなどでしょうか。いえいえ、それだけではありません。
獣害事件とは、野生、飼育下であるかを問わず、獣と称される哺乳類の行為によって、人間が不利益を被った際に使われる単語です。日本の獣害事件は、ヒグマが起こしたものがトップ3に並んでおり、世界ではライオンやトラなどによって引き起こされる事件も目立っています。
感染症・農作物被害も含まれている
獣害事件とは、人的被害が出たものだけではなく、感染症や農作物の被害なども含め、多岐にわたります。例えば、輸入したペットや外来種畑が病原体を持ち込むことで感染症を引き起こしたり、イノシシや猿に畑を荒らされたりというニュースを見たことがある人は多いと思います。
世界三大獣害事件!その①三毛別羆事件
日本の森林の割合は2015年の段階で68.5%、つまり約7割が森林です。浸潤な気候と豊かな緑に恵まれた日本には多くの動物たちが存在し、共存してきました。日本で起きる獣害事件のトップ3はヒグマが起こした事件で、その中でも最も有名な獣害事件を紹介していきます。
日本史上最悪の被害が出た「熊」が関与する事件
今から100年ほど前の1915年(大正4年)12月9日~14日にかけて、北海道苫前郡苫前村三毛別六線沢周辺で起きた事件です。この事件を引き起こしたのは、体長約2m70㎝、立ち上がると約3m50㎝もの高さで、体重が約380kgもあるヒグマでした。
想像しただけで身震いしてしまうほどの大きさの熊が、三毛別の人々に次々と牙を剥きました。日本史上最悪の被害と言われている事件はどれほどのものだったのか、その被害を詳しく紹介していきます。
民家を襲うヒグマ!開拓民7人が亡くなり3人が重傷
15戸が暮らす小さな開拓地の村の人々を、2日にわたり雄のヒグマが次々と襲いました。被害にあった人のうち、女性2人・子供4人・妊婦1人とその胎児1人、合わせて7人が亡くなり、他に女性と子供を合わせて3人が重軽傷を負いました。
襲われたのは力を持たない女子供ばかりでした。事件発生前、11月頃から尋常ではない大きさのヒグマがうろついていることは知られていたそうですが、当時の家は簡素な作りで、そのヒグマの前に人々は為す術がなく、現場は想像を絶する惨劇を思い浮かべることができます。
熊打ち山本兵吉がヒグマを退治し事件は収束
事件を収束したのは、山本兵吉という熊打ちでした。彼は三毛別付近に来たところ、この残酷な事件を耳にし、単独で山に入りました。そして、木につかまり体を休めていたヒグマを発見し、銃で2発目に頭部を貫通し仕留めました。
ヒグマ捕獲後、解体してみたところ、胃から人間の骨や赤い肌着などが出てきたという。そしてヒグマの肉は、死者への供養という意味で、皆で食べたそうです。三毛別熊事件を題材にした書籍や映画も数多く世に出され、当時の様子や熊の恐ろしさ、人々の恐怖を現在に伝えています。
三毛別事件を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
世界三大獣害事件!その②ジェヴォーダンの獣
世界三大獣害事件の2つ目は、18世紀のフランス・ジェヴォーダン地方(現在はロゼール県の一部)に出現した、狼に似た生物です。250年以上語り継がれているこの事件は、実際のところ獣が何であったかは現在も議論されており、100人以上の人間を襲ったたという記録が残されています。
牛と同じ大きさの狼?謎の生物による襲撃事件
1764年から1767年にかけてフランス南部のジェヴォーダン地方で、狼と思われる大型の野獣が出没しました。実際にジェヴォーダンの獣を目撃した人の証言によると、この狼と思われる獣は体長約1.7mで体高約80cmでした。
これは一般的な狼の2倍ほどで、牛と同じ大きさにあたります。そして背中に縞模様があり、長い尾を持っていたそうです。さらに狼と比べて頭も大きく、口も大きいとのこと。その巨大で奇妙な狼は、人々を襲って殺戮を繰り返したのです。
ジェヴォーダンによる被害者は100人以上?
