タナゴとはどんな魚?
タナゴはコイ目・コイ科に属する淡水魚です。繁殖期にオスは鮮やかな婚姻色を発色し、二枚貝に産卵するちょっと変わった特徴を持つ魚です。日本固有の在来魚ですが一部外来種のタナゴも国内で繁殖しており、在来魚、外来魚合わせて十数種類が確認されています。
タナゴは金魚に似ている
タナゴの体色は綺麗な銀色で、金魚(和金)に似た丸みのあるフォルムをしております。ですが金魚のように水槽に合わせて体長が大きくなるわけではなく、飼育もしやすい魚です。釣りだけでなく観賞魚としても人気のある魚です。
タナゴは小さな魚
国内では在来魚、外来魚合わせて十数種類のタナゴが確認されておりますが、どれも小さな魚で体長は平均して6~10㎝程度です。草食性ではなく雑食性なので、水草や藻類以外にもプランクトンや小型の昆虫、甲殻類等を食べます。
タナゴは絶滅危惧種
残念ながら日本では環境破壊が進み、住むことのできる場所や産卵床となる二枚貝の数も少なくなっています。また、タナゴを餌とする外来種の生息数の増大や、外来種のタナゴとの交雑による遺伝子汚染も起こしており、タナゴの数は激減しております。そしてタナゴは現在、絶滅危惧種に指定されており一部の地域ではすでに絶滅が確認されている魚です。
タナゴの生態
タナゴは小さいので草食と思われがちですが、何でも食べる雑食性です。ほとんどが昔からいた日本の在来種なので、とっても身近な魚です。
タナゴは淡水魚
湖や池、湖、緩やかな流れの河川、農業用のため池やその用水路等に生息している淡水魚です。水質があまり綺麗でない場所でも、生きていくことができます。
タナゴは水草のあるところが好き
タナゴは流れの速い川などは苦手です。流れの少ない水草の生えているところが好きです。水草の生えている場所は隠れ家にもなりますが、餌となる水草や藻類やプランクトン、小型の生成昆虫等がいるためです。
タナゴの大きさ
平均サイズは6~10㎝の小さな魚です。ニッポンバラタナゴというタナゴは体長3㎝程度で、平均サイズよりもさらに小さなタナゴです。逆にカネヒラというタナゴは、大型に分類され15㎝程度まで大きくなります。ここまで来ると小さな魚とは言えないかもしれませんね。
タナゴの見た目
全国各地のタナゴはそれぞれ、大きさや形、色など特徴を持っています。共通するのはベースとなる体色が綺麗な銀色をしていることです。
美しく輝く銀色のタナゴ
タナゴは魚釣りとしても、観賞魚としても人気の高い魚です。その理由に、綺麗な銀色の体色(鱗)が上げられます。背びれや尾びれに赤色や青色を帯びたものもいます。更に婚姻色と呼ばれる色を発色したときはついつい見とれてしまうかもしれません。
タナゴの婚姻色とは
生き物のオスは繁殖期になると、メスに自分をアピールをすることが多々あります。タナゴも同じで、繁殖期になるとオスは婚姻色と呼ばれる光沢のある鮮やかな虹色を発色します。
もともときれいな銀色の魚体をしておりますが、その上鮮やかな虹色にきらめいているのです。これを見れば、観賞魚として人気の高いのも納得していただけるのではないでしょうか。
タナゴの繁殖期
タナゴの繁殖期は春型と秋型に分かれ、種類によって違います。ほとんどが春型です。そして、生きている二枚貝の体内(出水管)に卵を産みます。二枚貝がいなければタナゴは子孫を残すことができないのです。
繁殖期のメス
タナゴのオスは繁殖期に婚姻色を発色しますが、メスは婚姻色を出しません。その代り卵を産む準備をします。まず、卵が成長し腹部が膨らみ始めます。細長い産卵管を排泄口から出てきたら準備完了です。
そしてメスは二枚貝の殻の中に産卵します。二枚貝に産卵することによって、卵が貝の硬い殻に守られ外敵に襲われる可能性が少なく、貝の呼吸によって新鮮な水を得ることができます。
タナゴの受精
受精は、まずメスが二枚貝の出水管に産卵管を入れ、卵を産み付けます。続いてオスが二枚貝の入水管に放精し、受精は完了です。卵は二枚貝の中で成長していきます。
タナゴの種類
タナゴは、すでに外来種が日本で確認されおり、在来種、外来種を含めると国内では十数種類のタナゴが確認されています。ここでは外来種を含め、いくつかの有名なタナゴをご紹介します。
ヤリタナゴ
体長は10cmと比較的タナゴの中では大きく、体高は低いです。見た目細長く見えることからヤリ(槍)タナゴと名前が付けられたと言われています。国内では、北海道と九州南部を除く日本各地に広く分布しています。オスの婚姻色は、体側が淡緑色面になり、頬と腹部はオレンジや朱色に変わります。
カネヒラ
平均サイズは12㎝程度ですが、中には15㎝にも成長することもあり、最も大きいサイズに分類されます。国内では琵琶湖淀川水系より西の本州と九州の北部に分布しています。オスの婚姻色は、腹、背びれや尻ひれなどが淡紅色を帯びます。
アブラボテ
体長は5㎝~7㎝程です。幼魚のころからオスメスともに黒ずんでおり、成魚も他の種類よりも黒味が強いです。名前はこの黒味が“油”を思わせるためにつけられたようです。岐阜県から西の本州、四国の瀬戸内側、九州北部や中部に分布しています。オスの婚姻色は、体側が緑がかった暗色(重油色)になります。
タイリクバラタナゴ
体長は6㎝~8㎝程度です。ニッポンバラタナゴ(日本在来種)に見た目は似ていますが、腹びれの前縁が白くなっているところで見分けることができます。サイズも少し大きめです。
日本固有種ではなくアジア東部や台湾に分布していますが、食用魚(ソウギョやハクレンなど)に混じって持ち込まれ日本各地に広がってしまいました。婚姻色は、全体が鮮やかなオレンジ色になり、背側が青緑に輝いてきます。
タナゴ釣りをしよう
タナゴは日本各地に生息しておりますので、タナゴ釣りには、結構気軽に出かけることができます。皆さんの住んでいる地域の近くに、池や用水路などがあれば、ちょっと覗いてみてください。
タナゴ釣りは繊細さが魅力
そのサイズからタナゴは、世界最小釣りターゲットと言われております。そのため釣りの仕掛けも小さく、繊細さを要求されます。その繊細さゆえの面白さに日本中に多くの愛好家がいらっしゃいます。