ノーザンパイクの形態
ノーザンパイクの姿
ノーザンパイクは明るくキラめく斑点が特徴的な魚で、成長に伴って緑色が強い茶色~黒っぽい茶色に変化します。胴体は細長く、背びれと尻びれは、尾びれに近いです。その体つきを活かし、弾丸スピードで獲物を襲います。ノーザンパイクは、成長すると1m~1.5mくらいになります。北ヨーロッパでは最も巨大な魚です。
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ノーザンパイクは明るくキラめく斑点が特徴的な魚で、成長に伴って緑色が強い茶色~黒っぽい茶色に変化します。胴体は細長く、背びれと尻びれは、尾びれに近いです。その体つきを活かし、弾丸スピードで獲物を襲います。ノーザンパイクは、成長すると1m~1.5mくらいになります。北ヨーロッパでは最も巨大な魚です。
ノーザンパイクは、アヒルのような長く突き出た口をしています(下唇の方が少し長いので、しゃくれているように見えます)。が、一番の特徴は、何と言っても、刃のような鋭い歯です。『舌にも歯が生えている』と例えられるくらい、びっしりと並んでいます。しかも歯は、喉の奥の方へ向けて生えています。ノーザンパイクに噛まれたら最後、この歯がネズミ返しのように邪魔をして、まず、脱出不可能でしょう。釣り上げる時も、さばく時も、十分注意して下さい。
“アメリカ合衆国(アラスカ、東北部)、カナダ、ヨーロッパ、ユーラシア大陸(亜寒帯) ”です。
(引用:ノーザンパイク (Northern Pike) – 眼遊)
ノーザンパイクは主に魚を食べます。しかし、食欲旺盛なので、昆虫や、カエル、ネズミはもちろん、ヘビや、水鳥などの小型哺乳類も襲います。時には、自分の体よりも大きい物を飲み込もうとして、窒息死してしまうことさえあります。そのため、魚類でありながら、生態ピラミッドの王者に君臨しています。産卵期は4~5月です。ノーザンパイクは単独行動を好むため、群れを成すのは、水草に卵を産む時だけです。巣作りもせず、卵は放置です。それでも、ノーザンパイクの繁殖力と環境への適応力は目を見張るほど優れています。
英語名は、Northernpike(ノーザンパイク)です。ロシア語圏以外では、略して『パイク』と呼ばれています。ヨーロッパには、他にパイク科の魚が生息していないからです。パイクとは槍(やり)を意味します。尖った口と、俊敏な動きが、槍に似ていますよね。
ノーザンパイクの和名は、『キタカワカマス』(北川魳、北川梭子魚、北河梭子魚)です。キタカワ・カマスと表記している事典もあります。海に住むカマスに似ているので、『北の川に住んでいるカマス』の意味で名付けられました。しかし、カマスとは全く別の種類です。
ノーザンパイクは、待ち伏せタイプの狩りをします。普段は、水草の間や、流木の影に潜んでいます。そして、通りかかった物をリアクション(反射的に攻撃)します。そのため、上手くノーザンパイクの前にルアーを落とすことが出来れば、一発で釣り上げることが出来ます。
遠くに獲物を見つけたノーザンパイクは、少しずつ忍び寄って間合いを詰めます。そして、S字状に体をゆっくりとくねらせながら、静かに獲物を観察します。獲物が動いた刹那、その巨体に似合わぬ驚くべき瞬発力とスピードで襲いかかります。
ノーザンパイクは、一度狙いを定めると、仕留めるまで何度も攻撃してきます。ですので、釣る際、最初のフッキングに失敗しても、あきらめる必要はありません。続けて2~3度アタックしても大丈夫です。
では、さっそく準備して!と、はやる気持ちを、グッとこらえ、まずは基礎知識から身につけましょう。ノーザンパイクを釣るには、ルアーフィッシングが断然お勧めです。ルアーフィッシングは、ルアー(疑似餌)で釣る方法です。
この3つで、ルアーに命を吹き込みます。目当ての魚の住む水深や、釣り場のコンディションを考慮して使い分けるため、種類や色、柄など、様々なルアーがあります。
ノーザンパイクは、反射的に『リアクション』をする(獲物を狩る)ので、派手で目立つルアーがお勧めです。白や明るいオレンジ系、メタリックカラーや黄色い蛍光色など、明るい色を選びましょう。
ポッパーは『トップウォータープラグ』という、水面で動かすルアーの一つです。駆け引きを直に見ることが出来るので、よりエキサイティングな釣りを楽しめます。また、ノーザンパイクは、音が響くものに強く反応するので、ノイジー系(音を出すタイプ)のポッパーは、打って付けです。ポッパーの主なアクションは、以下の2つです。
スピナーベイトは、数枚のキラキラ光る金属製のプレートを持ち、アピール力が高いルアーです。初心者にとっては心配な『根掛かり』も、このルアーなら安心です。底を引きずらない限り、水草が生い茂っているエリアも、ぐんぐん突破していけます。『ただ巻き』(一定のスピードでリトリーブすること)を早めに行うと、小魚の群れに見えますよ。
