英孝が『K』と名乗って同窓会を企画したのは切子への想いからでした。編集者に認められない小説を唯一面白いと言ってくれたのは切子で、切子だけが自分ことを理解してくれる人だった語っています。そんな切子をいじめて死に追いやった同級生たちに悔い改めろと言いたかったのだそう。
化け物と化した切子に語りかける英孝ですが、実際に切子は英孝のことを理解していたのでも好きだったわけでもなかったようで、あっさりと八つ裂きにされてしまいました。なんて惨めな英孝でしょうか。惨めすぎてホラー漫画なのに笑ってしまいました。
切子最終回のネタバレ③切子の死の責任を思い出す主人公
良介は自分だけが切子の記憶がみんなと食い違っていることに気づき、真相を知るために中学時代に埋めたタイムカプセルを掘り返しにいきます。掘り返したタイムカプセルの中にはみんなで写した写真があり、良介は知らない人が写っていると言い出すのです。
ここまでの漫画のストーリー展開で、良介と他の人たちとの記憶の食い違いは気づきにくく、切子の本当の姿が映された写真には事実に驚愕しました!
主人公は写真を見て切子の本当の顔を思い出す
しかし、その知らないブサイクな女こそ本当の切子なのです。切子の本当の姿を見た良介は本当の記憶を思い出していきます。そして自分が切子に『バケモノ』と言ってしまたこと、吊り橋から突き落として切子を殺害してしまったこと、全てを思い出すのです。
切子最終回のネタバレ④朝が来て学校から脱出する主人公とみずほ
全ての記憶を思い出した良介は、何故か巨大化してしまった切子に立ち向かい、自分の命と引き換えにみずほを助けて欲しいと懇願します。それでもなお、巨大化した切子が二人を丸呑みしようとあんぐり開けた口が迫ってきます。
『もうだめだ』そう思った次の瞬間、良介とみずほはグラウンドの中心で目を覚まします。巨大切子によって壊された校舎も土砂崩れとして処理され、殺されたメンバーも土砂災害による事故死だと片付けられてしまいました。
Contents
切子の最終回に残った謎を考察!主人公とみずほはどうなったの?
崩壊した校舎、良介とみずほが目覚めたグラウンドから見ても、二人は切子のバケモノに殺されることなく生き残ったように見えますね。しかし、何故切子は二人を殺さなかったのでしょうか。
それとも本当に二人は生き残ったと言えるのでしょうか。漫画を読みながらこんなに真剣に考えるのは初めてでした。
主人公はなぜみずほと連絡がとれないのか?
日常生活に戻った良介は、上司にいびられながらも生き生きとして仕事をしていました。同窓会に行く前まではうつ病になりかけていたようですね。そんな良介はこれからはみずほと二人で生きていこうと心に誓います。
付き合うことになったようですね。しかし、そのみずほと一週間以上も連絡が取れていないのに『忙しいんだろうな』などと穏やかな顔をして、心配している気配なし。嫌な予感しかしません。漫画を読みながら思わず『大丈夫か?』と突っ込んでしまいます。
主人公は「切子の世界」につれて行かれた?
みずほ、もしくは良介の一方が切子の世界に連れて行かれてしまっているのでは?との話もあります。実際に、良介の背後には巨大な切子の目が窓を全部埋め尽くしているシーンでこの漫画は終了します。
また、切子の世界に連れて行かれたというのであれば、みずほと良介がバラバラの世界にいることになりますから、連絡が取れなくなっていても不思議ではありません。
すべてはうつ病の主人公が見た幻だった?
もう一つの説は、先ほども記載したように、同窓会に参加する前の良介はかなり会社でイビられていてうつ病になっていたようだったことが分かっていますね。そのため、良介のうつ病が原因で描かれた妄想なのではないかとの憶測も飛び交っているんです。
これが妄想なのだとしたら、どこからどこまでが妄想なのでしょうか?みずほと二人で助かったというところからなのか、はたまた最初から同窓会自体が妄想だったのかも知れないと思うと、この漫画は深すぎて仕方ありません。漫画とはいえ、こんなにも説が飛び交うホラー漫画は珍しいですね。
切子ラストの真相は続編『切子・殺』へ持ち越し
結末の解釈を読み手に任せるような雰囲気で幕を閉じた『切子』でしたが、実はこの漫画には続編があるのです。その名も『切子・殺』!また切子による殺戮が始まるのでしょうか?『殺』という文字があるくらいですから、犠牲者が増えることは間違いなさそうです。
切子を読んだ人の感想・評価は?
