ニシオンデンザメがどのように捕食しているかはまだ研究段階ですが、カイアシ類と関連付けられた説があります。サメの目に寄生するカイアシ類の中には発光する特徴をもっており、その光に近づいてきた獲物を捕食している可能性があります。
さながらルアーを垂らして釣りをするような捕食方法ですね。この仮設が有効かはまだ不明ですが、これが事実であればカイアシ類は一方的にオンデンザメに害を与えているのではないかもしれません。
オンデンザメの食性
オンデンザメは何を食べている?
オンデンザメはスリーパーシャークと呼ばれるほど動きが遅いのですが、特にニシオンデンザメが食べているものといえばサケやアザラシなど動きの速い生物を食べていることから、実は驚異的なスピードを出すこともできるのではないか、という見解もあります。
深海生物は浅海の生物と違い食事の選択肢が少なく、結果的に様々なサイズのものを食べて暮らしています。オンデンザメ類も同様に、上から落ちてきた生物の腐肉から貝類や魚類など生きた生物まで何でも食べてしまいます。
オンデンザメの危険性
人を襲うサメなのか?
アザラシを食べてしまうほど大きな体を持つオンデンザメにとって、人間を丸呑みにするのは容易いことでしょう。ただ「人間も捕食される危険があるのか」という問いには、「その可能性は低い」と思われています。
なぜ人を襲う可能性は低いのか?
基本的にはゆっくり動き、哺乳類や人間の一部が胃から発見されたこともありますが、それは海底に落ちてきた死骸などの可能性が高いようです。陸上で生活している限り、生きている人間が襲われる心配はないでしょう。ただ襲われたらひとたまりもないことは一目瞭然です。
オンデンザメの捕まえ方と旬・時間帯
捕獲方法は至って単純
深海にいて大きな体のオンデンザメはあまり捕獲されないかと思いきや、実はよく捕獲されています。深海にいるものの、非常に大人しく漁師にあっさり捕獲されるようです。まだ生態が解明されていないサメで、旬やよく釣れる時間帯は不明です。
日本では駿河湾などで釣れることが知られています。他に北海道全沿岸、敦賀海峡から駿河湾の太平洋沿岸、紀州、土佐湾に生息しているため、これらの場所の水深300m以上のポイントで釣りをすれば捕獲は可能と思われます。
オンデンザメは食べられる
オンデンザメはどう調理すればいい?
オンデンザメを捕まえたら食べられるのか疑問ですよね。捕獲してそのまま食べるのは待ってください。オンデンザメの新鮮な肉は有毒で、食べた場合アルコール中毒のような症状を起こすようです。それでも食べたいならば、お湯で繰り返しゆでたり、または干したり、とにかく生食しないことが重要です。
実際に調理されたこともあります
2015年に静岡県水産技術研究所が駿河湾のオンデンザメを調理し、定食として振る舞ったことがあるそうです。オンデンザメは肝油が作成されるほど豊富な油を有しており、フライにすると美味しいと評判だったようです。
オンデンザメと人間
オンデンザメは捕獲されると肝油に利用されることは昔から知られています。また他にもニシオンデンザメはイヌイットにはおなじみで、カナダのイヌイットは厚い氷に大きな穴を空けて、そこから餌を吊るしてニシオンデンザメを釣ります。その後ニシオンデンザメを処理して食べたり、革製品や骨の利用を行うようです。
オンデンザメが見られる水族館
どこで見られる?
日本国内で現在オンデンザメを実際に見られる場所はありません。2015年3月に沼津港深海水族館で世界初生きたままの展示をされました。そのオンデンザメは静岡・駿河湾水深400mから釣り上げられた個体でした。深海生物の地上での飼育は困難である上、1.7mという未成熟な個体であったこともあり展示7日後に死亡してしまいました。
オンデンザメの生態・特徴のまとめ
オンデンザメは絶滅危惧種?
深海に住むオンデンザメ類の生態は、近づくことが難しいため現在も調査が続けられています。まだまだ謎に包まれているサメですが、その生息数が乱獲や環境の変化により減少している懸念があります。
すでに北極圏に暮らすニシオンデンザメは準絶滅危惧種となっており、オンデンザメはデータ不足のため絶滅危惧種指定されていませんが、今後調査が進めばニシオンデンザメと同様危惧種指定される可能性があります。早く彼らの全貌が把握され、保護できるようになれば水族館で当たり前にオンデンザメを見ることができるようになるかもしれません。