クンストカメラとは?ロシア史上初の博物館!
ロシアのバルト海に面した港湾都市「サンクトペテルブルク」にそびえ立つクンストカメラは、約300年の歴史を誇る博物館です。「ピョートル大帝記念人類学・民俗学博物館」と長たらしい正式名称で、ドイツ語で「驚異の部屋」を意味する通称名「クンストカメラ」で親しまれています。
クンストカメラの施設概要と歴史的背景
ピョートル大帝が建設したクンストカメラは、船舶の研究の目的でヨーロッパの地を訪れた際に目の当たりにしたクンストカメラの展示物に衝撃を受け、ロシアに戻った後すぐに建設に取り掛かられました。
クンストカメラはピョートル大帝によって造られた
江戸時代の日本では徳川家継が七代将軍となった頃、1714年クンストカメラは当時の皇帝であるピョートル1世によって作られました。ピョートルは諸外国の伝統文化や生活・医学などにも大変興味深く、世界各地の民族衣装や伝統、動物や人間の標本などの収集物を所蔵・展示するために作られたロシアで最も古い博物館です。
「我が国にもこのような施設を造るぞ!」とピョートルに多大なる影響を与えたヨーロッパ版のクンストカメラとは異なり、個人コレクションの展示だけではなく、世界各国の文化や最先端の医学を庶民にも知って欲しいと、啓蒙機関として建設されたのです。
このことから、クンストカメラはピョートル大帝が成し遂げた偉業のひとつであるとされています。
クンストカメラの目的は「人間による珍奇かつ稀覯なもの」の収集
まさに人間の稀覯な物の象徴である奇形児のホルマリン漬けや人間の標本などが多く展示されており、中には頭部の断面など思わず目を背けたくなるような物も数多く存在します。
当時は奇形児などが生まれるのは災いのお告げなどと信じられてきましたが、それは医学的に解明できることであると認識させるために収集と展示を行っていたのです。
クンストカメラでは当初「生きた展示会」もしていた
今でこそ生命の無い人や奇形児の標本などを展示していますが、クンストカメラが建造された当時は奇形を持って生まれた人、巨人症や小人症の人など外見的に珍しい症状や奇形が見られる人々を生きたまま展示していました。
現代ではとても許されることではありませんが、当時の展示された人々は死後も埋葬されることなく標本として処理され、引き続き展示されていたのです。アインシュタインの脳が展示されている博物館はこちらをどうぞ。
クンストカメラは2019年現在も所蔵物が増え続けている
驚くべきことに、ピョートルの没後200年以上経った現在でも展示物は増え続けています。毎年50回ほどの調査旅行が行われており、ロシアをはじめアフリカやアジアなどで行われる調査の度に新たな所蔵品が展示されています。
今では所蔵品が増えすぎてしまい、このままでは展示しきれなくなってしまうために新たな所蔵庫を造る話が進んでいます。
クンストカメラの展示物の詳細
この博物館には有名な人体標本だけでなく、民族衣装や伝統品、動物の剥製など様々な展示物があります。展示物の中には撮影が可能な展示もあるのですが、一番の見どころである人体標本のブースでは残念ながら一切の撮影が禁止されており、見たい方は現地に行くしかありません。