もちろん、漫画を読み終えた方はグロい描写も多く、次々に同級生が酷い状態で殺されて行くというホラー漫画なならではの『怖かった』という率直な感想をお持ちでしょう。しかし、怖いだけが『切子』という漫画じゃないとの声も多数寄せられているのも事実です。
読者からは「怖い」「グロい」という感想が多数
漫画読者の感想の中には『漫画でこんなに怖い思いをしたのは初めて』、『バケモノでごめんねと言っている切子の顔が本当に怖かった』、『殺されるシーンがマジでグロかった』など、やはり恐怖やグロさを評価する声が多数でした。作者の描く漫画は絵も非常に上手いので、グロさや恐ろしさを表現するのが見事です。
主人公の真相を知ってから読み直すとあまりにむごいとの意見が
また、怖いなどの感想以外にも、一度読み終えた上で再度読み直すと現実社会にも蔓延るいじめの酷さや良介が自分の罪を封印するために切子を美化して記憶を作り変えていたことなどに、虚しさや悲しさ、酷さを感じたという感想も多々見受けられました。みなさん、この漫画を読んでかなり深く考えさせられていますね。
切子の作者・本田真吾とはどんな人物?他の作品も紹介
ホラー好きにはたまらない『切子』を生み出してくれた作者の本田真吾さんですが、実は謎多き漫画家さんで有名なんです。露出も無い事から、あのウィキペディアでも本田さんがこの世に送り出した漫画作品以外の一切の説明が無いほどです。
本田真吾さんの描く深いストーリーも魅力ですが、本田さんご本人も謎多き人物ということでしょうか。また、切子以外にはどのような漫画を執筆されているのでしょうか?
作者・本田真吾さんの代表作は『ハカイジュウ』
本田真吾さんの代表漫画といえば、『ハカイジュウ』です。ハカイジュウは2010年から漫画雑誌にて連載が開始され、その後7年にもわたり第一部、第二部に分けられて連載され続けた漫画です。
とある高校2年生の男子生徒が体育館でバスケをしていると、急に巨大地震が起こり目覚めるとそこには無数の死体と謎の生物が!切子とは違った楽しみ方のできるパニックホラー漫画です。
本田真吾の他の作品一覧!
本田真吾さんはホラー漫画ばかり書いている漫画家さんだと思いきや、意外にもスポーツ漫画も書かれているんです。『卓球Dash!!』『脳内格闘アキバシュート』など卓球やボクシングを題材にした漫画があるんですね。
その他には『彩子・黒』『彩子・白』などの漫画作品があり、SNSを題材にしたサイコホラーとして話題に。やはり本田さんはホラー漫画を書くのがお得意のようですね。
『切子』とは異なる『彩子』シリーズの怖さを味わうのも良いですし、真逆のスポーツ漫画を読んで本田さんの新しい魅力を見つけるのも楽しいですよ。
グロい中にも楽しめる要素が!漫画『切子』の楽しめるシーン
怖い!グロい!とホラー漫画特有の感想が多い中、切子の楽しみ方はそれだけではないんです。ちょっとクスリと笑ってしまうシーンや突っ込みたくなるシーンもあるんですよ。ホラー漫画でありながらも、登場人物たちを愛さずにはいられない独特なシーンをご紹介します。
加藤正雄の図太すぎる神経に注目
自称ミュージシャンの加藤正雄が殺される部分で、ピアノを弾く切子に合わせて正雄が歌うシーンがありましたね。現実の世界であれば切子を見てしまった時点で逃げ出すはずですが、親のスネをかじる男の正雄には常識的感覚がやはりないのでしょうか。ホラー漫画の中にも笑いの要素をあえて投入してくれたのでしょうか?
