また、頭部にも暴行の後は及んでおり、耳の鼓膜はなにか爆薬のようなものを詰め込まれて破られており、両の目はつぶされていたという描写があります。彼女の生前の顔写真は容易にみることができますが、あのような溌溂として愛らしい少女に対して、どういう心情であればこれほど残酷なことができるのか想像もできません。
性的な暴行
また、彼女には強姦の痕跡もあったようです。性器や肛門には金属製のものを挿入され、裂傷ができていたようです。また、体内にはかなりの本数の釘が入れられていたという話もあります。検死を行った担当者が今までに見たこともない、人間性を欠いた暴行だと驚いたのも無理はありません。
性的な部分に関しての凌辱は、身体を傷つけることはもちろん、被害者に癒えない心の傷を残すことになります。暁燕さんのケースでは非常に傷ましいことに命を奪われてしまっていますが、仮に生きて解放されたとしても、暴行が事実なら普通の生活を送ることは難しくなっていたことは違いないでしょう。
白暁燕の死因③暴行の真相は?デマ?
暁燕さんに加えられたと言われている数々の暴行について紹介しましたが、果たしてここまで詳細に被害者の状況が語られるものなのでしょうか?この誘拐事件については、海外のサイトでも多く紹介されていますが、どこのページにも日本で言われているような詳細は出てきませんでした。
また、事件当時に彼女の遺体が撮影された写真が出回っていたようですが、そこに映っている様子から見ても、原型をとどめないような状態ではなく、頭部ついても顔つきが判る程度の損傷だったそうです。彼女が暴行の末に死亡したことは間違いありませんが、残酷描写については事件後に脚色された部分がほとんどだと言えます。
Contents
白暁燕はなぜ誘拐されたのか?
暁燕さんが誘拐され、帰らぬ人となって発見されるまでのあらましについて紹介してきましたが、そもそもの原因として何故暁燕さんは誘拐されてしまったのでしょうか?もちろん母親が有名歌手であったことから、身代金が大量に取れるかもしれないという打算はあったと思いますが、冰冰さんに目立ったトラブルは見られませんでした。
また、生い立ちも貧しい一家の生まれであったため、もともと裕福だったという訳でもありません。暁燕さんが母親の冰冰さんとテレビで共演することが多く、顔が割れていたから?それとも、護衛などがおらず犯行が容易そうだったから?この章では、考察されている2つの説について紹介していきます。
白暁燕が誘拐された理由①報復説
1つ目の説は、犯人の目的が報復であった説です。暁燕さんの母親である冰冰さんに恨みがある何者かが犯人グループを先導し、娘を誘拐し危害を加えた上で金銭を要求し、大切なものを奪ってやろう、としたのではないか、という考察です。
冰冰さんは、台湾に戻ってからは暴力団の追放運動に参加し、精力的に活動していました。娘の暮らす台湾から暴力を追放し、住みやすく平和な国にしたいと願って活動していたのでしょう。しかし、有名人であるがゆえに悪目立ちをし、追放を願っていた暴力団関係者の標的になってしまった、という一連の流れは理にかなっています。
白暁燕が誘拐された理由②依頼説
2つ目の説は、犯人グループは何者かに依頼されて誘拐事件を起こしたのではないか、という説です。冰冰さんの周りでは目立ったトラブルは起きていませんでしたが、知人である男性が彼女に大きな借金を背負っていた、というのです。
借金をしていた男性の存在
その男性は遊技場を経営しており、その経営が困窮したためにツテを辿って、有名人であり資産を持っているである冰冰さんに金を貸してくれるよう頼んだそうです。金を借りたはいいものの、返す当てもなく冰冰からは返済を迫られ、次第に窮地へ追い込まれていきます。
行き詰った男は、ついに裏社会の住民である犯人グループとコンタクトを取り、誘拐事件を企てます。成功すれば大金が懐に舞い込み、借金返済の当てに鳴るうえ、額によっては経営の立て直しもできる、と考えた末の犯行ではないかという噂があります。しかし、この男については存在の真偽もわかっておらず、あくまでも噂の域を出ないでいます。
白暁燕はなぜ最悪な最期を迎えなければならなかったのか