ジェヴォーダンの獣の犠牲者は100人にもおよび、成人男性は一切襲われることがなく、ほとんどが女性と子供でした。公式に確認された最初の犠牲者も、14歳のジャンヌ・ブルという女性でした。
ジェヴォーダンの獣における記録が古いことから実際の被害者の数は曖昧ですが、知られている数よりももっと多いと言われています。この狼の恐るべきなのは、普通の狼とは違い、家畜は一切襲わず人間ばかりを襲い殺戮を繰り返していたとことにあります。
討伐されるも死骸は見つからず?謎の生物ジェヴォーダン
100人以上が犠牲になっている事態を重く見た国王ルイ15世は、ジェヴォーダンの獣の討伐隊を派遣しましたが打ち取ることができず、事件を収束させたのは、地元の猟師ジャン・シャステルさんでした。彼は、聖母マリア様が刻印されたメダルを溶かして作った銀の銃弾を込め、ジェヴォーダンの獣の眉間を一発だったそうです。
しかし、討伐されるも不思議なことに死骸が見つかっていません。大型の狼だったのか、はたまたハイエナだったのか。未確認生物として色々な説が現在も語り継がれ、書籍化や映画化もされています。
世界三大獣害事件!その③チャンパーワットの人食いトラ
世界三大獣害事件3つ目は、チャンパーネットの人食いトラの事件です。トラはアジア大陸に分布するネコ科の最大の動物で、古来より、アジアの文化の中で力や威厳の象徴とされてきました。そんなトラが人々を次々と惨殺した事件を紹介します。
世界で最も人を食い殺したチャンパーワットの人食いトラ
19世紀の後半、舞台はネパール地方。ジャングルを行く人々が、次々と待ち伏せされ何度も襲われるようになりました。その犯人は、メスのベンガルトラでした。このトラはジャングルに入ってくる人々を、次から次へと襲い、食い殺していたのです。
次々と人を襲うトラ!被害者は400人超え
この人食いトラの被害者は、なんと436人。ハンターを派遣し、駆除を試みたが一切成果は見られず、その犠牲者は既に、200人に達しました。事態を重く見たネパール政府がついに軍の投入を決定し、トラを仕留めようとしました。しかしそれでも、トラをを仕留めることができず、インド領に追い出すぐらいの成果しか、上げられませんでした。
これにより、インドに追いやられたトラは、クマオン地区の近辺に居つき、そこでも殺戮を始めるようになりました。そして、被害者は合計436人に達しました。トラによるものとしては世界ギネス記録にも認定されています。
イギリス人のジム・コーベットによって射殺
このトラはジム・コーベットというハンターによって射殺され、事件は収束しました。その日トラは、チャンパーワットの町で一人の少女を食い殺し、巣へ持ち運んでいたところ、血痕を残してしまいました。ジム・コーベットはこの血痕を追跡し、ついにトラを仕留めたのです。
牙が折れていたため人を襲うしかなかった?
このトラの行動範囲は20kmにも渡り、人々を恐怖にさらしてきました。完全に人を捕獲対象として見ています。なぜこのような行動を起こしたのでしょうか。それは射殺されたトラを見ると、右の犬歯が上下とも抜けていて、満足に野生動物を狩ることができなかったためであると考えられています。
トラの生態についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
世界で起きた獣害事件10選①
世界三大獣害事件を紹介しましたが、いかがだったでしょうか。他にも世界各地で獣害事件は数多く報告されています。被害者の数は違えど、いづれも人々を恐怖に陥れました。次ではその事件の数々を紹介していきます。
世界で起きた獣害事件①ペトロパブロフスク羆事件
上記で三毛別の熊事件を紹介しましたが、日本以外でのも熊は様々な地域に生息しており、熊被害も数多く報告されています。2011年8月13日、シベリア東部の近隣の川辺で発生した、ヒグマによる襲撃事件を紹介します。
親子2人が亡くなった熊による襲撃事件
被害にあったのはロシア人親子で、父親のイゴール・チガネンコフさんと、娘のオルガ・モスカヨワさんでした。その日2人はキャンプ旅行に来ていて、河原で突然大きなヒグマが親子を襲撃しました。
小熊に襲われた娘!電話で母親に助けを求める
初めに襲われたのは父親のイゴールさんで、ヒグマに首の骨を折られた後、頭蓋も割られ即死でした。それを見て娘のオルガさんは逃げ出しましたが、すぐにヒグマに捕まって下半身から生きたまま食べられました。
