白暁燕誘拐殺害事件の真実は?白冰冰と梶原一騎の娘を襲った悲劇

このテレビ出演をきっかけに、有名歌手の娘が誘拐されたということが広く周知され、世間には動揺が広がります。このゴシップにマスコミはこぞって飛びつき、報道競争は熾烈を極め、あろうことか被害者宅に危害を加える報道社まで出てきたようです。日本でも被害者のプライバシー保護がたびたび取り沙汰されますが、どこの国でも同じようです。

銃撃戦で犯人は自殺

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誘拐事件から4か月が経った8月、警察はついに主犯格のうち2人を台北で発見します。抵抗した犯人たちに警察も銃で反撃し、激しい銃撃戦が繰り広げられました。警察の猛攻に逃げ切れないと悟ったのか、うち1人である林春生は、自らを打ち抜きその場で死亡しています。

しかし、逃亡したほかの仲間や暁燕さんの安否などについて、一切を語らずにあの世へと逃げ去ったため、警察は新たな情報を得ることができませんでした。必死の捜査の末、3か月後の11月にはもう一人の逃亡犯・高天民と再び銃撃戦に持ち込みますが、林と同じように高も真相を語らず拳銃自殺しています。

立てこもった残る主犯が投降

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大使館に人質を取って男が立てこもる事件が発生するのですが、その犯人が残る主犯格である陳進興でした。投降後の弁護について条件を提示するなどの必至の説得の末、陳は自首し一連の事件は幕を下ろします。

逮捕後に陳に下されは判決は、もちろん死刑。それに加えて、日本円にして約6億円以上もの賠償金の支払い命令が下されました。しかし、犯人たちが残した傷跡は、そんな大金ぐらいで償えるような、浅いものではものでは到底なかったと言えるでしょう。

白暁燕を誘拐した犯人グループへの判決

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同情の余地ない卑劣な犯人たちですが、彼らには一体どんな重い刑が科されたのでしょうか?また、アジトで見つかった数名や、様々な最期を迎えた主犯格3人など多くの実行犯や協力者がいたようですが、法で裁かれた正式な犯人数は何人だったのでしょうか?

日本と同じように、では現在でも死刑制度が採用されています。死刑の廃止については様々な意見が交わされていますが、罪のない人間の尊い命を自分勝手な都合で奪うような残虐な犯人に対しての遺族感情を慮ると、落としどころの難しい議題と言えるでしょう。

主犯は死刑5回・懲役59年

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自首をすると罪が軽くなる、という話もありますが、この事件ではそのような甘い情状酌量はされませんでした。主犯の陳は、死刑と懲役刑をそれぞれ5回と59年が科されます。これは、台湾の司法制度では犯した罪それぞれに刑がかけられるため、そのような判決になっています。

逃亡している最中にも、誘拐事件、身代金への強盗事件、果ては人相の変更のため手術をさせた病院での殺人・および強姦事件を起こすなど罪を重ねていました。そのため、それぞれの事件一つ一つについて刑が科される形になりました。罪状の内容も考慮してか、死刑判決が下されたのと同じ年にすぐ死刑が執行されています。

協力者は18人も!?

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少女一人を誘拐し、隠れ家を用意し、さらに事件発覚後は何か月も逃亡し……という一連の犯行を少人数で行うことは不可能に近いでしょう。この事件でも、それぞれ重さは違えど犯行に協力したとみられる人物は20人近くいたと言われています。

刑から逃れるために、ほとんど全員が自分は協力者じゃないと嘘をついて言い逃れようとしましたが、警察や裁判所がそんな口車に乗るはずがありません。主犯格3人の親族や血縁者を含む6人ほどが最終的には逮捕され、それぞれが罪を償うこととなりました。

 

白暁燕の生い立ち!輝かしい両親をもつプロフィール!

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災厄のような事件に巻き込まれ、悪夢のような時を経て命を落とすこととなったうら若き彼女。冒頭でも少し紹介した通り、それぞれの分野で活躍していた輝かしい両親の間に生まれ、母の故郷・台湾ではその天性の愛らしさとスター性を存分に発揮し、お茶の間で愛されていました。

ほとんどの人が、彼女の両親どちらかの名前であれば知っていることでしょう。この章では、悲惨な事件に巻き込まれた被害者としてではなく、一人の高校生の女の子としての彼女の生来を紹介していきたいと思います。

母は台湾の人気タレント白冰冰(パイ・ピンピン)

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暁燕さんの母である白冰冰さんは、台湾の芸能界で注目を集める人気スターでした。18歳の時に歌の技術を見初められ芸能界デビューを果たし、活躍の場を広げるための勉強として、演技を学ぶために日本へ渡っています。その際に、のちの夫となる梶原さんと知り合います。

彼女は女手一つで娘を育て上げた苦労の人で、自分の力でのし上がありスターの座を手にしまています。夫とは別居していたため、一人娘である暁燕さんを非常にかわいがっており、他の子と同じように普通の女の子として育ってほしいと願っていたようです。2人の関係は良好で、一緒に親子タレントとしてテレビに出演することもあったとか。

父は人気漫画家梶原一騎

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暁燕さんの父親が日本人であることしに何度か触れましたが、その父親はなんと、日本で最も有名な漫画家の一人である梶原一騎さんです。梶原さんは、巨人の星や明日のジョーなど、いわゆる「スポコン漫画」の代表者です。彼が執筆したほとんどすべての作品がヒットしており、現在でもメディアで取り上げられるなど愛されています。

ステップアップのために日本を訪れていた白冰冰さんと出会い、結婚し娘を授かりますが、その娘の出生前に家庭内不和によって別居。娘が生まれた1年後には離婚が成立し、父子が顔を合わせることはありませんでした。暁燕さんの誘拐事件が発生する10年前には病に倒れ、惜しまれながらこの世を去っています。

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