金銭と引き換えにするため人質にされた暁燕さん。にも関わらず、犯人グループによって殺害されてしまっているのは何故なのでしょうか?身代金と引き換えにする人質であれば、被害者側の家族に無事を確認させ、金さえ払えば助かると思わせるために生かしておかなければ取引として成立しないように思われます。
また、人質がすでに死亡していることが警察などに知れれば、居場所が特定された際に踏み込まれる確率や乱暴さも高くなります。助けるべき人質がいないため、考慮しなければいけない可能性が少なくなるからです。暁燕さんのケースでは、被害者死亡という最悪の結末を迎え、さらには二次被害まで出てしまったいくつかの原因が考えられます。
原因①身代金受け渡しの失敗
犯人グループは誘拐に成功しており、母親の冰冰さんへコンタクトを取ることまで成功しています。また、冰冰さん側も、警察への通報は行っていますが、犯人グループが欲求した額の身代金を何とかして集め、用意することができています。
にも関わらず、犯人グループは現場から逃げ去ったでもなく、そもそも指定した受け渡し場所に来なかったのです。取引までの間のやりとりでは、暁燕さんに質問したりと、犯人グループの彼女を取引材料にする気が合ったことがわかります。来なかった理由としては、警察が受け渡し場所を包囲していて警戒されたためだとの指摘があります。
原因②マスコミの過激な報道
被害者死亡という結末を迎えた原因として、マスコミの過剰な報道競争が大きな理由としてあげられます。実は、最初の受け渡し失敗後にも、2~3回ほどの受け渡し交渉がされていました。しかし、それらはすべて失敗しており、最後にはアジトへの突入という強硬手段が取られています。
この受け渡し失敗の背景には、現場に押し掛けたマスコミがいたことで、カメラに写ることで身元が割れることを犯人側が警戒したためと思われます。また、被害者の母親である冰冰さんの自宅にもマスコミは殺到しています。傷心の中、礼を欠く質問を投げつける記者に冰冰さんが怒りをあらわにする一面もあり、マスコミへの批判が集まりました。
原因③主犯を取り逃がす
先述の、警察隊による犯人グループのアジトへの突入の際、複数人いた関係者何人かをとらえることはできましたが、肝心の主犯格を取り逃しています。この失敗が、のちにさらなる悲劇を呼ぶこととなっていきます。なんと、その主犯格の男3人は、逃走途中に別の身代金事件や殺人・強姦事件を起こしていたのです。
事件①身代金要求事件
逃走した犯人たちは、逃げ続けるための資金繰りに悩んでいました。そこで、同様の手口で誘拐して家族に身代金を要求することを思いついたのです。被害にあったのは議員と会社経営者の2名で、どちらも身代金の引き渡しに成功し、無事身柄を開放されています。
事件②病院での殺人事件
犯人グループのうち2名は、事件がマスコミによって拡散されたため逃げ続けるのは困難だと考えたのか、自らの顔を整形して再び逃走することを思いつきます。しかし、名前も顔も割れている判り切った犯人に手を貸す奇特な病院はありません。そのため、無理やり脅して手術をさせることにしたのです。
ターゲットとなった病院で無事手術を終えた犯人は、あろうことか執刀した医師とその妻、さらには勤務していた女性看護師までもを手に掛けます。結果的は、被害にあった3人全員が死亡し、女性看護師については強姦された後に殺害されるという、個別に見ても悪辣な事件が発生してしまいました。
原因④街中での銃撃戦
最終的には、主犯格のうち2名が自ら命を絶つことになるのですが、そのどちらのケースでも警官隊との銃撃戦が発生しています。この銃撃戦では、警察側の特殊部隊が出動するまでの騒動に発展しており、銃撃戦に参加した1名の警察官が命を落としています。市民に被害がなかったことは、不幸中の幸いと言えるでしょう。
白暁燕を失った白冰冰の現在
一人娘の暁燕さんを非常に可愛がっていた冰冰さん。夫とは離別しており、厳しい芸能界で活動していく中、娘である暁燕さんがどれだけ彼女にとって心の支えとなっていたかは想像に難くありません。愛娘を失った後、台湾のスターだった彼女はどうしているのでしょうか。