何故かピアノに合わせて歌い、そしてギターでセッションまで始める始末。正雄か非常識な人間なのか、パリピなのかは分かりませんが、『逃げればいいのに』と誰しもが突っ込んでしまいたくなるシーンです。ホラー映画や漫画には逃げ遅れたりドジなキャラクターが必ず一人はいますが、正雄はそれ以上のキャラクターを確立していますね。
じわじわと追い詰めたがる切子のいやらしさ
漫画のラストでは、良介とみずほを追い詰めた切子は想像を超えるほどの巨大化をします。確かにあんなに大きな切子が来たら『終わった』と誰もが悟ることでしょう。その裏で最初から巨大化して一気に殺してくれとも思います。
巨大化できるのに、一人一人追いかけて追い詰めてじわじわと殺していく様に、切子の恨みの強さと執念深さと共に、漫画とはいえ本当にいやらしさを覚えました。復讐を考えるような人間はやっぱりネチネチとした感情を抱きやすいのでしょうか。
巨人化していっぺんにボロ校舎を壊してしまえばみんなを殺すことだってできたのに、最後まで主人公の良介につきまとっているのも、非常にいやらしい切子の性格が垣間見えます。あんな執拗ないじめを受けたので、当然ともいえますが。
人間の弱さと現代の闇を重厚に描く漫画『切子』
切子という漫画はただひたすらにバケモノ復讐を果たすために人を殺していくだけのありがちなホラー漫画ではありません。一度この漫画を読み終わってもまた読み返したくなるほど考えさせられる深い漫画なのです。現代の私たちの生活に隠された闇や、人間の弱さなどをしっかりと描いていることを理解すると、切子という漫画を一層楽しむことができます。
登場人物たちの小さくて醜い嘘の数々
この漫画の登場人物6人は誰もが皆、自分自身の現状報告の際に嘘をついていましたね。うまくいっていない現状を取り繕うように良かった頃の自分を語ったり、記憶や現実を捻じ曲げてまで自分を大きく見せようとしています。なぜ皆んなが同じように自分を偽るような嘘をついたのでしょうか。
切子の復讐だけを描くホラー漫画なのであれば、同級生たちの醜い嘘の描写は必要なかったはずです。しかし、人間の闇と醜さまでを細かく描写することで、一般的なホラー漫画には無い独特の雰囲気と物悲しさを表現しており、ただのホラー漫画とは一線を画しています。
主人公良介のうつ病に潜む会社のハラスメント
切子へのいじめも確かに大きな社会問題です。しかし、ラストに描写されていた主人公良介の会社でのパワーハラスメントがあったことを知らせるシーンには、しっかりと実在する現代の闇を描いている漫画なのではないでしょうか。
ラストシーンでは窓いっぱいに広がる切子の左目が、まるで涼介が切子の世界に引きずり込まれてしまったようにも見えますが、良介が以前パワーハラスメントによって『うつ病』を発症していた事実を知らされることで、良介の心が軽くなり快活で前向きな新しい人生を歩み出せているようにも見えます。
もしかしたら、切子が良介を殺さずに生かしたのは、良介を今までの暗い人生から救い出してくれたのかも知れないとまで考えさせられます。改めてこの漫画は現代が抱える問題に警鐘を鳴らしている漫画なのだと言えるでしょう。
切子はしっかりとした構成が魅力のホラー漫画だった
ホラー漫画はどうしても殺しのシーンや、おどろおどろしいシーンが主体で描かれ、注目されがちです。もちろん、それを求めてこの漫画を読んでいる読者がほとんどです。そんな中、漫画『切子』は人間の葛藤、心理状況がうまく描かれた構成の高さも魅力的な漫画なのです。
もちろん殺人や復讐は恐ろしいものですが、それも全て人間の浅はかで愚かな心理からくるものであり、一番怖い部分でもあります。その上に、今の時代も無くなることのない「いじめ」や、主人公の精神的ショックの大きさから書き換えられた記憶などのサイドストーリーが描かれている漫画なのです。
最後にホラー漫画らしい大どんでん返しの結末もきちんと用意されているので、非常に時間をかけてじっくりと考えられた構成のホラー漫画だと言っても過言ではありません。最後の1ページまで楽しませてくれる漫画ストーリーであることに敬意を表します。
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