合成音声を使ったボーカロイドには肉声とは違い機械的な魅力があります。肉声とは違い、歌い手の感情が反映されにくいという特徴がボーカロイドにはあります。
つまり、歌い手の感情に引きずられない分、聞き手が歌詞に感情をのせやすいのではないでしょうか。そのようなボーカロイドと肉声の違いを意識しながらポエトリーリーディングの聞くの楽しいです。
キャラクターのグッズ化などで広く認知されている初音ミクだけでなく、CeVIOのさとうささらや鏡音リン、ONEといった合成音声が人気です。
ポエトリーリーディング「深夜の街/石風呂P」
「深夜の街」は、あてもなく深夜の町を歩いている描写から始まります。
何となく鬱々とした気分を抱えながらもラストは「深夜の街にて僕たちは恐怖を飲み込み歩いてく」「深夜の街にて僕たちは明けない夜はないはずと」で閉めくくられています。
歌を聴く人たちへの応援となる内容です。歌詞には五七五のリズムも取り入れられて、耳に心地よいです。こちらで使われているのはONEというボーカロイドです。
ポエトリーリーディング「夜の散歩/キャプテンミライP」
「夜の散歩」は、男の子が夜一人で散歩する内容です。展望台で向かう途中に月がきれいだったのでそれをポケットに入れて散歩するという内容です。
おとぎ話やファンタジー童話を連想させる歌詞と、打ち込みながらノスタルジックな音楽、それにボーカロイドの無機質な音声がマッチしています。使用しているボーカロイドは、月読リンと鏡音リンです。
Contents
ポエトリーリーディングを取り込んだ現代の詩人「amazarashi」
ポエトリーリーディングの技法も取り入れたアーティストもいます。その代表格はamazarashiです。彼らについて詳しく解説していきます。
フォークロックの詩人「amazarashi」とは
amazarashiは、フォークロックバンドです。メンバーはボーカル・作詞の秋山すすむさんと、キーボードの女性、豊川真奈美さんです。
ほかにもメンバーはいるようですが、その詳細や顔はすべて伏せられています。そのほうが、作品の魅力をダイレクトに伝えられるといった考えもあるようです。
秋山さんの書く詩と、ジブリやエヴァンゲリオンなどのアニメからインスパイアされたPVは独自の世界を築いています。
ポエトリーリーディングのエッセンスを取り込んでいる
amazarashiは、フォークロックですので基本的にはロック音楽です。ボーカルの秋山さんの低音の声と、ギターやドラムが奏でる音楽が迫力です。
しかし通常のフォークロックとは違い、開始部分や、途中に詩の朗読を挟むなどポエトリーリーディングを取り入れています。
さらに、作品には歌詞カードだけではなく、詩集も付属します。このようなこだわり、曲の構成から詩や言葉を重視していることがよくわかります。
amazarashiおすすめの曲
amazarashiがポエトリーリーディングのエッセンスを詰め込んだおすすめの曲を3曲ご紹介します。
amazarashi/空に歌えば
野太いソウルフルな秋山さんのボーカルと「足掻け」と繰り返される歌詞が特徴的です。
中盤にポエトリーリーディングの部分があり、「掴んだものはすぐにすり抜けた」や「それでもそれらが残していった温かみだけでこの人生は生きるに値する」といった詩が展開されます。
amazarashi/風邪
ポエトリーリーディングが大部分を占める曲です。淡々した曲と秋山さんの朗読が繰り広げられます。注目すべき点はポエトリーリーディングの表現力です。抑揚がないながらもブレスや発声、声の強弱で焦燥感や後悔を見事に表現しています。
amazarashi/つじつま合わせに生まれた僕ら
全体を通して奏でられるピアノと静けさが印象的な曲です。ポエトリーリーディングがされた後に曲が始まります。曲の部分の歌詞もどことなく物語のような表現が織り混ぜられ、非常に美しい曲です。
ポエトリーリーディングを競うポエトリースラムも
ポエトリーリーディングの技術を競い合うポエトリースラムも開催されています。その概要をチェックしましょう。
ポエトリースラムとは
アーティストが観客の前で朗読を披露し、観客が点数をつけてトップを選ぶ方式の大会です。
1988年初のポエトリースラム大会開催