冰冰さん自体は、2019年現在でもご存命で、今でも台湾のテレビスターとして歌手や司会者など幅広く活動されています。しかし、タレント活動に加えて、事件の後は人権活動家としても有名になりました。死刑存続の訴えや、犯罪被害者のケアなど、自らの経験を無駄にしないよう懸命に呼びかけているようです。
悲しみをぶつけた手記を出版
事件から1年ほどのち、冰冰さんは1冊の本を出版されています。本の中では、日本での生活、台湾に移ってからの暁燕さんとの2人きりの生活、そして凄惨な事件が起き一人になってからの心情が冰冰さん自らの視点で語られています。中には、犯人たちについて触れている文章もありますが、決して詰るような言葉ではなく、人柄が表れています。
ドクターストップがかかるまで人工授精を繰り返す
一人娘を失った後の冰冰さんの悲しみはとても深いものでした。家族を失った彼女は、再び子どもを持ちたいと願います。そのために、人工授精による妊娠治療を試みますが悲しいことにすべて失敗に終わってしまいます。人工授精による妊娠は、何度も容易に行えるほど軽い治療ではありません。
幾度目かの治療の際に、冰冰さんは医師に自分の身体のことを顧みるように忠告されます。つまり、事実上の治療継続不可の宣告でした。冰冰さんは悲しみにくれますが、いつまでもうなだれているわけではありませんでした。自らの経験を活かし、自分のような悲しい人間を出さないように尽力することを決意するのです。
現在は死刑存続の活動家も
現在の冰冰さんは、タレントとしてだけではなく活動家としても名を馳せています。娘である暁燕の死を無駄にしないためにも、悲惨な事件に合った被害者とその家族を含めた関係者の心のケアを呼びかけ、残忍な犯人に対して極刑である死刑を執行することを広く呼びかけています。
事件の当事者である彼女の働き掛けもあってか、現在でも台湾は死刑制度を採用しています。もちろん事件が起きないことが一番良いことではありますが、たくさんの人々が暮らす社会は綺麗ごとだけでは成り立ちません。しかし、主犯格に死刑が執行された今でも、冰冰さんの心の傷は癒えていないようで、SNSに悲しみを綴った投稿もされています。
日本でも起きていた!残虐な暴行事件
この事件のように、若い女性が被害にあう残虐な事件は海外でばかり発生しているわけではありません。日本は、マフィアやギャングなど大々的に裏社会で活動している組織は比較的少なく、銃の所持が法律で規制されていることから安全な国だと言われています。
しかし、いくら安全だからと言ってその国に暮らす人々が皆、優しい心を持ち協力しあっているわけではありません。何億人もの人間が集まれば、必然的に中には信じられないような非道を行う犯罪者も出てきます。過去には、日本でも暁燕さん誘拐事件のように、被害者がとてつもない暴行を受け死亡した事件が発生しています。
日本で起きた残虐事件・女子高生コンクリート詰め殺人事件
その事件とは、かの悪名高い「女子高生コンクリート詰め殺人事件」です。この事件は、1980年代の日本で発生した未成年による監禁殺人事件です。加害者が全員未成年だったため、その残虐な犯行に対しての罰としては軽すぎる判決が下されたことでも世間を混乱させました。
この事件と暁燕さんの事件は暴行目的と金銭目的とで異なっていますが、いくつかの共通点があるためそちらに着目して紹介していきたいと思います。この事件についての被害は、犯人の自供や死体の検死が国内で行われていることもあり、驚くことにほとんどが事実であることがわかっています。
共通点①被害者が女子高校生
この事件の被害者となったのは、暁燕さんと同世代の17歳の女子高校生でした。誘拐の手口も、一人で歩いているところを自動車やバイクなどを利用して不意を付いた点などが共通しています。こちらの事件ももちろん複数犯で、被害者の少女を誘拐した後アジトへ監禁しています。
その監禁先のアジトが犯人たちのうち一人の実家で、それに加え両親が同居していたにも関わらず凶事が発生したというのも驚きです。被害者と犯人の両親は一度顔を合わせたようですが、息子の日頃の行いのせいからか不良一味の少女だと思い、警察への通報はしなかったそうです。
共通点②目を覆いたくなるような暴行
