【ロボトミー殺人事件】事件の概要や判決・桜庭章司の生い立ちや現在は?

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現在では禁止されている医療技術ですが、当時、症状が改善されるケースばかりではなく、明らかに失敗したケースもあります。

そもそもが前頭葉を破壊する治療法ですから、暴力性などは落ち着きますが、その反面副作用は人間性を破壊してしまうものでした。

桜庭の様にてんかんや無気力のほか、抑制の欠如、人格そのものが変化する場合もあることから、その危険性は早くから問題にするべきだったのです。

そもそも精神障害とは?

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ここで度々登場する精神障害、疾患とはどういう基準で健常者とわけられていたのでしょうか?ここではその症例をまとめました。

何をもって精神障害なのか?

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大きく言うと、機能的な障害を持っていることを精神障害といい、死別などによる自己喪失から、あらゆる行動を起こすことは、このカテゴリーには属さないとされています。

知られている症状の一例として統合失調症や、パニック障害、知的障害などがあり、最近世間に認知され始めて来たうつ病もこの類になります。

統合失調症

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今では呼称が変わってますが、以前まで精神分裂病と呼ばれていたこの障害の主な症状は「幻覚」や「妄想」に悩まされ、社会生活に支障をきたす事です。

この障害が引き起こる原因はまだ解明されていません。ですが、発症のきっかけは主に将来への不安からくるもののようです。

ですが、これが原因とされていないのは、同じ場面に直面したその殆どの人が発症していないからです。

知的障害

この障害は、18歳までの成長期に見られる全般的な知恵の障害と日常生活における適応機能の障害がある場合に位置付けられます。

特に読み書きや算数による計算などの学習機能を身に付けることができなかったり、自己の行動をコントロールしたり、コミュニケーションを取るのが難しかったりします。

そのため、社会進出するには、サポートが必要か、自力で自立を目指すかしないといけないので、それが大きな壁となっています。

パニック障害

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この障害は、ストレスや疲れからくるものとは違い、脳内ホルモンの乱れが原因だとわかっています。

不安や恐怖心を引き起こすノルアドレナリンが多く分泌されると、急に発作を起こしたり、発作を起こした場所に恐怖感を覚えたりします。

現在では副作用の少ない薬が開発された上、行動、精神療法と様々な治療方法があり、これは治る病気だとされています。

うつ病

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この病気はまさに現代病とも呼べる病気で、社会的や経済的、過去のトラウマなどにより気持ちが重くなったり、憂鬱な気分になる状態が一日中続きます。

3年に一回行われている厚生労働省の調査では、うつ病患者が年々上昇傾向にあるといいます。

うつ病の認識の拡大により受診する人が増えたことも一因で、治療法は薬物投与の他、一人一人で異なって来ますが、回復が望める病気です。

桜庭はどのカテゴリーとされたのか?

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ロボトミー手術は、統合失調症、あるいは知的障害者などに対して「効果的」とされていたはずですが、では、桜庭は一体どの症例にカテゴライズされるのでしょうか?

桜庭は精神に異常などなかった

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殺人行為を肯定することは人としてできないですが、桜庭の主張には正当性があり、ロボトミー手術自体は、非人道的行為で間違いありません。

そんな桜庭は、繰り返し暴力行為を行うのは精神障害のせいとされ、精神病院に入れられて手術を強行されたわけです。

ですが当時、桜庭が精神障害があったと確実な証拠はなく、むしろ正義感の強さからトラブルに発展したわけです。

暴力行為=手の施しようのない精神異常

桜庭の障害者である裏ずけは、おそらく当時の曖昧な線引きから生まれた当てつけだったように思えます。

急に怒り、家具を壊すなどしましたが、これを誇張し、手のつけられない程精神異常があるせいでこうなったとしました。

そして、ロボトミー手術の研究成果を出したかった藤井のおもちゃにされてしまったのではないでしょうか?

【ロボトミー殺人事件】ロボトミー手術を題材とした映画

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1949年ごろ、世界中で執行され、何万人もの患者に行われていたが、問題が露呈し、行われなくなったロボトミー手術を題材にした映画が複数あるので紹介します。

「カッコーの巣の上で」

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1975年のアメリカ映画で、元々は1962年にケン・キージーにより発表されたベストセラー小説が原作です。

主人公は精神異常を装い、強制労働を逃れたが、その後、精神病院に入院して、医師や看護師長らと戦う物語です。

今回の事件の桜庭の様に、主人公はロボトミー手術を受け、大人しくなりますが、完全に人格を壊されてしまいました。

「シャッターアイランド」

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この作品は比較的最近の2010年にレオナルド・ディカプリオ主演で公開されたサイコサスペンス映画です。