ビッグベイトとは、大きなプラグやワームの総称です。存在感が強いため、遠くにいるノーザンパイクも呼んで来ることが出来ます。中でも、S字系ビッグベイトは、『ただ巻き』するだけで、ルアーが本物の魚のようにS字に泳ぎます。
ノーザンパイクを釣るには海外に行かなければいけません。そこで必要なのが、フィッシングライセンスです。特にイギリスで釣りをするには、Environment Agency(政府の機関)から発行されているFishing Rod Licenceが必要です。ネット上で購入できます。さらに、必要に応じて、川や湖で釣るための権利を購入しましょう。
ノーザンパイクは年間を通して釣れますが、水面が凍らない時期がお勧めです。よほど行き慣れている方はともかく、海外では何が起こるか分かりません。釣り方や穴場スポットを教えてもらうためにも、ガイドを頼みましょう。フィッシングツアーに参加し、のんびり宿泊しながら釣りを楽しむのが、最も安全でポピュラーな方法です。
『百聞は一見にしかず』です。ノーザンパイクを釣る動画を実際に見ながら、装備を確認しましょう。ロッドのしなり具合から、「ノーザンパイク釣りは体力勝負だ!」ということも、肌で感じられますよね。ノーザンパイクは獲物に噛み付くと、驚くべきスピードとパワーで獲物を水草に持って行こうとします。
その最初の凄まじい引きに耐えられるかどうかが勝負です!メーター級の成魚だった場合でも糸が噛み切られないように、最初から強力な装備で臨みましょう。
他の魚だと、『ハンドランディング』します(唇に手をかけて持ち上げます)が、ノーザンパイクは、絶対にハンドランディングしないで下さい!例え革のグローブをつけていても、ノーザンパイクの歯(むしろ、刀の切っ先だと思っていいでしょう)に、たちまち貫かれて、血の雨が降ります。
ノーザンパイクは巨大な魚なので、これが無ければ、せっかく釣っても、途中で糸が外れて逃げられてしまいます。ただし、荷物になりますので、現地で購入する事をお勧めします。
フィッシンググリップでノーザンパイクの口を挟んで持ち上げます。こうすれば、ノーザンパイクの凶暴な歯も怖くないし、力の強いノーザンパイクが暴れて、フックで指先を怪我してしまう心配もありません。素早くフックを外せるので、ノーザンパイクにとっても不必要なダメージを負わずにすみます。
ノーザンパイクは特にワームを使った場合、喉元深くまで飲み込みます。ロングノーズタイプのプライヤーで針を外しましょう。ゴールデンミーン製のフィッシングプライヤー(GMプライヤー)がお勧めです。プライヤーの先端が細長いので、フックをしっかりつかんで、スムーズに取り外せます。また、PEラインもスパッ!と鋭く切れます。
ノーザンパイクは、かつては観賞魚として飼育されていました。水を循環させて酸素を補えば、真夏でも池で飼えます。エサは、同じく北アメリカ出身の、ブルーギルやブラックバスが好きです。しかし、ノーザンパイクは、幼魚のうちは5cm程度でとても可愛い魚ですが、環境が良いほど成長が早く、1年で40cm程になり、最後はメーター超えの巨体になります。 飼いきれなくなって誰かが川に放流してしまうと、さぁ、大変!生態系の王者、ノーザンパイクは、たちまち、鮭やマス、アユなどの在来種の魚の脅威になって漁業に大ダメージを与えるにとどまらず、水辺の生態系そのものを破壊してしまいます。
2006年に、ノーザンパイクは『特定外来生物法』により、『特定外来種』に2次指定され、日本では全滅させられてしまいました。ちなみに、ノーザンパイクを飼育する時のエサとして利用していたブルーギルやブラックバスも、特定外来種に指定されています。
ノーザンパイクは、とっても美味しい白身魚です。川魚の特有の泥臭さはありません。しっとりとして、きめ細かく、淡白であっさりしています。しかしハラミにはちゃんと脂も乗っています。日本でも、食用として切り身が冷凍輸入されることがありますが、めったにお目にかかれません。ぜひ現地で、釣りの醍醐味と共に味わってみて下さい。
ノーザンパイクは、ヨーロッパではサケと同じくらいありふれた魚で、様々な料理で用いられています。
ただし、サナダムシなど、寄生虫の恐れがあるので、お刺し身には向きません。
これは、カヌーで釣って岸まで引っ張ってきたノーザンパイクです。『男の料理塾』の名にふさわしく、川の中でワイルドに調理しています。クマに襲われないよう、内蔵をなるべく川の遠くへ投げています。さばく時は、ランディング時同様、鋭い歯に怪我しないよう注意します。また、エラにも鋭いトゲのような物があるので、これを取り除くのも大変です。料理バサミなどで切り取るのをお勧めします。ノーザンパイクは相当な数の骨がついているので、3枚におろすのは、あまりお勧めできません。
ゲームフィッシングで大人気のノーザンパイクは、圧倒的なスピードとパワーを併せ持つ、生態系の王者です。無責任に放流してしまうと、水辺周辺の全ての在来種を脅かしてしまうため、日本では飼育が禁止されています。ぜひ生息域まで釣りに出かけましょう。大自然の優雅さと、ダイナミックな釣りの楽しさと共に、その美味しさを、かみしめてみて下さい。