この事件の被害者である少女も、筆舌に尽くしがたいほどの暴行を受けた末に死亡しています。腹部や顔面への殴打はもちろん、ライターオイルを掛けて着火し酷い火傷を負わせるなど、通常の精神であれば思いつきもしないような方法で暴行されており、暴行について語られた法廷では耳をふさぎたくなるような惨状が供述されました。
また、誘拐の目的が強姦だったこともあり、犯人グループやその不良仲間たちから尊厳を奪うような凌辱をされています。発見された遺体には、体内に瓶が残っていたり、ひどい裂傷が負わされていました。また、少女の脳は極度の恐怖とストレスによって委縮していました。
未成年保護法による悲劇
この事件は、当時未成年だった犯人たちが反省の意を見せておらず、少年院を出所した後も別件で逮捕されるなど全く更生していない点が問題視されています。グループ内の再犯率が非常に高く、この事件についても、犯人グループの一人がなんと別件の強姦事件で逮捕された際に自供したために事件が発覚しています。
事件発生当初は、犯人が未成年であり更生を期待されていたこと、社会復帰した際の前途に与える影響などが考慮されたため、犯人たちの名前は伏せられていました。しかし、別件の犯罪を犯したりしてほとんどの犯人の名前は判明しています。コンクリート事件後の犯人たちについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
死刑が採用されている国は?
この誘拐事件に関与した犯人についても、主犯格と思われる男には死刑判決が下され執行されています。ほか2人は自ら命を絶ったため裁きを受けてはいませんが、計画的な犯行と自己中心的な動機、そして残虐な手口から逮捕されていれば死刑は免れなかっただろうと言われています。
昨今では人権保護の観点から、採用には賛否両論ある死刑制度。我が国日本では死刑制度が採用され、現在でも判決・執行が為されていますが、主要な他国ではどのような情勢になっているのでしょうか。遺族感情に直結する部分でもありますし、世間への犯罪の抑制効果があるとも考えられていますので、非常に難しい問題です。
死刑制度を採用している国
先程も触れたとおり、日本では死刑制度を採用しており執行についても凍結はされておらず、最近では「地下鉄サリン事件」に関連する死刑囚への執行が行われたことが記憶に新しいでしょう。また、隣国の中国やアメリカ、インドについても死刑制度が現存しており、人口当たりについての執行数も上位3国を占めています。
死刑制度が存在していても、10年以上執行がない制度の凍結をしている国もあり、ロシアや韓国がそれにあたります。凍結国については、比較的南アフリカに多く存在しています。誘拐事件の舞台となった台湾でも一時は執行がストップしていましたが、政権の交代とともに復活しています。
死刑制度を廃止した国
死刑制度を廃止している国は、やはり人権問題への意識が高いヨーロッパ地域に集中しています。イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、スペインなどの主要国はもちろん、北欧諸国やバルド三国なども含めて、戦時中の罪についての取り決めもすべて廃止している国がほとんどです。
また、オーストラリアや南北アメリカでもカナダやアルゼンチン、メキシコでも死刑制度は廃止されています。しかし、死刑制度が廃止されていてもマフィアやギャングの抗争が頻発している地域だと、裁判を経ての死刑制度はなくとも、その場での「処刑」が執行されているケースも多くあり、治安との関連性は薄いように思われます。
白暁燕が被害者の誘拐殺人事件
一人の何の罪もない女子高生が暴行の末死亡したこの事件。もちろん罪がある人が暴行され死亡しても良いなどということはありませんが、暁燕さんはただ有名人の子どもに生まれたというだけで、普通の人であれば味わうことのないはずの苦痛を味わっています。
現在でも、犯人の身勝手な犯罪に巻き込まれ、傷を負う人は少なくありません。被害者本人の生命や健康が脅かされるだけではなく、残された遺族にも消えない傷跡を残すこととなります。被害にあった少女の鎮魂を祈ります。
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