オルガさんはヒグマに食べられながらも母親に電話で助けを求めましたが、為す術はありませんでした。そしてさらに、3頭の小熊を連れて戻ってきた小熊たちと一緒に食べられてしましました。オルガさんは「もう痛みがなくなった。今までごめんなさい、ママ愛してるわ」と、母親との電話で最後の言葉を残し、息絶えました。
地元のハンターが熊3頭を退治
母親は娘からの連絡を受け、キャンプ地の近くの警察に連絡しました。救援を急ぐように要求し、イゴールさんの親族にも連絡しました。キャンプ地に到着したのは、オルガさんの電話から30分語、時すでに遅く、2人の無残な亡骸がありました。ヒグマ親子は、警察が依頼して連れてきた地元のハンターによって退治されました。
世界で起きた獣害事件②ニュージャージーサメ襲撃事件
海水浴シーズンになれば、誰もが恐れるのはサメの被害です。私たちには身近な存恐怖の対象といえるでしょう。現在は「海のギャング」と異名があるほど、恐れられていますが、次はサメの引き起こした襲撃事件について紹介します。
映画『ジョーズ』の元ネタになった事件
1916年7月1日、アメリカ東部の西海岸にあるニュージャージー州で事件は起きました。当時はサメが人を襲うとは思ってもいなかったようで、この事件は多くの人々にショックを与え、映画「ジョーズ」の元ネタになりました。
ライフガードが助けに行くが両足を食いちぎられ死亡
その日もその海岸でたくさんの人が海水浴を楽しんでいました。そこにサメが現れて男性を襲いました。ライフガードが助けに行きましたが、両足を食いちぎられてしまい、死亡しました。このとき、そこはリゾート地であったため、多くの人がその現場に居合わせ、その場はパニック状態、楽しい海水浴場を恐怖に陥れました。
事件のホオジロザメは捕まえられた?
その後も50km離れたマタマンの川で2人の少年が立て続けに襲われ、助けに行った男性一人も足を噛まれ死亡しました。マタワンの人々はサメを退治するため、連日川にダイナマイトを投げ込んでいましたが、サメを仕留めることができませんでした。
マタワンの襲撃から2日後、海で漁をしていた剥製行舎の船の網に、約2.5mのホオジロザメが掛かり、すぐに殺され、事件は収束しました。そのサメを持ち帰り胃を裂いてみると、中から人間の骨と思われるモノが出てきたことから、このサメが襲撃事件の犯人とされました。
世界で起きた獣害事件③ツァボの人食いライオン
「百獣の王ライオン」「サバンナの王者」と呼ばれるほど、私たちにとってライオンは、強く危険な動物で、動物の頂点というイメージです。そのライオンが人間に牙を剥きました。その恐怖は想像を絶します。
2頭のライオンによる獣害事件
1898年、ケニアで起きた事件です。当時、ツァボ川にかかる鉄道橋の建設が進められており、その労働者を2頭のライオンが数か月に渡って次々と襲撃しました。事件のあった地名から「ツァボの人食いライオン」と言われています。
少なくとも28人が人食いライオンの犠牲になった
ツァボ川にかかる鉄道橋の建設には、英領インドなどから約3000人もの労働者が集まり、いくつものキャンプ地で寝泊まりしていました。工事は順調に始まりましたが、労働者は悪夢に襲われました。
ライオンは本来夜行性ではないのですが、広いキャンプ地で、2頭のライオンは夜の闇に紛れて次々と人間を襲撃しました。当初の被害者は135人に上ったという説もありましたが、最近の研究では約28人とされています。
現場総監督のジョン・ヘンリー・パターソンによって射殺
現場監督としてジョン・ヘンリー・パターソンという大尉が赴任してきました。赴任当時にはすでにライオンによる犠牲者が数人出ていた頃で、パターソンはキャンプ地の樹上で銃を構えたりパトロールしてライオンを仕留めようとしていましたが仕留めることはできませんでした。
ついには警官や軍人の手を借りることもありましたが、仕留めることはできませんでしたが、最後はパターソンとの息を飲む心理戦による攻防の末、ようやく2頭とも射殺、仕留めることに成功し、事件は終結しました。
世界で起きた獣害事件④チンパンジーのトラビス
続いては、チンパンジーにより起きてしまった獣害事件です。チンパンジーは霊長類ヒト科チンパンジー属に分類される類人猿で、動物の中でも人間に近くて知能が高く賢い、といったイメージではないでしょうか。でも実は強い握力を持っているなど、やっぱり動物は動物。チンパンジーに襲われた事件について紹介していきます。