始まりは1988年です。この年に初めてニューヨークでポエトリースラムが開催され、その動きは現在世界まで広がっています。
ポエトリースラムW杯
ポエトリースラムは世界大会が開催されており、全世界からアーティストやパフォーマーが集結します。
それぞれの演者は自分の国の言葉でパフォーマンスすると定められています。
言葉は伝わらなくても、表現力で人々を魅了し、伝えたい世界観を演者と聴衆が共有できるといったスタイルです。
ポエトリースラムin日本
日本でもポエトリースラムの大会が開催されます。
まずは地区大会にエントリーし、その後トーナメント方式で勝ち上がった人がポエトリースラムの全国決勝へ行きます。
ルールとしては
- 3分以内のパフォーマンス
- 来場者によるジャッジメントで勝負する
- 音楽、小道具、衣装の使用は禁止
- 朗読は自作のもののみ、詩を書いたテキストの持ち込みは可能
となっています。
ポエトリースラムジャパン
ポエトリースラムはTwitterで情報を発信しています。各地区大会の詳細やエントリー状況などが随時更新されます。気になる方はぜひチェックしましょう。
ポエトリーリーディングが流行する背景とは
ポエトリーリーディングは発展と衰退を繰り返し、現在の形となっています。ポエトリーリーディングが現在注目を集めていますが、一時は表舞台から影を潜めるなど、日の目を見ない時期もありました。
そのポエトリーリーディングはどのようなタイミングで流行するのかをご紹介します。
ポエトリーリーディングが流行する時とは?
政策がおかしい、紛争や戦争に国が介入した、外交問題が浮上した、前例のない不況が訪れたなど世の中への不信や不満が高まるとポエトリーリーディングが盛り上がる風潮あるようです。
詩を通して平和や協調を訴える人が増え、それに賛同する人々も増えるのでしょう。また人との繋がりが希薄、孤独や不安が多いなど、心が満たされないと感じやすい時期にもポエトリーリーディングは流行するようです。
寂しさや不安感がポエトリーリーディングによりアーティストがに表現されると、多感な人々が反応し受け入れられるのです。
落ち着いた雰囲気を楽しみたいなら元祖のポエトリーリーディング
アートとしてのポエトリーリーディングをご紹介してきましたが、それでも音楽が付いているので何だかポエトリーリーディングがうるさく、苦手と感じる人もいるのではないでしょうか?
またラップとの違いを文字の上では理解しても、どうしてもポエトリーリーディングとラップを耳で聞くと混同してしまい、苦手という方もいるでしょう。
そんな時はこの人のポエトリーリーディングを聴いてみましょう。この人というのは日本で元祖のポエトリーリーディングアーティストの谷川俊太郎さんです。
谷川俊太郎さんとビートニクス
谷川俊太郎さんは、ビートニクスの影響を受け、白石かず子さん達とともに日本にポエトリーリーディングを広めた第一人者です。谷川俊太郎さんは「朝のリレー」や「生きる」などを代表作に持つ詩人です。
詩人としてだけではなく作詞、翻訳、児童文学作家などの顔も持つ日本を代表する作家です。
また朝のリレーなどの美しい詩のイメージの強い谷川俊太郎さんですが、そのイメージと違い、「春の臨終」や「ポルノ・バッハ」といったハードな詩も発表されています。
谷川俊太郎さんのポエトリーリーディングや朗読のCDがある
谷川俊太郎さんは、同じく詩人のゲーリー・スナイダーさんとポエトリーリーディングのコンサートを開催するなど、精力的にポエトリーリーディングの活動をしています。
ほかにもクラシック音楽や古楽と合わせたポエトリーリーディングのCDも作られています。落ち着いた雰囲気を楽しみたいなら、ぜひ谷川俊太郎さんのCDをお楽しみください。
ポエトリーリーディングの世界観に浸る
今回ご紹介したポエトリーリーディングは、シンプルな音楽とともに、大切な言葉を届けてくれます。独自なポエトリーリーディングの世界観に浸っていると、元気が出る言葉、奮い立たせてくれる言葉と出会えます。
注目され始めたばかりなので、これからもたくさんの素敵なアーティストが出てくるでしょう。ぜひお気に入りのアーティストを見つけてポエトリーリーディングを楽しみましょう。
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