精神異常者を完全に隔離した島であるシャッターアイランドにて、数々の謎に翻弄されていき、ロボトミー手術を思わせる描写もあります。

ただしこの物語の謎があまりにも難解であり、1回見ただけでは理解できないと当時話題になりました。

「時計じかけのオレンジ」

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こちらはアンソニー・バージェスが1962年に発表した同名の小説が元になって1971年に公開された映画です。

暴力とセックスなどの自由放任と管理された社会などを描いた社会風刺的作品で、実は直接的なロボトミーの表現はありません。

ただし、作中に登場するルドヴィコ療法は、後遺症が残る事は伏せられ、その療法自体は賞賛されるというロボトミー手術と重なる部分があります。

「女優フランシス」

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1982年に公開されたアメリカ映画で、1930年代に活躍した悲劇の女優フランシス・ファーマーの人生を描いた伝記です。

ブロードウェイより、鳴り物入りでハリウッド進出した彼女は、順風満帆な生活から一転、薬に手を出し投獄、ロボトミー処置をされてしまいます。

実話を元に制作されていますが、最終的にロボトミー手術を受けてしまうという点は架空であり、そういった話も混ざっているのが特徴です。

まだまだあった!恐怖の精神病治療

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世界にはロボトミー手術の他に、現在では考えられない「拷問的」な精神病治療が存在してました。精神病は不治の病とされていた当時の療法を紹介します。

インシュリンショック方法

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1033年にポーランドの精神医学者が考案した精神科療法で、インスリンを大量投与し、意図的に低血糖ショックを起こさせるというやり方です。

そもそも医学的根拠に基づいて考案されたわけではなく、偶然低血糖昏睡に陥った患者がその後大人しくなったことから開発された療法です。

世界でも広く行われていた

日本でも昭和30年代まで行われていたが、やはり死亡例も多く、その他の新療法が誕生したため、1950年代には廃れていきました。

マラリア療法

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最近日本でも話題となり、死亡者も出たあのマラリアを使って、「発熱療法」として神経梅毒患者に広く行われていた療法です。

世界大戦中に精神病棟に誤って送還されたマラリアにかかった兵士の血液を採取し、同意なしに神経梅毒患者に注射したところ、改善されたというのです。

非道徳的な実験でありながらも、ノーベル賞を受賞しましたが、いまだに何故発熱療法が効果があるのかは誰も説明できません。

電気ショック療法

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精神疾患のある患者に対して、脳に特定の電気刺激を与えて、脳を痙攣させて脳の機能を回復させる療法の一つです。

昔は3人1組で床に寝かせられ、目隠しをさせて全身麻痺させたり、病院によっては見せしめ、懲罰としても行われていました。

その為、この療法で心的外傷を受けた、非道徳的だとし、精神科医からも廃止を求める声が少なくありませんでした。

現在でも行われている

現在も「電気けいれん療法」として安全性を考慮して、主に重いうつ病や難治性の統合失調症などの患者に対して行われています。

ただしその副作用として心血管系の障害や認知障害の他、うつ状態とは対極の状態が続いたり、頭痛が残ったりと様々あります。

そういう理由から、副作用に対しての同意書を記入する必要があるので、強行されることはありません。

私宅監置療法

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1900年に精神病者監護法により、ある一定の条件のもと申請さえすれば、合法的に障害者を監禁することができました。

ですが結局、地下などの狭く、不衛生な暗い部屋に閉じ込めたりするだけですので、治療は行われず放置状態でした。

江戸時代の名残

当時の日本は、精神障害を狐憑きや祟りなどからよるものと信じられており、その上精神科医が不足していたため、家族内で対処する必要がありました。

今では考えられない非科学的な偏見ではありますが、当時はまだその名残があり、「家族の恥」として、闇に押し込んでいたことが、社会的に認められてしまったのです。

現代の観点からすれば、その考え方こそが非人道的だと誰もが思うでしょうが、当時の時代背景、医療技術、病気に対する理解などから考えると、こうするしかなかったのかもしれません。

禁止はされたが問題は続いた

1950年に、この治療法は禁止され、その後、精神科医も病院も増えました。これにより、多くの患者が治療を受けられるようになりました。

ですが、症状が落ち着いても社会に参加できず、家に戻れない精神障害の患者もいました。その多くが病院に戻り、入院せざるを得なくなりました。

結局、昔の座敷牢のような暗闇に押し込まれていたのが、今度は病院に変わっただけで、患者にとって幸せな選択ではなかったというのが現状です。

精神病院で起きた事件は他にもあった

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日本では、戦後になって精神病院の不祥事が急増しました。その内容のすさまじさに同じ人間のやることとは思えない所業がありました。今回はその中で3つの事件をまとめました。