チンパンジーが飼い主の友人を襲った事件
2009年2月16日、アメリカのコネチカット州でサンドラ・ハロルドが飼っていた雄のチンパンジー「トラビス」が檻から脱走しました。トラビスは事件当時14歳で、3歳のときからサンドラの家に引き取られ、人間同様に大切に育てられていたそうです。
その日、脱走したチンパンジーを捕獲するため、サンドラの会社の従業員であるチャーラ・ナッシュが不幸にもそのチンパンジーに襲われてしまいました。チャーラとトラビスは今までも何度か会ったことがありました。
友人の顔を食いちぎり顔はズタズタに
サンドラの自宅でチャーラは、トラビスのお気に入りのおもちゃでトラビスの気を引こうとしましたが、間髪入れずにトラビスはチャーラに飛びかかりました。チンパンジーの握力は約300㎏。14歳の雄のトラビスは90Kgの体重であり、おもちゃを取られた怒りもあったため、チャーラはそのとてつもない力の前では為す術はありませんでした。
チャーラの顔はトラビスによってめちゃくちゃに引き裂かれ、鼻や両耳は噛み千切られており、目を覆いたくなるような悲惨な姿でした。現在は皮膚移植を受け、新しい生活をスタートしているそうですが、以前の容姿は失われ、視力と両手も失われました。
拳銃で撃たれたトラビスは自宅の檻で息絶えた
サンドラは警察に通報し、警察によってトラビスは拳銃によって深手を負いました。拳銃で撃たれたトラビスは、深手を負ったままいったん家に引き返しましたが、その後自宅の檻で息絶えているのが発見されました。
トラビスは、持病のライム病のために向精神薬の「ザナックス」を与えられており、事件当時はその薬の脱抑制・失見当・攻撃性の増幅、といった薬効の効果もあり、いつもより攻撃性が増していたと考えられています。
世界で起きた獣害事件⑤逃走を続けるチンパンジーのブルーノ
続けてこちらもチンパンジーによって起きた獣害事件です。上記で紹介しましたが、チンパンジーは300㎏もの強い握力を持ち、普段は穏やかですが時に激しい攻撃性を見せる動物です。そんなチンパンジーが群れを率いて襲ってきました。
2006年、アメリカ西部のシエラレオネの保護区内で、総計30匹のチンパンジーの群れのボス「ブルーノ」が人間を殺害し逃走した事件がありました。ブルーのは米国人らを乗せた車を襲いました。
チンパンジーの群れを仕切って人を襲わせるブルーノ
ブルーノは拳でフロントガラスをたたき割って車内に侵入。シエラレオネ人の運転手を引きずり出し、首根っこを押さえつけて地面にたたきつけ、両手両足の爪を剥がしたうえに、顔面全部を食べつくし殺しました。
さらに保護区内の森に逃げ込んだ男性もチンパンジーの群れに襲われ、手足の爪をはがれたのち、顔面を食べられて死亡しました。もう一人の男性も、命は助かりましたが指を6本食いちぎられる大怪我をしました。
チンパンジーは黒人を狙った?その社会背景とは
被害状況から判断すると、チンパンジーは黒人を狙っていました。なぜ黒人を狙ったのか。それはこの保護区のチンパンジーにとって黒人は、常に自分たちを迫害してきた憎しみの対象だったと考えられています。
防犯カメラに姿を見せるも未だに捕獲には至らず
人間を襲撃した群れのチンパンジーたちは、その後27頭が捕獲されました。しかしブルーノを含む残りの4頭はまだ捕獲されていません。彼は幾たびか自動カメラに姿が捉えられることはあったそうですが、今も捜索が行わています。
世界で起きた獣害事件10選②
ここまで5つの獣害事件を紹介しましたが、危険な動物と知られてきた動物だけでなく、「まさかこんなことになるなんて」と、それまで認知されておらず実際に事が起こって初めて驚愕する事件もありました。続けて、世界で起きた獣害事件を紹介していきます。
世界で起きた獣害事件⑥熊を愛した男ティモシー・トレッドウェル
熊による獣害事件はやはり世界各地で報告されています。非常に恐ろしいと認識している人が多い中、次はアメリカのグリズリー(ハイイログマ)保護活動家で、12年間熊を愛した男「ティモシー・トレッドウェル」の悲劇について紹介します。
熊愛好家とその恋人が熊に捕食された事件
グリズリーは北アメリカに生息するヒグマの一亜種で、ヒグマの中でもグリズリーは気性が荒いとされています。トレッドウェルは野生のグリズリーに名前をつけて、まるで家族や恋人のように接しており、12年間毎年アラスカの国立公園に滞在し、野生のグリズリーをハンディカメラで撮影し続けてきました。