絶滅危惧種・日本最大の淡水魚「イトウ」とはどんな魚?魚が熊を食べた?

「鮭が熊を食べるなんてありえない」と思う方が断然多いと思いますが、実はイトウにはなんと「熊を食べた」という伝説が北海道のアイヌ族で言い伝えられているそうです。イトウが熊を食べたとは一体どういうことなのでしょうか。

その伝説を簡単にまとめると、とある狩人が熊を追いかけているとその熊が湖に飛び込んでしまい、沈んだまま見えなくなったために狩人が船で湖の真ん中まで行ってみると、なんと体長4、50mもあるイトウがその熊を食べてしまっていたそうなのです。大昔からイトウは巨大な生物であると考えられていた事がうかがえます。

幻の魚・イトウはなぜ絶滅危惧種になったのか

環境省絶滅危惧IB類指定のイトウは、将来には絶滅してしまう危険性が高いのだそうです。イトウはかつて東北地方(青森県・岩手県)でも生息の確認があったのですが現在ではもう生存しておらず、42もの水系で生息が確認されていた北海道も現在ではたった6水系にまで減少してしまったそうです。

イトウはなぜ絶滅危惧種になったのか・原因①構造物

イトウはサケ科の魚ですが、サケとは違い一生に何度も産卵を繰り返す魚です。産卵の度に川を行き来します。小さな規模ではありますがその川の構造物の工事がたくさん行われた結果、イトウが行き来するルートに障害物ができてしまい、イトウは川を上ることができなくなってしまったのです。

イトウはなぜ絶滅危惧種になったのか・原因②直線の川

イトウは、曲線を描きながら流れる大きな川に生息します。曲線を描くことにより川には「瀬渕(せぶち)」と呼ばれる深さのある流水の緩やかな場所ができ、この淵より下流にある浅瀬の部分がイトウが卵を産む適切な場所です。しかし、川の改修工事などで川が直線になることで瀬渕がなくなりイトウは卵を産むことができなくなってしまいます。

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