宇都宮病院事件

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この事件は、統合失調症とアルコール中毒の患者2人が職員から暴行を受けて死亡したことが発覚し、国際問題にまで発展した大事件です。

退院した患者の告発により、過去3年間で延べ220人の患者がなくなっていたことも発覚し、そのおぞましき実態が次々に発覚しました。

反抗的ならリンチ

統合失調症の患者は、ご飯を食べたくないと言い、捨ててしまったことに職員が腹を立て暴行し、相手が抵抗して来たため、複数人でリンチし殺してしまったといいます。

アルコール中毒の患者は、こんな病院出たいと家族に話していたため、椅子やモップの柄の部分で殴り続け死亡させました。

日常的に鉄パイプや電気ショックなども行われており、リンチをする職員たちの中に別の障害者を加えることもあったそうです。

軽すぎる判決

この病院の院長である石川は、暴行の他、違法に患者の脳を収集したり、金銭を横領、行動を監視、満足な食事を与えないなど、数々の罪が発覚し、職員たちとともに裁判にかけられます。

ですが、暴行やリンチ殺人を繰り返して来た職員は、最高で懲役4年、最低で16ヶ月の執行猶予付きでした。そして院長はたったの懲役8ヶ月でした。

人権を全くもって無視し、非道の限りを尽くした上、私腹を肥やしていたにもかかわらず、あまりにも軽い刑罰で幕を下ろしました。

北全病院ロボトミー事件

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こちらの事件も桜庭同様、望まないロボトミー手術をされた事で廃人化してしまい、全くの別人と化し、人生を破壊されてしまった被害者が居ました。

昭和48年に、アルコール中毒の患者が、北全病院を紹介され、その院内での診察により、アルコール依存症に加え、精神病質であると診断されたため、閉鎖病棟に閉じ込められました。

そこで大量に薬物投与されましたが回復しなかった事で、ロボトミー手術を強行されてしまい、結果、全くの別人格になり、廃人化してしまったのです。

虐待という名の作業療法

この病院には看護師が少なく、作業指導員が注射などを行なっていました。その他の食事の配膳や院内の掃除、洗車などを患者にやらせ、死体の処理までやらせていました。

脱走し告発したうちの1人は、内科のつもりで受診し、いつの間にか精神科の閉鎖病棟に入院させられており、脱走を試みたことがあります。

その際に職員に捕まり、拘束衣を着せられ、口に手ぬぐいを押し込まれ、頭から電気ショックを受けました。体が痙攣し、すぐに意識が飛ぶほどの衝撃でした。

12年に及ぶ裁判

本人の同意なしにロボトミー手術が行われたことに対して裁判が行われ、被害者側には三人の弁護士と三人の医師が付きました。

カルテの書き換えや被害者が誘拐され、マンションに押し込まれるなど、紆余曲折を経て、院長と執刀医合わせて3000万円で和解が成立し、幕を下ろしました。

今回も他の事件同様、狂った非人道的な事件で、中々虐待やロボトミー手術の問題は認められませんでしたが、この事件は、全面的に認められたのです。

名古屋Mさんロボトミー裁判

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1968年当時、生活音などの騒音により不眠で悩まされていたMさんが、警察に相談したところ、からある病院に強制的に入院をさせられました。

その後退院依頼を弁護士に書いたところ、それを病院側に見つかってしまい、懲罰として、保護室に拘禁されてしまいます。そして二度にわたるロボトミー手術を強行されてしまいました。

この事件には疑問点しかないのですが、もしかしたら警察側と病院側がつながっており、ロボトミーの実験体を探していたのではないかと考えられます。

手術自体は合法である

結局、本人の同意なしに手術したことと、十分な治療をしなかったことに関しては認められましたが、手術自体に問題はなく、むしろ合法だとされました。

ですがやはり手術後の後遺症はひどく、うまく歩行できずによろけて倒れたり、体重が急増したり、高血圧にもなっていたため、生活状態は良くなく、和解を求めていました。

8年の長期裁判は支援者らの協力もあり、弁護士費用や370万ほどの逸失利益、500万の慰謝料は支払われたが余生を保証されるほどの金額は請求できなかったのです。

ロボトミー殺人事件の犯人・桜田障司の人生は不遇だった

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今回のロボトミー殺人事件の犯人である桜庭は、元々は問題児ではなく、少し神経質ではありましたが真面目で正義感が強い性格でした。

ですが、悲劇が重なり不幸に振り回された人生を歩むことになり、ロボトミー手術によって完全に人生を奪われてしまいました。

非道徳的なやり方を正当化していた当時の精神科の医療行為は、そのほとんどが現在では禁止されています。二度とこのような行為が行われないことを願います。

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